ステファニー・ケルトン著 「財政赤字の神話 MMT入門」 第5章ー4- 通貨主権と供給力
【書名・タイトル名】「財政赤字の神話 MMT入門」
【著者・作者】ステファニー・ケルトン
【発行元・サイト】早川書房
【参考URL】
本文
第五章 貿易の「勝者」
神話⑤ 貿易赤字は国家の収支を意味する
現実 貿易赤字は「モノ」の黒字を意味する
新自由主義などの古典経済学派は、金本位制度を基本として経済理論を構築している。
通貨管理制度、通貨主権という現状では、50年前に終わった過去の経済学だ。
これをいまだに信奉し続けているエリートは何を考えているのだろうか。
世界には自国通貨の発行能力を生かして国民のために強靭な経済を構築することが出来ない国が多い
⇒供給力が足りない国は通貨主権を手放す
⇒供給力不足は必要なものを生産できていないことを示している
⇒国民の需要にこたえるためには、輸入して国民の需要にこたえようとする
⇒供給できない部分は、海外からの輸入に頼り、その支払いは通常ドルでなされる
⇒輸入に頼ることは、外貨建ての負債が増える
強力な通貨主権を持つ国は、経済が完全雇用を実現するように国内政策を運営する能力がある
途上国でも通貨主権を高め、国内で安全雇用を実現するのに十分な政策余地を確保することはできる
多くの先進国には強い通貨主権がある
国内には高付加価値の製造部門が多い
また自国に投資をしようとする人々の受け皿となる株式不動産などの投資機会がふんだんにある
投資するにはまずその国の通貨を手に入れる必要があるため、世界全体には先進国通貨への強い需要がある
ドルへの国内需要は連邦税を支払うというニーズに支えられている
ドルやほかの主要通貨への需要は、その発行国の投資資産への国際的ニーズに支えられており、だからこそ通貨の価値は安定する
他の先進国の通貨も変動相場制を保っている
つまり通貨の価値をほかの何かと固定していない
だから自らのコントロールできない通貨を売買あるは借りることで、固定相場を維持する必要もない
⇒先進国が強力な通貨主権を持つ一つの理由
自国通貨をほかの通貨とペッグすることは、長期的には通貨主権は弱まることとなる
通貨主権を弱めるもう一つが共通通貨への参加だ
では途上国はなぜ通貨主権が弱いのか
⇒途上国は供給が弱いまたはない
⇒資源または安い労働力しか輸出できるものがなく、高付加化値の製品を生産し輸出する能力がない
⇒国内政治が不安定、治安が不安定、教育が絶対的に不足、地政学的に不安定な地域にある
⇒国内需要にこたえる供給力がないため、輸入に頼るしかない
⇒輸入は通貨主権の高い国が多いから、そこの通貨による決済になり、自国通貨主権が弱まる結果となる
通貨主権の強い国の金融政策。経済政策は、他の通貨主権の弱い国に大きな影響を与える
⇒通貨主権の弱い国では国内が混乱し、さらに供給力が低下、通貨主権の力がさらに低下する悪循環が始まる
⇒ひどいインフレ、ハイパーインフレの発生
強い通貨主権を得るには
⇒まず国内需要にこたえることが出来る国内で供給力の向上が必要
⇒国内の安定化、教育の向上
⇒正しい経済・金融の知識を持ったエリートによる独裁的政策の実施
⇒完全雇用を果たし、輸入国からの脱却を目指す
「自由貿易」は協定は世界的に富める者と貧しい者の分断を広げる。
貧しい国々を化石燃料の採取に駆り立て、気候変動を加速させる。
途上国に輸出主導型の成長戦略を押し付けるが、その実態は搾取的労働によって豊かな先進国のために安価な財を仙蔵させることに他ならない。
貧困国の犠牲のもとで豊な国々の通貨主権は一段と高まる。
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