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49話 斬新な入社の儀

「こんにちわー」


僕はにこやかな笑顔と爽やかな声でそう言い、『ラグナロク』の拠点である旧ギリアン地区公営ギルド会館廃墟へと近づく。


「あぁ……?」


「……っんだ、てめぇ」


「へらへら笑ってんじゃねぇぞコラ」


「どこの奴だよ……ああ"っ?」


すると僕が入口に近づくなり、ガラも頭も悪そうな四人の不良が絡んでくる。


モヒカン、パンチ、金髪、リーゼント……


世紀末系にチンピラ系、チーマー系に暴走族系か。


………なんだろう、この世界の不良って統一性ないな。


ざっと見まわしただけで、この入口付近に30人くらいは不良がたむろしているけど、全体的に見て統一性がない。


一応『ラグナロク』のチームマーク見たいのは皆、身に着けてるみたいだけど、それ以外は自由の様だ。


ふむ…… つまりはまぁ、基本的には有象無象の塊ってとこか。


逆に言えば、ここのリーダーはその有象無象をまとめ上げれるだけのカリスマ性をもっていると言う事になるわけだが……


そうなると、少なくともユエと同じ位のカリスマ性はあるってことか。


………なら、使えそうだな。


「おいおい、どうした?」


「何黙ってんだよおまぇっ!」


「どうしたんでちゅか~? 僕ちゃん怖くなっちゃったんでちゅかぁ~」


「ぎゃはは!! 止めろよお前、こいつビビってんじゃん」


僕が周りを見渡しながら考え事をしていると、僕を囲む四人がそんな事を言う。


ふむ、面がキモイな、実にキモイ。


「おいおい、早く片付けちまえよぉ」


「なんなら俺が代わりにやってやろうかぁ~?」


他の不良共も、少し離れて所からニヤついてそう言う。


おお、うぜぇ。


しかし…… あれだな。


こんなに不良不良してるやつらに囲まれてるのに、全然動じなくなったな、僕。


昔はこんな状況になったら、確実にテンパっていただろう。


これは単に僕が強くなったからってだけじゃなく、きっと僕自身が…… 僕と言う人間その物が根本的に変わってきてるんだろうな。


まぁ…… そもそも人から悪魔に変わってしまってるんだ。


ある程度精神も変わっていなかったら、それは嘘ってもんだろう。


でも……


だとしたら、僕ってなんなんだろうな。


今の僕って…… なんなんだろうな。


体も心も変わってしまって…… 何をもって、僕なんだろうな。












「くふふ……」


そんなの決まって決まっているだろう。


考えるまでもない。


「復讐とロリ……… それが僕」


故に僕在りって奴だ。




「おい…… 何言ってんだお前?」


「薬でもやってんのかこいつ」


四人の中の一人が、僕に臭い顔を近づけてそう言って来る。


さて……


自分を顧みるのはまた今度にするとしようか……


まぁどうせ僕は悪魔だ、時間はいくらでもある。


そうだな…… 100年後くらいに、やりたいことをやりきった頃にでも振り返ってみるとしよう。


全部取り返しがつかなくなってから振り返ると言うのも…… いっそ潔いだろう。


じゃあ、仕事するとしようか…… こいつら、そろそろウザいし。


「おい」


僕は顔を近づけてきたモヒカンに、笑顔でそう言う。


「あ"?」


そして、低音の声でそう言ってくるモヒカンの面を……


「ぐぎゃぱぁっ!?」


思いっきり殴りつける。


「がぎゃあぁぁぁぁっっ!!??」


まぁ、正確にはモヒカンの周囲を取り巻く大気を殴りつけただけなのだが。


僕の〔命中〕レベルをもってすれば、空気すら命中対象としてとらえることが可能だ……


僕の〔力〕で生身の人間を直接殴ると、手加減してても顔面がグシャったトマトしちゃうからな。


もちろん対象が幼女であれば、コンマ数ミリ単位での力加減が可能な訳だが、相手が男でしかも大嫌いな不良となると、隙あらば殺しにかかってしまう。


いけないいけない。


殺さないって難しいなぁ。


「お…… い」


「て…… めぇ?」


弾丸の様に吹っ飛びながら、激しく転がるモヒカンを見つめて、他の不良共が呆けて呟く。


「ふぅ……」


僕は、そんな呆けたバカ面をさらす不良共を見回して……


「キモイ顔近づけんな…… 僕に近づきたきゃ、幼女になってから出直してきな」


渾身のキメ顔でそう言ったのだった。


「………………あ?」


「な……… なんだこいつ、やべぇ」


「ああ…… なんかやべぇな」


「そうとうやべぇぞこいつ、いろんな意味でやべぇ」


すると不良達全員が、僕を見つめながら冷や汗をかいてそう言う。


ふ…… どうやら僕の強さに恐れをなしているようだな。


「こいつ、全員で殺っちまおうぜ」


入口付近にいる不良が全員立ち上がり、そしてその中の一人がそう言う。


……不良が全員僕を睨み、じりりと間を取る。


「くふふ…… さぁ、かかって来いよ、非ロリ廃産物共がぁッ!」


全員…… このたびはわが社に、入社おめで御座いますぶちのめしてやんぜ




――――




「死ねぇぇ!!!」


「この糞野郎ぉぉぉ!!」


「調子のってんじゃねぇぇ」


「や、やった!!」


不良4人が僕に背後から一撃を加える。


僕はそれをわざと食らい、律儀に「ぐ……」っと苦悶の声と苦痛の表情を浮かべてやる。


で……


「ぐひゃぁあああ」


「ぐおおおお!?」


「ぶぇぇぇぇあぇっ!!」


「うばぁああああッ」


そいつら4人を取り巻く大気に命中指定をかけ、それをぶん殴る。


4人は文字通り四散してそこら辺にぶっ飛ぶ。


もちろん殺してはいない。


「ふぅ……」


これでいったい何人目だ?


100を超えたあたりから数えるのを止めたが……


ふむ…… さすがはこの国最大の不良グループ。


相当な数だな。


殺さないでしかも人間的な範疇で敵を倒す縛りプレイは、さすがに骨が折れるな。


まぁ、ぶっちゃけ疲れたりとかは無いけど、相当にめんどくさい。


いっそ、全員まとめてサクッとぶっ飛ばせたら楽なんだけど……


さすがに大人数をまとめて吹っ飛ばす攻撃を放っといて、一人も殺さないよう微調整をするってのは難しいからなぁ。


もちろん遠距離から一人一人にターゲットを絞ってのスナイピング連射でなら、ノーキルでの全員瞬殺も可能なんだけど……


遠距離でただ倒しても意味ないしな。


やっぱ頭の悪い不良に「わからせる」ってなったら、「直接拳で」って方がいいだろうし。


その上で「悪魔的」な「超次元の強さ」って訳ではなく…… あくまで「人間的」な「異次元の強さ」を演出するために、苦戦してる体を演出しなくちゃいけないし。


はぁ…… めんどくさ。


…………ん?


どうやら…… ようやく終わりみたいだな。


「お前、凄く強いなぁ…… 気に言ったよ」


その声が聞こえると同時に、周りの不良共が恐れをなす様にして離れていく。


ふむ…… 凄い気迫だな。


ようやくお出ましって訳か。


「よくもまぁ俺の手下共をこんなにしてくれたもんだ……」


黒い長髪、赤い目、圧倒的な存在感…… そして低い身長。


こいつが、このマーキュリー王国最大のヤングギャングチーム「ラグナロク」のリーダー。


『赤目』と呼ばれる少年のリーダーだ。


「強い奴は好きだ… ああ…… 自然と笑顔になっちまうよ」


なんでこんなショタが最強のヤングギャングチームのリーダーをやっているのか……


実はそれには、国を跨いだ秘密があったりする。


僕が『悦覧者アーカイブス』で調べた所によると、どうやら赤目は西の王国…… マーキュリー王国の隣国にして軍事国家である「ディヴァルース帝国」が作り出した人間兵器実験体の失敗作であるらしい。


で、その「ディヴァルース帝国」が、その失敗作であるこいつを、廃棄とマーキュリー王国への嫌がらせ兼ねて、マーキュリー王国内に放置したらしいのだ。


まぁ、「ディヴァルース帝国」からしては適度に厄介な戦闘力と殺戮性を持ったこいつが、適当にマーキュリー王国の害になると考えたのだろう。


しかし……


ここで「ディヴァルース帝国」は二つの誤算をしていた事に気が付いていなかった。


一つは、こいつが実は「失敗作」ではなく、ただの「発展途上」であったこと。


こいつはマーキュリー王国に捨てられ、スラム街に行き着いてから、戦闘を繰り返す中で急激に自己進化を遂げ、そして……


あっと言う間にギャングチームを統べるまでに強くなってしまったのだ。


まぁ、「ディヴァルース帝国」の実験内容を見る限り、求めていたのは「即戦力の破壊兵器」であった様だから、そう言った意味で言えば確かにこいつは失敗作といえる。


だが…… 「勇者並の異常成長力」を持っていたこいつは、今や「ディヴァルース帝国」の他の実験体をはるかに上回る戦闘力をもっている。


これほどの驚異的な戦闘力は、正に「ディヴァルース帝国」にとっては誤算だったろう……


まぁ…… 異常なのは成長力だけであって、どうやら成長限界は異常ではないらしいので、僕にとっては脅威にはならないのだが。


「さぁ…… 戦おう…… 戦おう戦おう戦おうっ!!」


そして「ディヴァルース帝国」のもう一つの誤算。


それは、こいつに刷り込んだはずの「殺戮性」はこいつの自己進化の過程で……


「さぁ!! 俺と戦おうッ!!あそんでよっ


ただの「戦闘快楽性バトルジャンキー」に成り下がっていると言う事だ。


「くふふ…… いいぜ遊んでやるよ」


まぁ、そんなわけでこの「赤目」と呼ばれる、生後3年で見た目年齢小5位の不良ショタ野郎は、今や強すぎて戦いに飢える始末と言う訳だ。


「そして、教えてやる」


だが…… こいつは未だ知らない。


このスラム街に流れついてから、強い敵にあたるたびに都合の良い「覚醒」みたいのを繰り返してきたこいつは…… まだ知らない。


「格の違いって奴をなぁ…… くふふ」


絶望的な力の差が在ると言うのを…… 知らないのだ。



御宮星屑 Lv1280


【種族】 カオススライム 上級悪魔(ベルゼバブ)


【装備】 なし


〔HP〕  7050/7050

〔MP〕  3010/3010


〔力〕 7400

〔魔〕 1000

〔速〕 1000

〔命〕 7400

〔対魔〕1000

〔対物〕1000

〔対精〕1100

〔対呪〕1300


【契約魔】


マリア(サキュバス)


【契約奴隷】


シルビア


【契約者】


ユエルル・アーデンテイル


【従者】


エルヴィス・マーキュリー


【スライムコマンド】


『分裂』 『ジェル化』 『硬化』 『形状変化』 『巨大化』 『組織結合』 『凝固』 『粒子化』 『記憶複製』 『毒物内包』


【称号】


死線を越えし者(対精+100)  呪いを喰らいし者(対呪+300) 


暴食の王(ベルゼバブ化 HP+5000 MP+3000 全ステータス+1000)


龍殺し(裏)


【スキル】


悦覧者アーカイブス』 『万里眼ばんりがん(直視)』 『悪夢の追跡者ファントム・ストーカー


絶投技オメガストライク』 『火とめ焔れの一夜ハートストライクフレイム


味確定テイスティング』 『狂化祭(カーニヴァル)』 『絶対不可視殺し(インビシブルブレイカー)


常闇の衣(コートノワール)』 『魔喰合(まぐあい)』 『とこやみのあそび』 


喰暗い(シャドークライ)』 『気高き悪魔の矜持ノブレス・オブリージュ』 『束縛無き体躯(フリーダム)』 


完全元属性(カオス・エレメント)』 『魅惑アプローチ

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