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ああ勇者、君の苦しむ顔が見たいんだ  作者: ユウシャ・アイウエオン
第一章 夢と希望の始まり(勇者マジ殺す)
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13話 新たなるステージへと

『ハートストライクフレイム』は全魔力消費を条件に発動するスキルで、その破壊力は「思いの強さ」によって左右される「ピンチのときの必殺技」的スキルです。

「ふむ………」


僕は今、ガヴィード平原の中央で仁王立ちしている。


僕の周りには真っ黒な平原が広がるのみだ。



今回のレベル上げにおいて、僕には三つの大きな誤算があった。



一つ目は、あの僕が最初に戦ったオーガの事だ。


あれこそが、今回最大の誤算であり、全ての誤算の元凶と言える。


では、なぜあれが最大の誤算であったのか?


結論から言おう。


「聞いてた話より…… 強かった!」


うん……… ちょっとあれは無いよな。


だってさ、ガヴィードメタルオーガの平均レベルって600だって話だったじゃん?


でもさ、僕あれ倒した直後に341レベルだよ?


200レベル近く一気にあがったんだけど……


あのオーガ…… 絶対に700レベル近くあったよね?


そりゃあ、「平均」って話なんだから偏りがあるところにあるのは分かるけど……


その偏りに一発目から遭遇するとか…… 運悪すぎだろう…… 僕。


後で気がついたんだけど…… あのオーガ、他のオーガより一回り体でかかったしな。


すごい怖かったし。


でも…… あそこで逃げ出さないでよかった。


あそこで逃げてたら(力)でも(速)でも劣ってる僕が逃げ切れるはずも無いしな。


もし逃げ出してたら、完全に殺られてたと思う。


まぁ、でも今回の事は良い教訓になった。


今回の事でよく分かった…… 


僕の能力、『悦覧者アーカイブス』は…… あてにしてはいけない。


この能力は、正確な答えが導き出せるような能力でも、ましてや全ての答えが知れる能力でもない。


ただ…… 書物を読むだけの能力。


情報収集をするだけの力だ。


鵜呑みにしてはいけないんだ。 


情報には「誤り」も「主観」も「嘘」も「虚栄」もあるのだ。


そして…… 「真実」が無いこともあるし、僕自身がそれを見落とす事もある。


今回みたいに。


そんな事は分かっていたはずなのに…… 分かっていなかった。


つまり…… 今回のオーガの件の失態は、僕が「なんとかなりそう」と思っていたこと。


その、油断と慢心こそが「誤算」だ。


以後…… 気をつけよう。



そして二つ目の誤算。


それは、オーガに受けた僕の傷が、めちゃくちゃ酷かったことだ。


具体的にどれ位酷かったかと言うと……


死ぬ直前くらいまでだ。


僕はあの…… オーガとの戦闘の後。


倒れた。


極度の緊張による疲労と、『ハートストライクフレイム』の反動による肉体の損傷、それに加えてオーガにやられた右肩の重症。


そして……


その重症の傷口から入り込んだ…… オーガの血液。


その血液が僕の体を巡って…… 僕の体をめちゃくちゃにした。


まぁ、つまり、ガヴィードメタルオーガの血液は…… 


猛毒だったんだよね。


そして、あろう事か僕は…… オーガを遠くから攻撃しようと想定していた僕は、近距離で起こり得るその事態を全く想定していなかった訳で。


それが二つ目の「誤算」…… つまりは準備不足だ。


今後はどんな時でも安全マージンをしっかりとろう。



三つ目の誤算。


そしてこれは…… 嬉しい誤算。


今、実は僕が倒れてから三日後なのだが…… 


もう完全に体が回復している。


肩の重症の傷も治っている。


つまりは全てが完治している。


あのあと…… 僕がちょっと凄いことをしたからだ。


あの時…… 地面に伏した僕は…… 死を覚悟した。


なにせ、全身が毒で熱く焼け爛れるかのような感覚に襲われたかと思ったら…… その後急に体が冷えて動かなくなるんだもの。


そりゃあ、「あ…… 僕もう死ぬんだ」くらいのことは思うだろう。


だけど、僕は死ななかった。


死ぬ直前で…… 起死回生のアイディアを思いついたからだ。


そしてそのアイディアが非常に有効であったからだ。


まぁとにかく、僕はそのアイディアにより一命をとりとめて、その場所でミドスに周りを守らせながら、三日間過ごして回復したって訳だ。


で。


回復した僕は、レベルアップで得た昇格値を再び(力)と(命)に全振りした。


そして、僕は最初に倒したオーガの体の表面を剥ぎ取り。


それを他のオーガ達めがけて放ちまくった。


『オメガドライブ』を用いてガヴィードメタルオーガ狩りを行った。


同じオーガの体をぶつけるんだから、硬度的には劣らない。


そして命中が伸びたから、射程が延びた。


射程が延びたって事は、近い位置での投擲の威力が増したって事だ。


そしてそこに更にめちゃくちゃにあがった(力)を込める。


つまり半端なく強い弾丸が連射されるって事だ。


その時、僕が放った弾丸は簡単にオーガをつらぬいた。


もう…… オーガ狩りたい放題だった。


オーガの頭が面白いようにはじけ飛んで笑が止まらなかった。


………で、一時間くらいかな?


オーガを根絶やしにしてやったのは。



まあ、そんな訳で。


僕の周りは真っ黒なのだ。


生い茂るガヴィード草とガヴィードメタルオーガの……… とび散った体液で。


血がかかって気持ち悪いけど、どうせもう汚れてるから気にしない。


オーガの血の毒も、ちゃんとした人間じゃない僕にはもう効かないし。



ああ。


ちなみに、僕がどうやって生き残ったかと言うと。


僕はイノスを食べたんだ。


僕は瀕死の時に、イノスを食べた。


正確にはイノスの分身体を食べた。


食べた理由は「イノセントスライムを環境に適応させるため」だ。


そして適応させる環境は僕の体内。


そう…… 


僕はイノセントスライムを「僕の体に適応」させたのだ。


そして、そこからは腐食の森ですっかり手馴れた、使い魔の遠隔操作の応用で、どんどん僕の体にスライムを操作し馴染ませた。


「適応」「繁殖」「僕の肉体の補填」。


その三つの命令を延々と続けた。


スライムを何匹も何匹も僕の体内で増殖させ…… 馴染ませた。


いやぁ、人間追い詰められると何でもできるものだね。


もう僕のスライムコントールは、かなりのものだよ。


どんな緻密な命令だって執行できる自身があるよ。


まぁ、その結果、僕はスライムを操作することで、自分の『バイタルコントロール』が出来るようになり、一命を取り留めるどころか、超健康体になったのだ。


つまり最後の「誤算」は……


僕がちゃんとした人間じゃなくなってしまったことだなぁ。



で…… まぁそんな訳で今にいたる。


とにかく色々あって、この平原のガヴィードメタルオーガは全て狩りつくした。


一匹残らず駆逐した……


おかげでレベルも522にまで上がった。


最早笑えるくらいのレベルだ


で……


「『悦覧者アーカイブス』……」


ふむふむ鳳崎の今のレベルは180か…… うんうん、西門での戦闘、頑張ってるみたいだなぁ。


まあでも300以上レベルに差があれば……


ましてや(力)と(命)に全振りしている僕なら。


勇者の固有スキル……


「『広域感知サテライト』も『五重結界フィフスケージ』も……」


かいくぐれるし、貫通できるよね?


ねぇ…… 鳳崎君?


御宮星屑 Lv522


【種族】 人間(半スライム)


【装備】 なし


〔HP〕  1050/50(+1000HP分のスライム内蔵)

〔MP〕  10/10


〔力〕 2610

〔魔〕 0

〔速〕 0

〔命〕 2610

〔対魔〕0

〔対物〕0

〔対精〕100

〔対呪〕0


【使い魔】


イノセントスライム ミッドナイトスライム 内臓スライム(×1000)


【称号】


死線を越えし者(対精+100) 


【スキル】


悦覧者アーカイブス』 『万里眼ばんりがん(直視)』  『ストーカー(Ⅹ)』


『オメガストライク』 『ハートストライクフレイム』 『バイタルコントロール』


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