47話 少女の別離と
「王子の許可はもらってきたし…… さて、それじゃあ具体的な計画を話すとしようか」
いつもの宿屋の中、僕は、僕の可愛いお姫様達三人を前に話を始める。
僕らがこれから具体的にどのような商売を始めるのか、そしてどのような計画でそれに至るのかを話始める。
「う、うん」
「………わかったぁ」
「君が何を考えているのか…… それがようやく聞けるのだね」
三人はそんな僕の事を真剣に見つめ、そして真剣に話を聞いてくれている。
あぁ…… キラキラした瞳のロリが、熱く熱く僕を見つめている、これだぁ…… これだよ。
…………って、ちがう、ちがう、今は説明だ。
「僕たちはこれから頑張って街を開発して ……………を造ります」
僕、真剣な顔で三人に向い、そう言う。
「うん?」
「…………って、なに?」
「………………星君、どういう事だ」
すると、僕が放った言葉に三人がポカンとする。
……まぁ、無理もない。
僕が言ったのは、ロリにはもっとも縁遠い言葉の一つだろうからな。
「つまり僕らはこれからギリアン地区の住民を締め上げて支配し、そこに……した……を……して、……として売り出すのさ」
僕はこの商売におけるメイン商品の説明を三人にする。
具体的にその商品はどんなものなのかも含めて、詳しく説明する。
「で、そこにさらに市場や飲食店も加えてもっと賑やかにするってわけさ!」
加えて、その商品を基盤とした展開の仕方も説明しておく。
しかし……
「………うん?」
「………わかったぁ?」
それを説明したところで、それを正しく理解できるのは……
「……………………君、正気か?」
ユエだけだろうけどな。
まぁ、ぶっちゃけユエさえ分かっていればそれでいいのだけど。
「もちろん正気さ、僕の力とユエの力、そしてエル―の地位があれば十分に可能だよ」
僕は怪訝な顔を浮かべるユエに微笑み、そう言う。
「…………確かに可能ではあると思うが、難しいぞ」
するとユエは、僕を見上げて鋭い目をしながらそう返した。
さすが天才カリスマ経営者だ、仕事スイッチが入っている時の迫力は半端ないな。
実に良い目だ…… その鋭い瞳、ぞくぞくするよ。
「いや、簡単だよ…… 別に舐めてる訳じゃない、ただ、この目的を確実に達する為に必要な工程を、僕はちゃんと考え用意しているし、そしてそれはどれも僕にとっては現実的で成功の確信ができる事柄だ」
僕は鋭い視線を送るユエに目線を合わせ、ニヤリと笑ってそう返す。
「もう一度言おう…… 簡単だよ、確かに手間はかかるだろうがそれだけだ、これは僕とユエがいれば至極簡単な案件さ」
僕はじっと彼女を見つめ、そう言ったのだった。
すると……
「…………………………………ふん、まぁ、君がそう言うのならば、きっとそうなのだろうな」
ユエは僕から軽く目線を反らし、少しだけ頬を赤くしてそう答える。
「……ちょっとユエっ、あんた何赤くなってんのよ! 真面目な話してたんじゃないの!?」
「な……っ! 僕は赤くなってなどいない!」
「えへへ、ユエとご主人様だけじゃないよ…… あとシルビアもいるよ?」
「あたしだっているわよっ!」
そんなユエと僕を見て、僕の可愛い二人も話にまぎれて来るのであった。
「ごほん……っ! で、それで?」
しばしマリアになじられた後、ユエが平静を装いながら僕にそう言う。
「それで…… 先立つ物はどうするのだ」
再びの真面目な顔で、僕をキッと見上げて聞いてくる。
さすがは経営者だ…… 当然そこを聞いてくるか。
くふふ……
「お金の事かい?」
「そうだ、これだけの事業、必要となるのは生半可な金額ではないぞ…………… って?、ど、どうした?」
そう言って来るユエを、僕は微笑みながら抱き上げる。
そして彼女を抱っこしながら彼女をじっと見つめ……
「アカシックカンパニーを売れよユエ」
にっこり笑顔でそう言ったのだった。
「…………………は?」
すると、ユエは顔を唖然とさせてそう言う。
ふぅむ…… さすがユエ、驚いた顔もチャーミング。
「アカシックカンパニーを売って、僕の為に金を作れよユエ」
そんなユエに僕は、続けざまにそう言う。
「え……… あ、で、でも…… え? ………えぇ?」
いつも冷静なユエだが、さすがに動揺を隠しきれないのか、どもりながらそう言う。
「ほら、どうせユエにはがっつり僕の仕事を手伝って貰わないといけないからさ、どのみちアカシックカンパニーの経営は続けられないだろ? だったらさ、売っちまおうぜ?」
しかし僕は、動揺するユエを畳みかけるように言う。
「で、でも…な、何も手放さなくてもいいじゃないか…… 社長を代わりに立てるとかすれば、とりあえずお金は入り続けるし」
そんな僕に対し、懇願するようにしてそう言うユエ。
「だめだ、今必要なのは短期間につぎ込むでかい金だ…… ユエなら分かるだろ?」
しかし僕は、それを笑顔で却下する。
「で、でも…… わかるけど、でも、あれは僕が一から作り上げた会社で、それでいろんな思いでもあって、僕が頑張って…… ほんとに頑張って……」
ユエは少し泣きそうになりながらそう言う。
僕に助けを求めるようにそう言う。
うん……
わかるよ、ユエ。
君にとって、あの会社は特別なんだよね?
単に兄との約束の為ってだけじゃない。
あの会社は君の努力と趣味と愛情の結晶なんだよね。
凝り性の君が沢山の愛を注いで育てあげた……
友達であり、おもちゃであり、子供である…… いびつな兄弟愛と孤独な社長業の中で、唯一純真に愛を注いだ物。
それが君にとっての会社だ。
だけど…… だけど、君はそれから離れるべきだ。
「ユエ………」
「きゃぅっ!?」
僕はユエを強く抱きしめる。
強く抱きしめて彼女の耳元に口を寄せる。
そして耳元に息を吹きかけるようにささやく。
「ねぇ……ユエ」
「な……… なに?」
そう、君は…… 君は離れるべきなんだ。
会社から完全に離れるべきなんだ。
そんな愛着のあるものなんて手放すべきだ。
でないと……
「会社と僕…………… どっちが大事なんだい?」
でないと僕だけを見れないだろう?
「ぇっ……ぅ……」
ユエが圧迫感を感じる程度に強く抱きしめ、冷たい声でそう言う僕。
「………ねぇ、ユエ、答えは一つだよ」
「ひゃう……っ!?」
僕はユエの耳を、彼女が軽く痛みを感じる程度に噛み…… そして促す。
一つしか正解を許さない答えを…… 促す。
ユエは……
「ほ………… 星君がいちばんだよ」
消え入りそうな声でそう言うのだった。
「ユエ…… もっとはっきり言って?」
僕はユエの顔を見やり、そして笑顔で言う。
笑顔で脅迫して、言う。
さぁ、ユエ…… 君は誰の物なんだい?
「星君が…… 僕の一番だよ」
そんな僕を…… ユエは少し泣きそうな顔で、だけどはっきりと僕を見据えてそう言うのだった。
「………………ありがとう、ユエ、僕も君が一番好きだよ」
僕は優しくユエを撫でて、そして優しくキスをしてそう言う。
「…………………うそつき」
ユエは僕の腕の中で何か吹っ切ったように、そして何かをあきらめたように脱力する。
「本当さ、僕は嘘なんてついてないよ………… ただし、同立で1位だけどね」
僕はそんなユエをぎゅぅっと抱きしめてそう言うのだった。
「星君って、本当に…………… ほんっとぅに、最低だよね」
そしてユエは僕の首元をぎゅぅっと抱きしめながらそう返す。
「そうだね、知ってる…………………… でも君は最高に素敵だよ、ユエ」
だから僕はユエに甘く、そう言うのだった。
「…………………………死ね」
すると、ユエは僕の首元に顔をうずめ、拗ねたような、甘えるような声でそう呟く。
…………くぅぅ、やっぱユエは可愛いなぁ。
くふ……
まぁ、これで「アカシックカンパニー」を売れるな。
どのみちユエが経営を離れる時点であの会社の下落は免れない…… 売るなら一番高く売れる今だ。
さぁ……
僕の野望の礎になって貰おうか。
御宮星屑 Lv1280
【種族】 カオススライム 上級悪魔
【装備】 なし
〔HP〕 7050/7050
〔MP〕 3010/3010
〔力〕 7400
〔魔〕 1000
〔速〕 1000
〔命〕 7400
〔対魔〕1000
〔対物〕1000
〔対精〕1100
〔対呪〕1300
【契約魔】
マリア(サキュバス)
【契約奴隷】
シルビア
【契約者】
ユエルル・アーデンテイル
【従者】
エルヴィス・マーキュリー
【スライムコマンド】
『分裂』 『ジェル化』 『硬化』 『形状変化』 『巨大化』 『組織結合』 『凝固』 『粒子化』 『記憶複製』 『毒物内包』
【称号】
死線を越えし者(対精+100) 呪いを喰らいし者(対呪+300)
暴食の王(ベルゼバブ化 HP+5000 MP+3000 全ステータス+1000)
龍殺し(裏)
【スキル】
『悦覧者』 『万里眼(直視)』 『悪夢の追跡者』
『絶投技』 『火とめ焔れの一夜』
『味確定』 『狂化祭』 『絶対不可視殺し』
『常闇の衣』 『魔喰合』 『とこやみのあそび』
『喰暗い』 『気高き悪魔の矜持』 『束縛無き体躯』
『完全元属性』 『魅惑』




