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ああ勇者、君の苦しむ顔が見たいんだ  作者: ユウシャ・アイウエオン
第一章 夢と希望の始まり(勇者マジ殺す)
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11話 はるか先にみえる栄光の糸口

「よーし、後すこしだから頑張ってくれよ、ミドス?」


「…………………………………………ぎゅぅ」


僕はずるずると大きな袋を引きずりながら僕の周りを壁のように囲む、ミドスに声をかける。


ミドスはイノスと違ってちゃんと返事をしてくれるのでありがたい。


きっと素直な子なんだね?


多分真面目ないいんちょキャラなんだね?


まぁ……


ただ、その声はめっちゃ低いんだけどね。


なんかやたらと野太いオッサンの声なんだけどね。


うん……


やっぱいいんちょキャラは無理です。


どう聞いても極道の濃いオッサンしか想像できない。


だめだ…… 僕に君は愛せないよ、ミッドナイトスライム。


「……………………ぎゅぅぅ」


な、なんだよそんな切なげな声を出すなよミドス。


はっきり言って気持ち悪いよ。


鳥肌が立つよ。


しかし…… あれだな。


元は同じスライムなのに、結構正確とか違ってくるんだなぁ。


ミドスは素直だけども、イノスはツンデレだもんね?


ね? イノス?


「……………………」


無視ですか、そうですか。



ちなみにミドスとは、僕のもう一つの使い魔、ミッドナイトスライムの事である。


あの、腐食の森を食い尽くさせた、元イノスの分身体のスライムの事である。


名前の由来は森を食い尽くした後、真夜中に僕の所に帰ってきたのと、その体の色が青みがかった黒…… つまりはミッドナイトブルーであるからだ。


ちなみにミッドナイトブルーと言うのは、僕が小学校の時に自ら名乗っていた二つ名の事でもある。


だから偶然にもこの微妙な色の色名を知っていたのだが、まぁ、正直痛い名前である。


だけど、あの時の僕はレベルが上がりまくった事と、深夜のテンションでちょっと興奮状態だったのだ。


やはり…… なんというか、一時のテンションで行動するものではない。


でもカッコイイからつける。


いいじゃないか、恥ずかしいけどカッコいいじゃないか、ミッドナイトブルー。


うん、カッコイイ(確信)。


「な? かっこいいよな? ミドス?」


「……………………ぎゅ」


ほら、ミドスだって気に入ってるみたいだ。


だからいいのだ、うん。


「イノスも言いと思うよな? な?」


「……………………」


無視ですか、そうですか。



まぁ、そんな訳で僕は今、周囲にミドスの結界を張りながら王国南側の平原を進んでいる。


まぁ、結界なんて大層なこと言っているけど、実際はただ僕の周りをぐるっとミドスで囲ませながら歩いてるだけだけなのだが。


いやしかし…… ミドスの効果は本当に凄い。


超凄い。


なにせミドスがこうしてるだけで、僕の周囲のモンスターは、一切僕に近寄ってこないのだ。


それは全て、ミドスの持つ魔物避けの力によるものだ。


そう…… つまり腐食の森を丸ごと食らったミドスには、あの腐食の森と同じだけの魔物避け効果があるのだ。


いや、あの森を丸ごと凝縮してるのがミドスであるわけだから、単純にあの森よりタチが悪いだろう。


なにせ、あの森の毒素をぎゅうっとこのサイズに濃縮還元しているのだから。


新鮮な腐食の森の芳醇なエキスを、ぎゅっと絞って固めたの濃縮還元1000%スライムなのだから。


そりゃあ、魔物も避ける。


裸足で逃げ出す。


まぁ、こっちから魔物に攻撃をしかけたら魔物だって黙ってはいないのだが、それはこちらから仕掛けなければいいだけの話だ。


ちなみに僕はミドスの契約者だから、ミドスの瘴気に触れても影響はない。


ただ物凄くくさいだけだ。


鼻が曲がって、一回転して元の正常な位置に戻るくらいに臭いだけだ。


もう…… 正直まったく嗅覚が働いていない。


完全に鼻が馬鹿になっている。


これ、ちゃんと直るんだろうか?



とにかく…… そんな感じで王国の南門を出て、朝から歩き続けること12時間。


力のステータスが765の僕にとってこの程度の歩行距離はたいしたことは無いが、さすがに長かったな。


だけど…… ようやく目的地についた。


僕がレベル上げの仕上げとして初めから目をつけていたところ。


王国周辺において、一番強い魔物が住まう平原。


真っ黒で、刃の如き高度を持つ「凶器なる魔草」ガヴィード草で埋め尽くされた真っ黒な平原……


「これが……… ガヴィード平原か」


それが…… 黒く輝くガヴィード平原が遠くに見える。


そして……


ああ、早速いた。


あれが、このガヴィード平原で唯一生息している生物。


鋼の如き硬さと、麻薬の如き興奮物質と快楽成分を含有する、ガヴィード草を平然と食せる世界唯一の生物。


「世界一攻撃的で狂気的な騒喰そうしょく動物」と呼ばれる化け物。


黒金の鎧の如き硬い肉体と、暴虐という言葉を体言するかの如き怪力…… 


そしてガヴィード草の快楽成分で常時ラリっているその狂気。


あれこそがこの…… ヴェージフト大陸における魔物の頂点。


平均レベル600レベルの魔物……


「ガヴィードメタルオーガ………… か」


しかも…… 


丁度良い事に一匹だけはぐれて、平原の端にいるのが見える。


何か…… 笑いながら草をむしゃむしゃとしている。


「距離にして目測4キロ……」


僕の有効殺傷範囲はおよそ5キロ…… 十分しとめられる距離か。


よし……


「いっちょう、る気出すか」


僕は袋の口を開き…… 鉄くずをぎゅうと握り絞めた。



御宮星屑 Lv153


【種族】 人間


【装備】 なし


〔HP〕 45/50

〔MP〕 10/10


〔力〕 765

〔魔〕 0

〔速〕 0

〔命〕 765

〔対魔〕0

〔対物〕0

〔対精〕0

〔対呪〕0


【使い魔】


イノセントスライム ミッドナイトスライム


【称号】


なし


【スキル】


悦覧者アーカイブス』 『万里眼ばんりがん(直視)』  『ストーカー(Ⅹ)』 『●●●●』

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