会いたかった
土曜日。
茉莉奈の高校は、この日、午前中だけ授業があった。
授業中、茉莉奈はこっそりラインしていた。相手は由香理だ。
由香理から、
「ねえ、今日の夕方から、遊ばない?」
と送られてきた。
「うん、部活の後なら暇だからいいよ」
「あたし、いっぱい、話したいことあるんだ笑」
「そうなんだ!私も私も笑」
「だからさ、夜はうちに泊まらない?土日、彼氏いないし」
「うん、ママに聞いてみる♪」
授業が終わると、茉莉奈は家にメールした。結果、お泊まりOKだった。
由香理とは、四時に、戸沢遊園地駅で待ち合わせた。
茉莉奈は部活が終わるとすぐに、いつものようにリュックを背負って自転車で家に帰り、自転車を置いてから、着替えずに戸沢公園駅へ行き、電車に乗った。
その頃、由香理は、先に戸沢遊園地駅に着いて、待っていた。スマホで、AORを聴きながら。彼女のイヤホンから流れていたのは、デヴィッド・ポメランツだった。歌い上げる彼のボーカルが、耳に馴染む。
「お待たせー」
制服のままの茉莉奈が、電車から降り、改札で待っていた由香理の前に現れた。
「茉莉奈ちゃん、着替えてないの?」
「うん、急いで来ちゃった。早く会いたかったし。それに、由香理さんと制服でデート、したいし♡」
茉莉奈は照れくさそうに言った。
「そっか。いいね!デート、しよしよ♡」
二人はすっかり、いい雰囲気だ。
仲良く手をつなぎながら、駅前の遊園地へ向かった。