竜王祭カウントダウン 5
「あふ………… けんじゃタイム…… かも」
「いや、賢者タイムて……」
僕の膝の上でシルヴィが、眠そうにしながらそんな事を言う。
どうやら僕との濃厚なキスを堪能した事で、ある程度は満足できたらしい。
性欲を満たしたら、次は睡眠欲と言う訳だ………… けだものですね、シルヴィさん。
「少し寝たらいいんじゃないか?」
「寝るって………… 性的な意味で……?」
眠そうにしているシルヴィの頭を撫でてそう言って見れば、彼女がそんな異次元的回答をしてくる。
何を言ってるんだろう、こいつは。
「性的な意味じゃない方だよ………… さ、少しだけ休みな」
僕はそんなシルヴィを抱きしめ、背中をさすり睡眠を促す。
もう、ちょっと面倒くさいから、ガチで眠らせてしまおう。
「…………………………………ちぇ」
するとシルヴィは少しだけふてくされた顔をし、僕に身を預けるようにして目をつむるのだった。
「……………お休み、シルヴィ」
「………………………うん」
……………………………よし。
眠ったみたいだな。
どうやらここ最近、徹夜で研究を行っていた様だから、しばらく眠らせた方がいいだろう。
まぁ、シルヴィの体内にも僕のスライムを少なからず投与してるので、ある程度は体の無理もきくのだが、それでも気遣うにこしたことは無い。
なにせロリっ娘のバディは世界の宝なのだから。
「………………だが、おかげで研究自体は大分進んだみたいだな」
シルヴィに任せたホムンクルスの研究はかなりの速度で進んでいる様だ。
どうやた、彼女はこの研究をかなり気に入っているらしく、相当に入れ込んでいる様なのだ。
そんな彼女の貢献に加え、理想郷の闇市の力で、元来手に入りにくい「ヤバい」品も集め易くなっているため、その進行スピードに拍車がかかって来ているのだ。
今後、研究資金の調達も安定するため、進行速度は更に加速して行く事だろう。
ふふ…………
この研究が、完成すれば、ついに「あの場所」へと攻めいる事が出来る様になる。
そう、「あの場所」へ……
この大陸で最も過酷で困難な、「あの場所」へだ。
魔界上位クラスの戦闘力が無ければ攻略できないとされる、超高難易度のダンジョン。
魔界以外で、唯一魔界級の戦闘レベルを持つ場所…… 『剣聖の墓所』に、向かう事が出来るのだ。
「くふふ…… 楽しみだなぁ」
あぁ…… 夢が広がる。
『剣聖の墓所』を攻略する事が出来れば、その次はついに魔界攻略を視野に入れる事が出来る。
そして、その先には……
「………………まぁ、今はまだ先の事だ」
そう、今はまだ先の事。
この、目の前に迫る、竜王祭という一大イベントをこなした後での話だ。
今は目の前の事に集中しよう。
そう……
とにかく今は下地作りに専念すべきなのだ。
「さて…………」
取りあえず、爆薬の手配はあらかた完了した。
想定していたより大分早く必要量があつまったな。
ふふ……
やはり理想郷の闇市は便利だ。
こういったヤバい取引の進行スピードが桁違いに早い。
流石は悪の温床だ。
悪事の育ちが実に良いと言う事なのだろう。
あとは、この爆薬を各所に埋め込むだけだ。
それでおよその準備は整う。
それさえ済めば、後は……
「あとは情報収集だけだな…………」
最終計画に必要な情報を集めるだけだ。
そう……
粛清対象の情報をな…… くくく。
「よし…… そろそろ次に行くか」
この後も予定が詰まっている。
竜王祭まで、もうだいぶ近くなってきているのだ。
効率的に計画を消化しなくてはならない。
ぐっすり寝てるシルヴィには悪いけど、このまま立ち去らせてもらうとしよう。
「………………じゃあまたね、シルヴィ」
僕はシルヴィを起こさぬよう、小さくそう囁き、立ち上がる。
すると……
「………………………むにゃ、ご主人様 ……恥骨を、そんなぁ」
僕の去り際に、シルヴィが謎のねごとを零すのだった。
「…………………恥骨かぁ」
はたして……
シルヴィの夢の中の僕はいったい、どの様な変態プレイに興じていると言うのだろうか?
「んぅ……ッ… 尾てい骨ぅ…!」
「………………なぜに骨盤付近の骨を?」
単純に気になる所である。




