一緒に魔法使ってくれますか?
紺のブレザー姿の茉莉奈と、白のセーター姿の由香理は、部屋で寄り添った。
BGMには、変わらず「ウィ・アー・オール・アローン」が流れている。リピート再生になっているのだ。
茉莉奈は、再度、確認する。
「本当に…いいの?私と一緒に魔法使ってくれる?」
「いいよ♪」
由香理はどこまでも楽しそうだ。
茉莉奈は、意を決して、由香理と抱き合う。
そして…二人は、キスをした。
そのまま、茉莉奈は、思いを込め、精神を集中させる。
それだけではない。由香理も、思いを込め、気持ちを一つにした。
「二人に、勇気をください…!」
次の瞬間。
キスしたままの二人の体を、ピンク色の光が包み込む。そして、茉莉奈と由香理の髪、スカートが、ふわふわ揺れた。
それは、十数秒だったが、二人には、その時間がもっともっと長く感じられた。
そして。
その現象は、ピタリと止んだ。
「…終わり」
茉莉奈が呟いた。
「今ので?」
由香理が聞き返す。
「そう、今ので」
由香理は何故か残念そうに、
「もう、終わりか…」
と呟いた。
「え?何?」
今度は茉莉奈が聞き返す。
「何でもない♪」
「…とにかく、これで、お互い、勇気が出せるようになったはず」
「そっか。明日、試してみよっかなー」
二人は、抱き合ったままで話す。
そう、キスをした二人がこれを機に、お互いのことをより意識するようになったのは間違いないだろう。そう、思いません?