第14話 準備。
「くそ...図ったな...」
「やっぱりアンタ素人ね。契約、どうもありがとう」
ニヤニヤしながら俺を見上げてくるリース。
ソアラは少し申し訳なさそうにしているが、アルトは依然無表情のまま。
あー、やっていける気がしねぇ。
「じゃあ、早速ダンジョンに....」
「いやちょっと待て」
意気揚々と〈ダンジョンゲート〉方面に歩いて行くリースの襟首を掴んで引き止める。
「...なによ?」
「お前ら...その装備でダンジョンに入るのか?」
「むっ...」
そんな装備で大丈夫か?
....なんてセリフが頭をよぎってしまった。
とにかく今言った通り、こいつらの装備は酷い。
3人の鎧、形が違えどどれも薄く、持っている武器は見るからに攻撃力が無い。
リースは剣、ソアラは杖、アルトは魔力射出装置か...
シューターってのは、空気中の魔力を弾薬として発射する銃みたいなもんだ。
アルトのはいわゆる拳銃型、シューターじゃ1番手軽かつ小威力な形だ。
...とまあそんな事はどうでもいい。
要するにこいつらの装備じゃロクに戦闘もできない、死にに行くようなもんだ。
「その装備じゃ駄目だ。今日は準備、ダンジョンに入るのは明日だ」
俺だって早くダンジョンに潜って金稼ぎしたいけどな...
モンスターを舐めちゃいけない。
自分が雇ったヤツに死なれたら胸糞悪いってだけだ。
「...わかったわよ」
「うし、じゃあ明日の10時にここで...」
「待って下さい!」
「うぉう...どうした?」
突然声を上げるソアラ。
「私たち...準備...出来ないんです...」
「ちょっとソアラ!わざわざ言う事...」
「明日になったって同じ事です!」
「っ......そう...だけど」
え、何この空気。
「...エイトさん、私たち、装備を買うお金を持ってません。持っているのは、今着ているこの装備だけです」
「......成る程」
つまり俺と同じような境遇と。
さっき俺に声をかけてきたときだって必死だったんだろうな、こいつら。
金が無いってのは誇れる事じゃ無い。
だからリースは隠そうとしたんだな。
「装備...ねぇ」
「私たちには、この装備しかありません」
「......」
潔く両手を広げる、自分の装備を見せるソアラと、その後ろで唇を噛みしめるリース。
そしてその後ろで蝶々を見つめるアルト...何してんだお前。
それにしても装備か....どうしたもんかね....
「そうだ。よし、行くぞ」
「え..ダンジョンにですか?」
「いや」
悪いが俺も今金欠でね。
新しい装備を買う金は無いから中古で我慢して貰おう。
目指すは俺の家。
「少なくとも、今の装備よりはマシなのをくれてやるよ」
「....?」
2年ほど放置していたが、痛んではいないだろう。
俺の、昔の装備たちは。
風邪やっと治ってきました....




