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58話 その④

欲。


むき出しの欲。


ドロドロとした、人間の欲。


触れれば爛れる、熱い欲望。


「それを解放するのが…… 理想郷シャングリラ


ここは、新生ギリアン地区の地下に広がる巨大な市場。


人の欲望を売り買いする、世界の裏のマーケット。


倫理の底辺を這い、自由の根元を司る、混沌の闇市。


それこそが新生ギリアン地区公認の、非公式地下歓楽街『理想郷シャングリラ』である。


「……ここでは何でもできる、全てを求める事ができる」


そう…… 


ここは全てが叶う場所。


全ての欲望が叶う場所。


いかなる欲も満たす事ができる場所なのだ。


例えば……


「ほ、本当にこんな美人が抱けるのか?」


「本当に…… これだけ払えば、あれをしてもいいのか? アレだぞ? いいのか?」


「はぁはぁ、よ、ようじょは…… 最高なんだなぁ……」


「ソープ? なんだそれは? え? お風呂?」


例えば性欲。


即ち女を抱くと言う欲望。


つまりは…… 風俗である。


そして、これこそが理想郷シャングリラの基本。


闇市にして色町、理想郷シャングリラメイン商品である。


「あぁ…… これだ、このいかがわしさ、不健全な雰囲気、最高だ」


僕は、分かりやすくいやらしいネオンの光に目を細め、そう呟く。


「くふふ…… 我ながら、とても素敵な街になったものだ」


頬を撫でるは情欲まとう生温い風。


舌に味わうは興奮の渇きと生唾の味。


鼻くすぐるは甘く淫靡な香のかほり。


耳に切なく届くは誘いの呼び声。


見て楽しむは白い娼の胸元。


「不健全ここに極まれりだな」


僕は風俗店が立ち並ぶ街並みを見つめ、感慨深くそう呟く。


僕の努力の結晶たる、この街を見つめてそう呟く。


ここにはありとあらゆる夜の店が集められている。


沢山の情欲が集められてのだ。


キャバクラやガールズバーの様な比較的健全な店から、オッパブやランパブやストリップの様なエロイ店。


更にはソープやイメクラの様な本番の店。


そしてSMクラブやフェティシズムを堪能する専門店の様なアブノーマルの店。


もう、本当に、全てだ。


しかもそれらの店は、僕のつたない風俗知識を元にサキュバスの豊富な性知識により発展させた、この世界独自の進化を遂げた風俗である。


多分、全てが元の世界以上の物であると思っている。


そのエロさと言ったらマジだ。


マジでヤバい、半端ない。


本当にエロエロである。


研修と称し一通り試した僕が言うのだから間違いない。


その感想を一言で言うとしたら……


もの凄く気持ち良かった。


その一言に尽きるだろう。


うん、風俗ってすごいなって思った。


何というか、星屑さん大勝利である。


まぁ…… 


ここだけの話、室内で焚いてるお香がそこそこ強いセックスドラックである為、どうあがいても気持ち良くなってしまうのだが。


ギリアン地区特産、無農薬栽培の素材により配合した、依存性の無い超健全?媚薬により、強制的に理想郷シャングリラしてしまう訳なのだが。


生産者直売「私がつくりました」こと星屑さんが、丹精を込めて、真面目に不真面目してしまっている訳なのだが。


とにかく……


完全に理想郷シャングリラ、本当に凄いのである。


ちなみに僕の風俗知識を発展させ、ここまでに仕上げたサキュバスと言うのは勿論マリアでは無い。


マリアに頼んで探させた、各地に封印されていたサキュバス達である。


ちなみにこれこそが、今回の新事業に際しマリアに頼んでいた仕事であり、同じサキュバスとしての共鳴を用い探索をできるマリアにしかできない事であったのだ。


とにかく、僕はそれにより多数の(マリアと違ってロリじゃない為興味なし)サキュバスを従え、そのサキュバスたちに僕の風俗知識をコンセプトとした業態アイディアの捻出と、それに伴う風俗嬢の技術育成を任せたのだ。


そしてそこに用いる風俗嬢とは、僕が奴隷市を独占したことにより安定的な確保が可能となった女奴隷共である。


つまり僕は大量に確保した女奴隷共を、僕のスライムを用いてなんやかんや整形し、その女の骨格に適合する最適化美人にした上で、それをサキュバス達により性のプロへと育成、その上でビジュアルと個人の能力に合わせた、その嬢がもっとも輝く風俗業態へと派遣すると言う……


頭に「風俗」とさえつかなければ、極めて真面目な仕事をしていた訳なのだ。


「ふふ…… 僕ってばまっじめー」


まぁ、実際結構真面目である。


なにせ風俗嬢達には奴隷とはいえ、ちゃんと個々の仕事の出来に見合った給料を払っているし、その給料により自分を買い戻す事を認めている。


とは言え、それには現役の風俗嬢達の仕事に対するモチベーションを確保する狙いと、「奴隷になっても僕の所なら安全」と言うイメージを世間に持たせる事で、奴隷及び風俗嬢に身を堕とす事の敷居を下げ、人材の確保を容易にさせる狙いがあったりするのだが。


まぁ、この理想郷シャングリラにおいて、風俗嬢達は「メイン商品」である訳なのだから、生産ラインの確保と品質向上に気を使うのは当たり前なのである。


実際のところ僕の所の嬢になれば、ある程度の美人になれる上、本場サキュバスによる一流の性技も身に着けて床上手になれ、更には金を稼げると言う、十分なメリットがあるのだ。


この世界従来の風俗業態から比べれば、真面目過ぎるほどに真面目で誠実と言えるだろう。


「まぁ…… 真面目なのはそこまでなのだけどね」


そう、真面目なのはそこまで。


真面目に取り組んでいるのは、僕の管理下…… 僕の身内側までの話である。


つまり……


客側の事は知った事じゃないのだ。


お客様の立場に立った経営とか知った事ではない。


僕は奴らを堕落させ、搾り取れる所まで搾り取ろうと思っている。


そう…… 正々堂々、人間を狂わせようと思っているのだ。


「さぁ…… 僕に見せてくれ、人の堕落する滑稽な様を」


ここには、数多の堕落の種がまいてある。


沢山の風俗店と共に、数多の悪の苗床があるのだ。


これからここは…… 


どんどん混沌として行くだろう。


日を追うごとに、黒く染まってゆくのだろう。


そう、きっと……


風俗にはまって、金をつぎ込む奴がいるだろう。


この世界には無かった、現代風のカジノも設けているので、そこで破産するやつもいるだろう。


モンスターを使った競馬の様な物や、コロシアム的な設備だってある。


高級料亭然とした店も沢山あるので…… 


きっとそこで、数えきれない程の黒い取引が行われるだろう。


悪は栄え、悪事が蔓延るのだ。


人は、理想郷シャングリラへと集う。


喉の渇きを癒すために、ここへと集う。


表向きは健全なギリアン地区に行く様にして……


本当はこの理想郷シャングリラへと向かうのだ。


そう、大好きな堕落を求めて、人はここへ集まるのだ。


そして、生まれるのだ…… 


沢山の悪事がここで生まれるのだ。


そしてそれらが毒虫の如く、ここで蠢く事だろう。


この舞台シャングリラで……


この遊女の街で、数々の繁栄ロマン破滅ドラマが生まれるのだ。


この世界はもっと楽しく成る事だろう。


そう…… この世界は、今まで健全すぎたのだ。


「くふふ…… 実に楽しめそうだ」




僕は……


僕はそもそも、資金の確保とエル―の地盤の確保の為に商売を初めている。


それらは全て、この国を掌握し、鳳崎を思うままに陰から操れるようにせんが為だ。


だが…… 


それだけなら、別にこんな事はしなくてもいい。


こんな面倒くさい商売なんてしなくとも、やりようはある。


わざわざ「人の土俵」の中で、あくせくする必要などないのだ。


なのに、なぜこんな事を僕はしているのか?


なぜ…… 


僕はこの街を作り、この場所に理想郷シャングリラとつけたのか?


何故か?


それは…………



「ふはははははぁ!! 酒だ! 女だ!!」


「金だよ金ぇ!! 世界は金で出来てるんだよぉ!!」


「くひひ…… これ、もっとよこせよぉぉぉ!!!」


「うわぁぁぁ!!! 金、全部すっちまったあぁぁあああああ!!」


「あはははは!! 楽しいなぁ!! 最高だぜぇぇぇえええ!!」



それは、僕が…………


「くふひひひ…… なんて無様な」


僕が楽しいからだ。


人の堕落する姿が、心底楽しいからだ。


こういったダメ人間どもを、心の底から見下すのが楽しいからだ。


ああ…… 


なんてどうしようも無いクズども。


なんて愚かな人間ども……


なんて無様で、なんて滑稽で、なんて救いようが無いのか。


ああぁ…… たまらない。


人間は、果てしなく底抜けに、愚かだ。


そう…… 


僕も、こいつらも、変わらずクズなのだ。


「ふふ…… なんて居心地がいいのか、ここは」


そう、人間は誰しもクズ。


エゴの塊で、欲の塊。


正義、悪なんてものは、それをどう表現しどこに向けているか……


そしてそれを誰がどう見るかと言うだけの話だ。


人間の種類は立った二種類だけ。


エゴを通し、欲を満たせる奴と、そうで無い人間だけ。


そして勿論僕は……


「楽しいなぁ…… くふふ、人生は楽しい」


それを愉しめる方である。


御宮星屑 Lv1280


【種族】 カオススライム 上級悪魔(ベルゼバブ)


【装備】 なし


〔HP〕  7050/7050

〔MP〕  3010/3010


〔力〕 7400

〔魔〕 1000

〔速〕 1000

〔命〕 7400

〔対魔〕1000

〔対物〕1000

〔対精〕1100

〔対呪〕1300


【眷属】


マリア(サキュバス)


【契約奴隷】


シルビア


【契約者】


ユエルル・アーデンテイル


【従者】


エルヴィス・マーキュリー


【舎弟】


御宮緋色


【スライムコマンド】


『分裂』 『ジェル化』 『硬化』 『形状変化』 『巨大化』 『組織結合』 『凝固』 『粒子化』 『記憶複製』 『毒物内包』 『脳内浸食』


【称号】


死線を越えし者(対精+100)  呪いを喰らいし者(対呪+300) 


暴食の王(ベルゼバブ化 HP+5000 MP+3000 全ステータス+1000)


龍殺し(裏)


【スキル】


悦覧者アーカイブス』 『万里眼ばんりがん(直視)』 『悪夢の追跡者ファントム・ストーカー


絶投技オメガストライク』 『火とめ焔れの一夜ハートストライクフレイム


味確定テイスティング』 『狂化祭(カーニヴァル)』 『絶対不可視殺し(インビシブルブレイカー)


常闇の衣(コートノワール)』 『魔喰合(まぐあい)』 『とこやみのあそび』 


喰暗い(シャドークライ)』 『気高き悪魔の矜持ノブレス・オブリージュ』 『束縛無き体躯(フリーダム)』 


完全元属性(カオス・エレメント)』 『魅惑アプローチ


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