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ああ勇者、君の苦しむ顔が見たいんだ  作者: ユウシャ・アイウエオン
第二章 新たなる自分への転生(人間やめよう)
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28話 一つの完成

「も…… もぅ… やめてくれぇ…… 悪かったぁ…… 私が悪かったから」


10キロ先の森の中。


悪魔が、魔法陣の上で虫の息で這い蹲っている。


悪魔伯爵デグラフルートが今、僕の聖石攻撃によって息絶えようとしている。


「さて…… じゃあ終わりにしますかね?」


伯爵の前にいる僕の生首が…… いやらしい顔をしてそう告げる。


「や…… やめろぉ………… やめてくれぇ………!!」


力なく、悲痛な叫び声をあげながらそう言う悪魔。


最早悪魔の威厳など、かけらもない…… 惨めで情けない姿。


僕は、そんな悪魔を遥か先で見下し、そして……


「終わりだよ」


最後の一投を振りかぶった。


そして、強く握り締めたその石・・・を悪魔めがけて…… 僕は思い切り投げた。


「や…… やめろ、やめろ……… やめてくれぇぇぇぇ!!!!!」


その石は、真っ黒な奇跡を描き、そして悪魔の心の臓を捉え、貫く。


「ぎゃあアアアアアアあああああああああああああああああああああああああああッッ!!!」


そしてその石は真っ黒に、毒々しく、禍々しく輝く。


「ああああああああああ……………… あ?」


その黒い光は……


「こ…… これは……」


監獄所「セントラルケージ」に封印されていた魔石は……


「この魔石はまさか……… まさかぁ!!」


悪魔に……


「私が数百年捜し求めていた…… 『アルドレデシアの魔石』」


力を与えるのだ。



「が…… がはははは!! 力が漲る、漲ってくるぞぉぉぉぉ!! あ、はは!! な、なんのつもりかは知らんが、これで私が負ける事はなくなったぞおおおおおおお!!」


その魔石、『アルドレデシアの魔石』は悪魔に強大な力を与え、その悪魔を進化させる力を持った恐ろしいアイテムだ。


まぁ、それゆえ王国内で秘密裏に保管されていたのだが。


とにかく……


これでこの悪魔ことデグラフルート伯爵は上級悪魔の中層から、上級悪魔の高位へと押し上げられたわけだ。


まぁ、自分でやっておいてなんだけど…… これは非常にリスキーな状況な訳だ。


何せ上級の高位と言ったら、伝説級に限りなく近い強さであり、事実上、普通・・の生物がたどり着ける最高位の強さだ。


相当に強い。


今の僕では、この優位的な状況であっても倒せないほどの強さといえるだろう。



まぁ、もちろん普通・・にやればの話なんだけどね?



「悪魔魂精契約事項第13章5節『契約違反発覚時二オケル主契約悪魔二カセラレシ罪過』…… 【トガノクサビ】執行」


僕は、幻界に存在する悪魔の法、『悪魔幻法』の一説を復唱する。


「ぐぁ!?」


その瞬間に、まるでデグラフルート伯爵の体から生えるように黒いクサビが飛び出し、拘束する。


これはちゃんと魂悪魔導契約書グリモアを用いて契約したからこそ申請できる、理不尽な契約を行った悪魔に対しての罪の請求だ。


もちろん…… これだけで何とかなる上級の高位ではないが。


「続いて…… 行け、ホリスの大群」


次の瞬間、僕は魔法陣の周りの地面に仕込んでおいたホーリースライムの大群に声をかける。


「きゅむぅーーーーーーーーー!!!」


いやに高い泣き声を放ち、悪魔へと群がる青白いスライムたち。


これは、シルビアたんの所で購入した『最高級聖水』の中で培養したイノスの分身体…… それを大量に増殖したものだ。


その、主な特徴は「ホーリースライム」の名の通り…… 悪魔の嫌いな聖性が付与されていると言う事だ。


つまり……


「ぐあああああ!? なんだコイツらは!! ぐぅ!? がぼぉ!? ぐ!! 邪魔だああ!!」


悪魔のステータスを下げる効果がある。


これで、クサビと聖水をこの悪魔にくれてやった。


相手のステータスは大分減退しているはずだ。


だが…… まだこれでは終わらない。


上級の高位を舐めちゃいけない。


相手は僕の完全な格上だ。


まだ完全に力が馴染んでなくて、ダメージが残ってる今のうちに畳かけるぞ。



「『魂魄支配(オーバーソウル)』、全開発動」


僕は自分の魂の力を全開にする。


肉体を完全に支配し、限界以上に稼動させる。


これで僕の力は一時的に1.5倍…… 8767だ。


その代わり、あとで反動が凄いんだけどね……


「加えて『完全体(パーフェクトバディ)』」


完全体(パーフェクトバディ)』は僕の力のステータスが5000を超えた時にボーナスで手に入ったスキルだ。


その能力は「筋肉の完全制御」だ。


魂の力で無理やり稼動させる『魂魄支配(オーバーソウル)』とは違って、自身の筋肉を脳内イメージの通りにコントロールできるようになるという能力だ。


火事場の馬鹿力をいつでも出せるようになる能力だとでも言えばいいのだろうか?


まぁ、正直なところ『魂魄支配(オーバーソウル)』と重ねがけしても余り意味がないんだけど…… 多分ちょっと強くなると思う。


「そして………  『狂化祭(カーニヴァル)』ぅ……」


僕は…… 更にスキルを起動する。


そして、その瞬間に僕の体に赤いオーラが噴出す。


禍々しく、人の怨念が篭った…… 血の様に赤いオーラが噴出す。


そして…… 同時に僕の体に激しく力が漲る。


激しく猛り狂う。



狂化祭(カーニヴァル)


そのスキルの能力は…… 実にシンプル。


連続で喰った人間の数だけ【力】が強くなる。


それだけである。


発動条件は人を連続で100人以上喰らうこと……


そして…… 僕がこの前監獄所にて、連続で食った人間の数は116人。


それがこの『狂化祭(カーニヴァル)』の力を通す事で…… 僕の力は116%になるのだ。


つまり、今の僕の【力】がさらに1.16倍…… つまり10170。


一万越えの暴力だ。


さぁ…… あとはここにハイドドラゴンコンボ。


『クロスコーの雫』に『麻薬』…… 『ハートストライクフレイム』だ。


「くけけ………」


さぁ、悪魔伯爵。


進化して嬉しい所悪いんだけど………


そろそろ終わらせてもらうよ。


これであなたを殺して契約は破棄。


そしてマリアは無理やり僕の物にする。


そんな訳で……


「お父さん、娘さんを僕に下さい」


僕は…………



「な! がぁ!? ぎゃあああああ!! 熱い!! 熱いぃぃ!! ぐぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」



上級悪魔の高位を、めちゃくちゃにぶち殺した。


――――


「これで…… ようやく手に入れる事ができたよ」


僕はさっきまで魔法陣があった場所に降り立ち、そして、そこにある赤黒い物体を手に取る。


「怨念にまみれた、最上級悪魔の魂…… くふふ」


そして僕はそれを……


「ではさっそく……… 頂きます」


ごくりと…… 飲み込んだ。


「が………っ!?」


その瞬簡にドクリと高ぶる僕の魔核。


「ぐぁ…… むね……がぁ!!」


それが、胸の中でばきばきと割れ…… そしてより大きくなり広がる。


「あ…… 熱い!! ぐあああああああああああああああああああ!!!」


僕の魔核は燃え盛り、そしてその炎が僕の体を燃やしてゆく。


そして、燃えた先から再生し…… 


「うおおおおおおおおおおおおお!!!」


僕の体は…… 生まれ変わる。


「がはぁぁっ!! はぁっ!!! はぁ……! はぁっ……」


魔力が漲り、禍々しいオーラを放ち、凄まじいまでのプレッシャーを放つ…… 上級悪魔の高位へと生まれ変わる。


「はぁ………… くふふ……… これが」


これが………


膨大な魔物ハイドドラゴンを喰いちぎり、大量の人間しゅうじんたちを喰い散らかし、果ては悪魔さいじょうきゅうさえも喰らう…… 底なしの悪食に与えられし称号。


暴食の王ベルゼバブか………」


あぁ…… これは思いの他、良い気分だ。


これが悪魔の気分か。


くふふ…… いいなぁ。




「ほ………… 星屑…… さま?」


ん?


マリアが…… 僕に様付けだと?


まぁ…… 悪くはないけど、どうした?


「どうしたんだいマリア…… いきなり様付けだなんて」 


僕はマリアに微笑んでそう言う。


「え…… だ、だって、星屑様は上級の悪魔ですし」


…………なるほど。


マリアが今まで僕に敬語を使わなかったのは、単に僕が悪魔じゃないからだったのか。


まぁ、確かに下級の悪魔は上級の悪魔には絶対に逆らえないものらしいからな。


礼儀と言うより本能的なものなんだろう。


「今まで通りでいいよ…… これは命令だ」


僕はマリアを見やり、そう言う。


「わ、わかった」


マリアはそんな僕の視線に、一瞬びくっとなった後、こくこくと頷いた。


ふむ…… どうやら無駄にプレッシャーが強くなってるみたいだな。


調整が必要みたいだ。


「それよりマリア?」


「なに?」


僕はマリアを抱き寄せてる。


「どうする? これで完全に君は一生僕の所有物だ」


僕はマリアを抱きしめて、微笑む。


「一生逃げられない……」


そして、マリアの耳元でそう言ったのだった。


「ぅ…………」


それに、一瞬ぶるりと身を震わせるマリア。


「私は…………」


マリアは少し顔を赤くして……


「逃げる気なんて……… ないもん」


僕にそう呟いたのだった。



※ マリアさんの人生、ある意味終了のお知らせ。


御宮星屑 Lv1280


【種族】 上級悪魔ベルゼバブ(高位) スライム


【装備】 なし


〔HP〕  7050/5050(+2000HP分のスライムで構成)

〔MP〕  3010/3010


〔力〕 7400(『魂魄支配(オーバーソウル)』により1.5倍まで引き出し可能)

〔魔〕 1000

〔速〕 1000

〔命〕 7400

〔対魔〕1000

〔対物〕1000

〔対精〕1100

〔対呪〕1300


【契約魔】


マリア(サキュバス)


【使い魔】


イノセントスライム ミッドナイトスライム 内臓スライム(×2000) マッスルスライム ホーリースライム 色とりどりスライムセット100個入り


【称号】


死線を越えし者(対精+100)  呪いを喰らいし者(対呪+300) 


暴食の王(ベルゼバブ化 HP+5000 MP+3000 全ステータス+1000)


龍殺し(裏)


【スキル】


悦覧者アーカイブス』 『万里眼ばんりがん(直視)』 『ストーカー(Ⅹ)』


『オメガストライク』 『ハートストライクフレイム』 『バイタルコントロール』


魂魄支配(オーバーソウル)』 『味確定テイスティング』 『狂化祭(カーニヴァル)


絶対不可視殺し(インビシブルブレイカー)』 『完全体(パーフェクトバディ)』 『常闇の衣(コートノワール)


魔喰合(まぐあい)』 『とこやみのあそび』 『喰暗い(シャドークライ)


気高き悪魔の矜持ノブレス・オブリージュ

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