001.例えるなら日本の夜明けぜよ・・・意識改革
必要以上に冷える季節、それが冬。
その事実を改めて実感させられる今日この頃、この街には珍しい平穏という現実。
「寒くなければ完璧なんだがなぁ」
俺、英野 幸樹は束の間の平穏を街で享受するでもなく、家のおこたの中で丸まっていた。ミカンうめぇ。
「ちょっとこうちゃーん、お使い行ってきてー」
母の声が台所から聞こえた。現在俺は高校をサボタージュしており、学生と言う立場を除けば基本無職だ。しかし一応学校に籍は置いているのでなにも問題はない。
「こうちゃーん」
クソッ、こたつの魔力が母の言うことを聞くと言う息子である俺の使命を全力で阻害している!!これには勝てない!!
「というわけでやだー」
「どういうわけよ?!」
無論今のは脳内での台詞。口に出してないそれを母がわかるはずがない。しかし、
「ごめんごめん、今いくわ」
寒いながらも台所に立つ母を見ると無性に罪悪感が沸いてきたのでこたつに別れを告げる。
Good-bye温もり、Hello冬の乾燥と冷気。
じゃあここにメモとお金置いておくからー、と言って母は玄関の靴箱の上にそれらを置きこちらに、いやこたつに向かっている!!
まさか・・・・・・、全てはこたつを一人で占拠するための布石だったと言うのかッ?!
帰る場所を失った俺は仕方なく玄関に向かう。そして俺がとったメモに書いてあったのは、
『 計 画 通 り !! 』
の文字と買い物メモ。母のどや顔が即座に浮かんだが、やむを得ない。
俺は冬の風にさらされると言う苦難の道を歩む事にしたのだった。