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57話 その④

「どうしてパパを………… 先王を殺したのですか?」


エル―は言う。


怯えを携えたまま…… だけども強くはっきりと。


感情を…… 彼に唯一残されている、復讐と言う感情をむき出しにして、彼はそう言った。


「ねぇ…… どうして? どうして私のパパを?」


迫る様にして、そして、どこか泣きそうな顔で、エリザベートにそう問い詰めるのだった。


「……………………な…っ」


その突然の発言に、唐突な問いかけに……


「………………何を…っ…」


思わず絶句をするエリザベート。


驚き、息を詰まらせ、目を見開き、そして言葉を失う。


そう…… 


エリザベートは、エル―からのその問いかけに、返答をする事が出来なかった。


すぐに返答を返せなかった。


しかし…… それは何よりも雄弁な返答であった。


「…………………………そうですか」


そう……


エリザベートは完全に……


「やっぱりあなたが……… パパを殺したんですね」


愚かな程に「完全に図星」な反応をしていたのだった。


「…………………き…さまァ」


まんまとカマをかけられたエリザベートは、一転、歯を食いしばり怒りの表情を浮かべて唸る。


何とも分かりやすく表情を変化させる。


しかし…… あれだな。


…………そこでその反応したら、もう認めたようなものだよね。


馬鹿だなこいつ…… なんなの? 死ぬの? 死ねば?


「まぁ………… 私自身も確証があった訳ではないのですが」


エリザベートの愚かな反応を、冷めた目で見ながらそう続けるエルー。


冷ややかな目でエリザベートを見上げ、見下すように睨みつける。


「だけど………… パパのあの亡くなり方は不自然だった」


先王の死。


それは余りにあっけなく、そして突然であった。


先王は…… ある日、なんの前触れもなく死亡したのだ。


眠る様に…… 唐突にこと切れていたのだ。


そして、その具体的な死因は今も分かっていない。


何分、色々と問題の多い王だった故に、何が起きてもおかしくは無い王だったのだ。


まぁ、誰かによる殺害の形跡が無い為、一応は「病死」と言う事になているのだが。


「もし、誰かが殺したのだとしたら………… それは、多分あなたなのだろうと思ってました」


エル―はエリザベートを睨みながらそう言う。


小さく震えながら、顔を蒼くしながら、明らかに恐怖をしながら。


だけど……


その小さな体いっぱいに、憎悪をたぎらせながら、彼はそう言いきる。


「私は許しません……… あなたを、絶対」


泣きそうな顔で、吐きそうな顔で、倒れそうな顔で、だけどはっきりとそう言い切るのだった。


「…………………………ふぅん」


言いきる、エル―に対し。


「で…………?」


エリザベートは開き直るようにして、高圧的な態度でそう返す。


一見落ち着いた風に…… 


「お前が許さなかったら…… なんだって言うのよ」


だけど明らかな激怒の視線でそう返す。


「ぺらぺらと、どうでもいい事しゃべって……… 本当にイラつくったらないわ」


そして、おもむろに、地面に落ちていた石を拾い上げる。


エリザベートは…… 怒りに任せたままにその手を振り上げる。


石を持った手を、頭上へともって行き……


「調子に乗るなよ…… 死ねよ、カスが」


エル―の頭蓋を砕かんとばかりに、その手を強く振りろすのだった。





「………………………………まったく、私の主に何をするのです?」


まぁ…… 


当然そんな事はさせない。


「……………な!?」


やらせた所で、何とかなる事ではあるけど、やらせてあげない。


「なんでお前…… 勇者は!?」


突然目の前に現れた僕に、驚き声を上げるエリザベート。


「何ぃぃ!?」


そして、それと同時に鳳崎もまた声を上げる。


「見の程をわきまえて下さいよ……」


「…………な!?」


あっけにとられたまま、僕を見上げるエリザベート。


それを僕は心底見下して、そう言ってあげる。


「いいかげんにしろよ…… このカス女が」


ああ…… 


やっちゃったんだぜ。


これで、鳳崎は危機感を多少なりとも覚えるだろうし、エリザベートもまた、変な根回しをして来るかもしれない。


予定より若干面倒くさい事になってしまうだろう。


計画に支障がでるかもなぁ。


だが…… 


まぁ…… いい。


もう、いい。


多少の不便さには、目をつむろう。


僕も、エル―も、もう十二分に我慢をしただろう。


そう思える程度には…… 


今、こいつらが、最高にうざったい。


「き………… 貴様ぁ!! 何やってやがるぅ!!」 


僕が容易く封印から抜け出した事に、狼狽をする鳳崎。


彼は、叫び、怒鳴りながらこちらを向き、そして『六芒転位門ヘキサグラム・ゲート』を開こうとする。


僕の元へ瞬間移動をしようとする。


「……もう遊びはおしまいです」


しかし僕はそこで、自身の「命中」のステータスをフルに発揮し、鳳崎が張っている「認識阻害」の結界をターゲットにする。


そして……


「……砕けろ」


そのまま結界を拳で殴ったのだった。


僕の「命中補正」により、本来触れないはずの結界を標的として捉え、無理矢理命中させて叩き割ったのだ。


「な………!? 馬鹿な!?」


「……………………何ですって!?」


驚き、無様にうろたえるエリザベートと鳳崎。


「ふふふ…… 結界殺しのスキルは意外でしたか?」


僕は、そんな二人の滑稽な姿をみやり、薄く微笑んでそう言う。


まぁ、実際はスキルとかじゃなくて「命中」のパロメータに物を言わせただけの力技なのだが。


良いように勘繰ってくれたらありがたい。


「さて、どうします?」


とにかく…… これで認識阻害は無くなった。


悪事を誤魔化すことが出来なくなった以上、奴らももう下手な手出しはできまい。


「このまま続けたらまずいのでは? お互いにね」


そして僕はにこりと微笑み、このクソ主従を見やるのだった。


「………………………っく」


「ちっ……………………」


すると二人は悔しそうな表情を浮かべ、一瞬互いを見合わせた後、そのままおし黙る。


そして無言のまま、じっと目を開き、憎しみのこもった目で僕を睨むのであった。


「ふふ… 決まりですね」


くふふ…………


悔しそうに黙るこの姿。 


なんともざまぁな姿である。


「エリザベート様… さっきまでのお話は、あくまで何の確証もない話ですから、こちらは何も致しません…… どうぞご安心下さい」


そして僕はエリザベートを見やり、僕は不敵な笑みでそう告げる。


「な…………!? あなた…… さっきまでの話を聞いてっ?」


するとエリザベートは、無様に動揺をして反応をする。


「それと、貴方が私の主にしてきた、『お楽しみ』も今は気にしなくて大丈夫です…… 何せ、貴方がして来た事は常軌を逸しすぎて、逆に誰も信じてはくれませんからね」


「な……!?」


そう、竜王祭が近いこの時期では……


王族同士が牽制し合うこの時期では、エリザベートの行き過ぎた虐待はリアリティに欠け、ただのネガティブキャンペーンに成り下がってしまうのだ。


だから、今はいい。


その落とし前は、まとめてつけてやる。


「だから心配しなくて結構ですよ…… それに、全ての落とし前は竜王祭でまとめてつけて差し上げますから」


僕はそう言って再度微笑み、そしてそう宣告する。


歯を食いしばり鬼の形相で睨むエリザベートと、僕に簡単に逃げられた後、くそカッコ悪く戻って来た鳳崎を見やり、微笑みと威圧を向けながら、そう言うのだった。


「…………………………………覚えてなさいよ」


ギリギリと歯ぎしりが聞こえてきそうな顔で僕を睨み、所謂テンプレの捨て台詞を吐くエリザベート。


「…………………………………………………お前、名前は?」


鳳崎もまた、苦虫を噛み潰したような顔で僕を見やる。


そして、ドスの利いた低い声で僕の名前を訪ねてくる。


「…………私の名前ですか?」


ふむ……… クズ子モードの名前か。


全く考えてなかったな。


まぁ……


とりあえず適当に考えておこう。


そう、適当に……


「ジョリーン・ジョースターです」


適当にジョジョから引用しておこうと思う。


まぁ、人間をやめてる点からみれば、ジョジョと言うよりDIOサイドなんだけどね、僕。


「ジョリーン・ジョースターか…… その名前、覚えておくぞ」


そして鳳崎は、最後にそう言って無様に立ち去るのだった。


「ふふふ…… 忘れて下さい」


嫌にテンプレな去り方をした主従コンビを、僕は一応笑顔で見送る。


「………………………はぁ」


しかし…… 何とまぁ、疲れるコンビだった。


「本当にウザいし、きもちわりぃ奴らだ…… 吐き気がするね」


こうして僕は、エル―のお披露目を、なんとか終えたのだった。


「さて、とりあえず帰りましょうか…… 我が主」


「…………………………はい、我がマイマスター


もう、とりあえず今日は帰ろう。


御宮星屑 Lv1280


【種族】 カオススライム 上級悪魔(ベルゼバブ)


【装備】 なし


〔HP〕  7050/7050

〔MP〕  3010/3010


〔力〕 7400

〔魔〕 1000

〔速〕 1000

〔命〕 7400

〔対魔〕1000

〔対物〕1000

〔対精〕1100

〔対呪〕1300


【眷属】


マリア(サキュバス)


【契約奴隷】


シルビア


【契約者】


ユエルル・アーデンテイル


【従者】


エルヴィス・マーキュリー


【舎弟】


御宮緋色


【スライムコマンド】


『分裂』 『ジェル化』 『硬化』 『形状変化』 『巨大化』 『組織結合』 『凝固』 『粒子化』 『記憶複製』 『毒物内包』 『脳内浸食』


【称号】


死線を越えし者(対精+100)  呪いを喰らいし者(対呪+300) 


暴食の王(ベルゼバブ化 HP+5000 MP+3000 全ステータス+1000)


龍殺し(裏)


【スキル】


悦覧者アーカイブス』 『万里眼ばんりがん(直視)』 『悪夢の追跡者ファントム・ストーカー


絶投技オメガストライク』 『火とめ焔れの一夜ハートストライクフレイム


味確定テイスティング』 『狂化祭(カーニヴァル)』 『絶対不可視殺し(インビシブルブレイカー)


常闇の衣(コートノワール)』 『魔喰合(まぐあい)』 『とこやみのあそび』 


喰暗い(シャドークライ)』 『気高き悪魔の矜持ノブレス・オブリージュ』 『束縛無き体躯(フリーダム)』 


完全元属性(カオス・エレメント)』 『魅惑アプローチ


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