七百年の眠り ネム・アムネシカの物語
ネム・アムネシカという少女は巫女だ。
眠る事で、天変地異から世界を守るという、重要な役割を持っている。
そんなネムは、天変地異が収まるまでの七百年間眠ったのち目覚めたのだが、世界は滅亡していた。
人々は絶滅し、ネムと同じ人間は誰もいなかった。
残されたシェルターでは、人が争いあった形跡だけが存在していた。
そんなネムに声をかけたのは、亡霊となったかつての魔法使いだ。
トライドの名乗ったその男性は、ネムに時をさかのぼる魔法と、肉体の時を止める魔法を教えた。
彼女は世界が滅びる前の世界ーー自分が眠りにつく前へと戻る。
その新たな世界でネムは、自らが背負うはずだった巫女の役目を他のものに譲り、世界が滅びる原因を探った。
世界では、天変地異の影響で予想以上に環境が変わったり、未知の脅威が増えたり、世界の変化で人々の心が荒み、疑心暗鬼になって互いを傷つけあったりしていた。
救うためには、守るだけではなく、人々に寄り添い共に歩むものが必要だった。
七百年の旅の間、それらの問題を片付けていくネムだが、最後に立ちはだかったのはトライドだった。
トライドは、優れた魔法使いとして国の中枢から頼りにされていたが、陰謀によって命を落とし、幽霊になっていた。
人々への憎悪を膨らませたトライドは、世界を滅亡させようとする。
ネムは彼を救えなかった事を後悔する。
時をさかのぼる魔法は100年ごとにしか行えず、100年以上前には遡れなかったからだ。
トライドは100年以上前に死んでいた。
そんなトライドは世界滅亡させるために、様々な事をしていた。
そのの計画に立ちはだかるネムは、何度も失敗してはやり直し、あきらめなかった。
ネムが何度もやり直している事に気が付いたトライドは、なぜ人々を守るのかと問いかける。
ネムは、巫女でなくなってもそれが自分の使命だからと返し、そしてトライドは本当は人を愛せる人間だから、という。
人々が滅びた世界でネムを導いたトライドには、人々に対する愛情があった。
だから、未来で悲しい思いをしないように、ここで止めると決意したのだ。
ネムの言葉に心を打たれたトライドは、最後の企てに失敗。
人類滅亡は回避されたのだった。
ネムはその後、魔法をといて寿命を迎えるまでに、トライドが人々を愛せるようになるまで傍で見守る事にした。
世界を救った誰も知らない巫女と、世界を滅ぼそうとした誰も知らない魔法使いの物語は、幕を閉じる。




