21話 運命の始まり
さて、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
どうも、喰屍鬼でスライムと言う自分でもよくわかんない生物こと、僕です。
一応鬼と言う分類にはなるのでしょうか?
それともスライムなんでしょうか?
まぁ、どっちでもいいです。
僕は僕だし。
「ねぇねぇ、なんか星屑ごきげんだね?」
僕と手を繋いで横を歩くマリアが、僕を見上げてそんな事を言う。
ん? 僕がごきげんだって?
そりゃあそうさ……
「くふふ…… これからシルビアたんの所に行くからね、楽しみだよ」
ああ、早くあの愛らしいシルビアたんを愛でたい。
できる事ならペロペロしてくんかくんかして……… むしゃむしゃしたい。
あ…… いや、むしゃむしゃはだめだろ。
全くこれだから喰屍鬼は、自重、自重。
「…………………………………むぅ」
ん?
なんか、マリアが僕を見上げて睨んでいる。
どうした?
「……………星屑」
マリアが、ちょっと怒った顔で僕を見る。
「わたしのおっぱい揉んでいいよ……!」
「…………………………どうした?」
と、僕はマリアの小ぶりな胸を揉みながら言う。
「んっ…… ぁ… だ、だって星屑がぁ………」
顔を真赤にして僕を見上げるマリア。
ちょっと涙目になってそう言う。
………………………………………あぁ、ヤキモチか。
くふふ…… 愛い奴め。
「大丈夫だよマリア」
僕はマリアと目を合わせながら、そう言う。
「だって君は僕の正妻だからね」
ニコリと微笑んでそう言う…… 胸を揉み続けながら。
そう…… マリアは僕の嫁。
契約魔である彼女に拒否権はない。
そして、離れる事も絶対にできない。
マリアは完全に僕の所有物。
その体も、人生も、呼吸も汗も血も…… 全て僕の物だ。
「せ……… せいさい………!」
僕に胸をもみもみされながら、顔を真赤にして驚くマリア。
僕を潤んだ瞳で見ながらぷるぷると震える。
「ああ、だからシルビアたんに僕が浮気してるからって気にするな、いつだってドンと構えてるのが正妻の役目だよ」
まぁ、シルビアたんにも本気だけどね、僕は。
「わ…… わかった!」
手をぐっとして、張り切るマリア。
ああ、コイツ本当に馬鹿だわ。
完全にダメ女だな。
でもそんな君が最高に大好きだよ、マリア。
くふふ……
「さて…… それじゃあそろそろ行こうかマリア」
うん、そろそろ行かないとまずい。
さっきから周りの人が、僕たちを見てひそひそ話し始めている。
まぁ、「往来で少女の胸を一心不乱に揉み続ける男」の絵はやばすぎるか。
僕もそう思います。
「わかった、行こう!」
そして、僕たちはまた歩きだす。
「へへ……… 正妻かぁ…」
マリアは嬉しそうに、小さくそう呟いたのだった。
――――
「おい!! てめぇ!! 売れねぇってどういう事だよ!!」
ん………?
なんだ、この怒鳴り声?
シルビアたんの店から聞こえる……… しかもこの声って。
僕は、シルビアたんの工房に近づき、窓から店の中を見る
「おいお前…… 俺が誰だかわかってんのかよ?」
「知ってる……… 勇者だろう?」
そこには怒鳴られながらも毅然と立つシルビアたんと……
「なら解れよ…… 俺が売れって言ったら売れ!」
そのシルビアたんに怒鳴り散らすクソ勇者……
鳳崎の姿あった。
「だから、何度も言っているだろう…… この〔紅煉石〕は私の最高傑作だ、気に入った奴にしか売らない」
………………どうやら、鳳崎がシルビアたんの工房にあるあの赤い石を欲しがっているらしい。
で、それをシルビアたんが突っぱねていると。
「ねぇ…… 星く……んんッ!?」
僕の真横にきて、何かしゃべろうとしたマリアの口を僕はふさいで黙らせる。
「んん!! んっ!?」
ついでにおっぱいも揉んでおく。
いや…… 今はマリアのおっぱいよりシルビアたんだ。
「てめぇ…… 女だからって俺が手をださねぇとでも思ってんのかよ?」
「脅しても無駄だよ…… これは売らない、君のような奴には絶対に売らない」
イライラとしながらシルビアたんに凄む鳳崎。
シルビアたんは顔色一つ変えずに、そんな鳳崎を見つめ返す。
「てめぇッ!! いい気になりやがって!!」
「きゃ!?」
鳳崎はついに痺れをきらして、シルビアたんの胸倉を掴む。
「売れよ…… 俺のいう事をきけ」
「い、いやだ」
鳳崎はシルビアたんのローブを引っ張り、顔を近づけて睨みつける。
シルビアたんは苦しそうにしながらも、鳳崎を睨むのをやめない。
ふむ……………… どうしようか?
うーむ、今鳳崎をぼこるのは簡単だけど、そうすると計画に支障がでるし、なにより僕が強いのがばれてしまう。
それに、鳳崎は王との契約で一般人を傷つけてはいけない事になってるしな。
あいつは意外とびびりだし、そこらへん上手く立ち回るから、そこは守るだろうしな。
まぁ、とりあえず様子見でいこう。
…………………と、僕がそんな事を考えていたら、不意に「ビリィ」と布が裂ける音がする。
「きゃ!?」
部屋に響く、シルビアたんの悲鳴。
どうやら、鳳崎がローブを無理に引っ張ったせいで胸元が破けてしまったようだ。
その際に、シルビアたんの胸元があらわになってしまう。
そして……
「ぉ………………… なんだお前、下着つけてねぇのかよ」
そうシルビアたんは、下着を着けていないのだ。
「ぐ………」
顔を赤くして、胸元を隠すシルビアたん。
「へぇ…… なんだよローブ一枚とか、お前変態だったのか?」
鳳崎はそんなシルビアたんの胸元を嘗め回すように見て、そしてニヤリと下卑た笑を浮かべる。
「ち、違う、調合には皮膚感が大事だから………… 余計な布は邪魔なんだ!」
シルビアたんはそんな鳳崎をキッと睨みつける。
「ふーん…… 気が変わった……」
鳳崎はニタニタとシルビアたんを見て嗤う。
「またこの店にくるから、その時にその石売れよ………」
「だから、貴様のような奴には売らないとなんども……!!」
そして……
「で…… 一回犯らせろ」
「はぁ!?」
下卑た笑いを浮かべてそう言った。
「な…… なに言ってるんだお前は……」
心底呆れたようにして言うシルビアたん。
「良く考えておいた方がいいぜ? 俺は勇者だ…… 持ってる力がお前とは何もかも違うんだ」
鳳崎は、くるりと背を向ける。
「じゃあな…… いい返事を期待してるぜ?」
そして店を出て行ったのだった。
「な……………… なんだったんだあいつは……」
しんと静まる店内。
シルビアたんは疲れたようにそう呟く。
ふむ…… とりあえず俺もそろそろ店に入るか。
マリアは……
「んぁ…… ぁっ… ッ……っ」
いつの間にか僕の腕の中でびくびくと痙攣して、くたぁっとなっていた。
しまった…… 胸もみ続けたままだったか。
うん、とりあえずここにおいて行こう。
僕は工房の中に入る。
「こんにちはお姉さん」
僕はそう声をかける。
「少年………」
シルビアたんは僕を見て、少しほっとしたような顔をする。
「もしかして…… 今のを見ていたのか?」
そして少しバツが悪そうな顔をする。
「はは…… みっともない所を見せてしまったな」
少しうつむいて、そう言うシルビアたん。
「あ…… そうだ…… この前頼まれていたもの用意できているよ」
シルビアたんは無理に笑いながら、そう言う。
僕は……
「いいんですよ…… 無理しなくて」
「え………?」
シルビアたんをそっと抱きしめる。
そして、背中をさすり、頭をなでてやる。
「ぇ……………………」
シルビアたんは困惑したように一瞬固まる。
「もう大丈夫ですよ?」
しかし僕がぎゅっと抱きしめるとすぐに、安心したように脱力した。
「頑張りましたね……」
「ぁ………ぅ…………………」
幻術が解け、小さくなるシルビアたん。
そして……
「うん……… シルビア頑張った………」
ぷるぷると振るえながら、僕をキュッと抱きしめるのであった。
『悦覧者』で見た記録で、鳳崎が女を手に入れるときの手段は大体わかっている。
鳳崎、君は……
君は、なんていい仕事をするんだ!
くふふ……
いい事を考えついたぞ…… ぐふふ…… ああ、それはいい!!
最高だ!!
ああこれで……
くふふ…… これで……
君を確実に堕とす事ができるよシルビアたん。
「くふふふ…………」
変な男に絡まれ、異常者に目をつけられた不幸な少女、シルビアさんのご冥福をお祈りいたします。
御宮星屑 Lv532
【種族】 喰屍鬼 スライム
【装備】 なし
〔HP〕 3050/1050(+2000HP分のスライムで構成)
〔MP〕 510/510
〔力〕 3160(『魂魄支配』により1.5倍まで引き出し可能)
〔魔〕 0
〔速〕 500
〔命〕 2660
〔対魔〕0
〔対物〕500
〔対精〕600
〔対呪〕300
【契約魔】
マリア(サキュバス)
【使い魔】
イノセントスライム ミッドナイトスライム 内臓スライム(×2000) マッスルスライム
【称号】
死線を越えし者(対精+100) 呪いを喰らいし者(対呪+300)
悪鬼のごとく腐りきった者(グール化 HP+1000 MP+500 力+500 速+500 対物+500 対精+500 )
【スキル】
『悦覧者』 『万里眼(直視)』 『ストーカー(Ⅹ)』
『オメガストライク』 『ハートストライクフレイム』 『バイタルコントロール』
『魂魄支配』 『味確定』 『狂化祭』