告白
茉莉奈に声をかけたのは、黒髪ショート・ヘアーで爽やかな感じの、柳沢駿。
実は彼、さっきも、彼女を羨望の眼差し、というよりは、ぶっちゃけ、恋する気持ちで見ていたのだ。彼女はまったく、気づいていないのだが。
駿は、彼女の大人っぽい顔と、ポニー・テールの組み合わせに、すっかりやられてしまっている。
「な、一緒に帰らない。話したいこともあるしさ」
駿に言われ、茉莉奈は迷った素振りを見せたが、
「私、自転車だから」
と断った。
「そっか。じゃあ、ちょっと話だけでも…」
「また今度でいいかな。じゃあね」
あっさりと断った。
「あ、ああ…今度な」
残念そうに駿は答え、茉莉奈を見送った。
別の日、また駿は茉莉奈に、声をかけた。
部活の終わった後だ。
「ちょっと大事な話が…」
「大事な話って、何?」
「いやその…それは二人になってから話すよ」
「マジか、別にいいけど。どこにする?」
「部室で誰もいなくなるまで待とう」
「わかった。いいよ」
しばらく二人が待つと、部室は誰もいなくなった。
「で、なに、話って…」
「ええと…お前、付き合ってる奴とか、いるのか?」
「え、いないけど」
「そうなんだ、あのさ…」
「…何よ」
「付き合ってくんない?」
「どこに?」
「いや、そうじゃなくてさ」
「そうじゃなくて、何よ」
「俺、お前のことが」
「えっ、えっ…」
「好きだったりなんかして」
「マジか…」
「うん」
「やば…」
「あ、返事はいつでもいいからさ」
「待って、本気?」
「本気だよ」
「…わかった、考えとく」
「よろしく…」
告られてしまった。茉莉奈は、まだ、頭の中が整理できていなかった。
どうしよう。取り敢えず、由香理さんに相談かな。