ステファニー・ケルトン著 「財政赤字の神話 MMT入門」 第2章ー7- 機能的財政論
【書名・タイトル名】「財政赤字の神話 MMT入門」
【著者・作者】ステファニー・ケルトン
【発行元・サイト】早川書房
【参考URL】
本文
第二章 インフレに注目せよ
神話② 財政赤字は過剰な支出の証拠である
現実 過剰な支出の証拠はインフレである
ー6ーの続き
⇒金融政策と財政支出をうまく回すことにより、経済効果を上昇させることが出来る
⇒金融政策=インフレ率2~4%を目標としてほしい(完全雇用を目指して)
⇒財政支出=国民負担率約50%からの引き下げ(減税など)
⇒財政的余裕=日銀当座預金の残高が556.8兆円あるので、このうち550兆円くらいは国債発行が可能
⇒当座預金残高が国債発行残高に変わるだけ
⇒利子払いは当座預金利子(0.1%)と国債利子(10年国債1.4%)の差分だけの支出増となる
⇒差分は550兆円分として550兆円×1.6%=8.8兆円
⇒550兆円の財政支出(2025年度の国家予算約115兆円の4.8年分)に対して8.8兆円の支出で済む
⇒550兆円の財政支出をしたら、どれほど経済が活性化して、どれほど税収増があるだろうか?
★「国民負担率」
Search Labs | AI による概要
国民負担率とは、国民所得に対して税金や社会保険料といった義務的な負
担がどれくらいかを表す指標です。
令和7年度の国民負担率は46.2%となる見込みです。
国民負担率の内訳は、租税負担率と社会保障負担率があります。
2022年度のデータによると、租税負担率は29.4%、社会保障負担
率は19.0%です。
世界各国と比較すると、日本の国民負担率は比較的低い方に入りますが、
OECD加盟36カ国の2022年度のランキングによると、日本の国民
負担率は24位です。
国民負担率が高くなる要因としては、少子高齢化による社会保障費の増大
や、財政赤字などが挙げられます。
経済が生産能力を下回る状態で活動しているのは、社会全体として異常に貧しい暮らしをしていることに他ならない。
財政収支が赤字でも、利用されていない資源があるのは「支出不足」であることを意味する。
非自発的失業をなくすことがケインズ派経済学者の関心ごとだった。
アバ・P・ラーナー
民間部門に自力でできるだけ完全雇用に近い状態を達成させたうえで、主に財政政策によって総支出の不足分を補えば良い
金融政策も役には立つが、財政政策(税制や政府支出の調整)こそが経済のハンドルさばきを引き受けるべきだ。
財政収支などどうでもいい、重要なのは実体経済の成果だけだ。
⇒機能的財政論
★「ラーナーの学説」
ラーナーは経済民主主義と消費者の選択の重要性を信じていて、民間企業
のほうが効率が高いとわかれば、社会主義経済のどんな産業でも民間企業
に任せるべきだと論じた。
★「機能的財政論」
Search Labs | AI による概要
機能的財政論とは、経済の安定化を主な目的として、財政政策を積極的に
活用する考え方です。
具体的には、インフレーションを抑えるために財政支出を減らし、デフレ
ーションを抑えるために財政支出を増やすといった、経済状況に合わせて
財政政策の規模や内容を柔軟に変えることを指します。
機能的財政論の主な特徴:
経済安定化を重視:
経済の安定を最優先に、インフレーションやデフレーションを抑えること
を目指す。
財政政策の柔軟な活用:
経済状況に合わせて、財政支出や税制を柔軟に調整する。
公共目的や所得再分配機能の軽視:
財政支出の主な目的は経済安定化であり、公共サービスの提供や所得再分
配はあくまで補助的な役割と見なす。
国債累積問題への関心の欠如:
財政赤字や国債累積をそれほど気にしない。
機能的財政論の背景:
A.P. ラーナーらによって提唱された。
高度経済成長期やオイルショック後の景気変動に対応するために考え出さ
れた。
現代貨幣理論(MMT)など、近年活発に議論されている経済政策の考え
方の背景にもなっている。
機能的財政論のメリット:
景気変動を抑制し、経済の安定に貢献する可能性がある。
柔軟な財政政策によって、経済状況の変化に迅速に対応できる。
機能的財政論のデメリット:
公共サービスの提供や所得再分配が十分に行われない可能性がある。
国債累積が進み、将来的な財政負担を増やす可能性がある。
インフレーションが発生するリスクがある。
機能的財政論の現在:
現代貨幣理論(MMT)など、機能的財政論をベースにした考え方が議論
されている。
日本でも、金融緩和と財政政策の組み合わせが議論されている。
しかし、機能的財政論は、その柔軟な財政政策によって、インフレーショ
ンや国債累積のリスクを高める可能性があるという批判も存在する。
まとめ:
機能的財政論は、経済の安定化を重視し、財政政策を柔軟に活用する考え
方です。経済の安定に貢献する一方で、公共サービスの提供や所得再分配、
国債累積のリスクなどを考慮する必要があります。
機能的財政論の目的
雇用が潤沢にあり、インフレ率が低いといったバランスの取れた経済の実現
⇒税金や支出は、経済全体のバランスを良くするために利用するものだ
⇒財政赤字が結果的にインフレ率を押し上げない限り、それを過剰支出とみなすべきでない
⇒経済がバランスの取れた状況に導くものであれば、どのような財政状況(財政赤字、財政黒字)でも受け入れるべきだ
⇒完全雇用と低インフレを維持するために、政府が常に注視すべきだ
MMTの理論
失業者の市場価値はゼロである。
政府が労働力の買値を提示し、彼らのために市場を創る。
⇒非自発的失業はなくなる
⇒残るは自発的失業のみ
⇒政府は単に賃金を設定し、仕事を求めてきた人全員を採用すれば良いだけ
日本でいえば
最長8時間労働、最低賃金1500円、必ず全員無期限雇用、とすれば完全雇用が実現できる。
最低賃金1500円以上が支払えない企業は、市場から退出するしかなくなる
ただし、インフレ率はひどくなるだろう
税金は(少なくとも導入された時点から)人々が雇用を求める原因となる。
政府は税金を課すことで国民に通貨を稼ぐ動機を与えている以上、その手段が常にある状態を確保する責任がある。
就業保証が常に存在することで景気の波が抑えられ、それは物価の安定にも寄与する。
国民共通の幸福を脅かすのは財政赤字ではない。過剰なインフレだ。
MMTの目指すもの
財政赤字に対する人工的制約(歳入)を、真の制約に置き換えること
国家の財政権力を活かして経済の潜在能力を最大限引き出しつつ、財政権力に対する適切なチェック機能を働かせること
趣味は読書、競馬、阪神タイガース。
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