03-01『総集編』12/29
テレテッテーテレーテテテレレーレー♪(皆様おなじみ『ヒノデ村恒例! 年末デスゲーム祭り』オープニングテーマ曲『Antarctic Love! of the sannta sangree』インスツルメントロングver)
♯空白の世界でカメラがパンすると、膝から崩れ落ちたタケヤが、絶叫しながら白い地面を叩き、叫び声を上げている。
「3日だぞ! たった3日でもう破綻するってどういうことなんだよ! いや、そりゃ破綻するさ、こういうのは年末に向けて、秋ごろからコツコツ書き溜めて、5回完結する原稿を用意してからやるもんじゃないか!
なんだよ! アイデアストックも何もないのに、その日に発表する原稿をその日に書いて、一日一話、それを五話でまとめるなんて、月刊で連載やってる時よりある意味ヘビーじゃないか!
リハビリ代わりに軽い短編でも載せようかねえぇってノリじゃなかったのかよ! なんでリハビリ初日で自己ベスト更新を狙うような真似をしたのさ!」
♯抑揚のない女性ナレーション
(それでは第一話のダイジェストをご覧ください)
♯古い本を持つ、初老の紳士が恐怖をテーマに語り始める。カメラは意図的に紳士の顔を映さない
「皆様におきましては、とっくに御存知だとは思いますが……」
♯饒舌ではあるがザラザラした声。やはりカメラは顔を映さない。顔の代わりか不自然にフレームに古い本が映り込む。本の題名は
(何処にでもいる、平凡な高校生タケヤ君は夜の森で正気に戻ります)
♯森を走る、タケヤ。崖を転げ落ち赤い革のコートを着た連中と遭遇。焼かれる死体、異形の剣にタケヤは怯む
(タケヤ君はいったいどうなってしまうのでしょうか)
♯何処かの建物の中。棺桶が5つ。村人が釘抜きで棺桶の蓋を開け、中の人間を取り出す。医者が棺桶から出された5人に注射を施す。村長代理の問いかけに医者は応える
「村長代理は到着者を初めてご覧になられるんですねえ。薬の効き目は人それぞれで覚醒には個人差がありますねえ。ああ、支えれば部屋の移動ぐらいできます。泥酔者の介抱よりは楽なもんですよ。じきにシャンとします」
♯村人に肩を貸されながら、フラフラとタケヤたちは村の集会場に到着。タケヤはまだしっかりしてないが、他の到着者に催促されて説明を始める
(以上、第一話のダイジェストでした)
♯開幕シーンの使い回しの白い世界。しかし途中でタケヤの動きが止まる
「え? お医者さんなんて居ましたっけ? 5人?」
CM
妙に和風のコンビニの宣伝映像 15秒
言語不明、おそらくスキャットに近い歌と共に映る皿の宣伝映像 15秒
ねばり気のある液体が滴り落ちるだけのイメージ映像 30秒
CM終わり
(続きまして、風雲急を告げる第二話のダイジェストです)
♯引き続き行われる村長代理による説明。戦闘班班長キガシラ、謎の男イタチの登場
(弟の為、鬼と戦うと決意するアカガワ姉。参加するに決まってるじゃないかと参加を表明するイシガキハカセ。しかしなかなか決断がつかないタケヤ君をキガシラは鬼の見物に誘います。アカガワ姉も同行します)
♯木枯らしが雪と共に吹き荒れ、崖の上に立つ一同のマフラーをなびかせる。キガシラが崖の下を指さす
「あれが鬼だ」
♯タケヤは呆気に取られる
「え! そりゃなんかデカくて凄い鎧っぽい物も着けて側にデカイ剣もありますが、あれって野垂れ死んでるか行き倒れじゃないんですか?」
♯アカガワ姉は剣を抜く
「死体にしか見えないけど、死んではいないんでしょ。でもここで殺せばすべてが終わる」
♯キガシラはアカガワ姉を制す
「そうさ。殺せればな。だが殺し損ねれば一気に活性化して奴は動き出す。放っておいても数十時間のうちに起きるがな」
「でも」
「一か八かの賭けに負けて、あいつと余分に十時間も戦うなんて真平ごめんだね」
♯書庫の文献を漁っていたイシガキハカセが叫ぶ
「判った! 判ってしまったぞ! 鬼の正体は!」
♯イシガキハカセの背後の扉から村長代理が登場
「さすがですなイシガキセンセイ。知られたからには」
「いかん! いかんよ、きみ! センセイはいかん! ハカセと呼んでくれたまえ」
♯鬼の突進を受け止めキガシラが叫ぶ
「構わん! タケヤ! 俺ごと鬼を刺し殺せ」
♯書庫の文献を漁っていたイシガキハカセが叫ぶ
「気がついた! 気がついてしまったぞ! 鬼の目的は村人の殺戮じゃない。殺戮が第一の目標じゃないんじゃ! 過去の戦闘タイプは、村の中心部にある謎の建物に向けて進行しておる。鬼の目的はあの建物の掌握、村人は邪魔だから殺戮しているにすぎない!」
♯イシガキハカセの背後の扉から村長代理が登場
「そうですよ、イシガキハカセ。今更何言ってんですか…あ! 説明するの忘れてたんだ!」
「どういうことかにゃ?」
「あそこには謎の機械があるんです」
「謎って?」
「謎ですよ。使い方がよく判らないんですけど、延々と木炭を作り出すんで重宝してます。あれがないと里山や森を崩して木炭つくらないといけなくなるんで、長期的に見て、あそこを潰されたりしたら村は滅びます」
「なんと! 不思議にも程がある! どうしてそんな重大なことを今まで黙ってたんじゃ!」
「うっかりしてました!」
「そうか! うっかりしてたんなら仕方がないなアッハッハ」
「そう言ってもらえると助かります、アッハッハ」
「しかし、木炭とはね。殺戮の鬼が目指すのは炭焼小屋とは茶番もいいとこじゃ! 超シュールなんですけど!」
♯炎に包まれる村。タケヤに馬乗りになり、泣き叫びながらアカガワ姉は彼を何度も殴りつける
「お前に! お前なんかに何が判る!」
♯そんな二人を見てイタチは笑う
「そうさ、きみたちには何も判っていない、何もかもがだ! この村の存在意義、鬼の正体! 何もかもがだ!」
♯紅蓮の炎の中、錯乱するアカガワ姉を抱きしめ、不屈の闘志を秘めた瞳でタケヤは言う
「必ず脱出してやる! こんな狂った村、我が誇りにかけて脱出してやる!」
(以上、第二話のダイジェストでした)
♯開幕シーンの使い回しの白い世界。タケヤは呆気に取られている
「え? いやいや、いやいやいや! え? え? 誇りなんてないよ! いやたぶんあるけど、賭けたことなんかないよ」
(続きまして、第三話のダイジェストです)
「いや、第三話って! ちょっと! ちょっと! 誰か!」
あっそーれ! テレテッテーテレーどどんどどんテテテレレーレー♪(皆様おなじみ『ヒノデ村恒例! 年末デスゲーム祭り』オープニングテーマ曲『Antarctic Love! of the sannta sangree音頭』)
♯真紅の世界でカメラがパンすると、半ば放心したタケヤが膝から崩れ落ちている。
「なんだこれ、意味が判らない!」
♯抑揚のない女性ナレーション
(それでは第一話のダイジェストをご覧ください)
♯古い本を持つ、初老の紳士が『罪』をテーマに語り始める。カメラは意図的に紳士の顔を映さない
「皆様におきましては、とっくに御存知だとは思いますが罪という言葉これぞまさしくタケヤ君の為にあるような言葉でございます」
♯饒舌ではあるがザラザラした声。やはりカメラは顔を映さない。顔の代わりか不自然にフレームに古い本が映り込む。本の題名は
(どの面下げてほざけるのか、『何処にでもいる平凡な高校生』などと騙るタケヤ君は夜の森で正気に戻ります。ざまあみろという感想しか湧いてきません)
♯森を走る、タケヤ。崖を転げ落ち赤い革のコートを着た連中と遭遇。焼かれる死体、コートの連中に混ざる異形の本を持つ紳士と、女の影にタケヤは怯む
(タケヤ君はいったいどうしてここで死んでしまわなかったのでしょうか、まったくもって残念としか言いようがありません)
紳士はナレーションに答えた。真紅の世界、本を持つ紳士とナレーションの女がタケヤに向かい歩いている。
「いえいえ、それは違いますなあ。あそこで死んでしまうような幸運は私が決して許しません」
タケヤの側に二人が迫る、顔は判らない。だが本のタイトルが目に入る。タケヤは本のタイトルを知った。
タケヤは叫ぶ。
「うわあああああ!」
本のタイトルは