黄昏の公園
茉莉奈と由香理は、少し離れている大きな公園まで電車に乗り、散歩に行った。
黄昏の公園の、芝生と木々の向こうには、遠くの高層マンション群が見え、赤い航空障害灯が点灯もしくは点滅し始めていた。
それまでバドミントンに興じていた大人や、走り回っていた子供達も帰り始め、人はまばらになっている。犬の散歩をしている人が、少しいるくらいだ。
二人は、前より明らかに自然に、手をつないで歩くようになっていた。
茉莉奈が、
「やば、寒いねー」
「うん、そうだねー」
寄り添うように、歩を進める。つないだ手だけが、あったかい。
「由香理さんの家、素敵だったなー」
「そんなことないよ、普通のワンルームだよー」
「教えてくれた音楽が素敵だったからかなー、そう感じたの」
「これからももっと、教えてあげるね」
「うん、いろいろ、由香理さんに教わりたい」
「こちらこそ!魔法いろいろ教えてね、大学の勉強のためにも」
「うん!」
「ね、今度、茉莉奈ちゃんの家にも遊びに行ってもいい?」
「もちろん、いいよ。ぜひ来て来てー!」
由香理が、
「そろそろ、帰ろっか」
「うん。あ、うち、公園から割と近いんだ。歩いて帰るね」
「あたしは子志駅まで、電車だな。じゃあ、またね」
二人は名残惜しそうに手を振って、別れた。