相談
由香理は訊いた。
「それで、茉莉奈は、その子のこと、どう思ってるの?」
「嫌いじゃないけど、好きでもないし、なんとも思ってないっていうか」
「そうなんだー。じゃあ、いいんじゃないのー、断っちゃえばー」
「でも、断りにくくて」
「じゃあ、OKしてみればー?案外うまくいくかもよー」
「でも…」
「何ー、他に好きな人でもいるのー?」
「え、いないけど…」
茉莉奈は、実は、由香理に惹かれ始めていたのだが、そんなことはもちろん言えなかった。
「じゃあー、付き合っちゃえばー」
「うーん、なんか嫌」
「じゃあー、断ればー」
「うーん…」
煮え切らない茉莉奈。
茉莉奈は、話を変えようと、
「そういえば、由香理さんはどうなの、彼氏と。浮気がどうとか言ってたけど」
「あー、ねー、やっぱー、浮気してるくさいんだー」
由香理は下着姿で、あっけらかんと笑う。そういう茉莉奈も上半身下着だが。
そんな二人の格好も、だいぶ馴染んできた。不思議なものだ。
「じゃあ由香理さんは別れるの?」
「うーん、それが、言い出しにくくてさ」
「え、でも、それは確かなんでしょ?」
「うん、最近、知らない香水の匂いがすることがよくあるし。日曜はいつもなんだこんだ理由つけていないし。今日だって土曜だけど、旅行に行くとか言っていないけど、本当はどうなんだか」
酔いが覚めてきた様子の由香理は、野菜スティックをかじりながら、缶チューハイをグイッとあおった。
「じゃあ、やっぱ別れなきゃ」
茉莉奈がただすと、
「でもねー、勇気が出ないのー」
再び酔ってきたのか、語尾をのばして由香理が答える。
由香理は缶が空になると、もう一本のチューハイに手を伸ばす。
「由香理さん、そんなに飲んで大丈夫?」
「へーきへーき」
と、グビグビいく由香理。その言葉とは裏腹に、顔は真っ赤になり、下着姿で露出した肌までもが赤くなっている。
由香理は完全に酔っ払ってしまったようだ。
「茉莉奈ー♪」
と抱きついてきた。上半身の肌と肌が、直接触れる。
「うわっ…!」