01.プロローグ
この世界には恐ろしい魔女の呪いが存在している。
魔女の気まぐれで呪われた者達は、それから逃れようともがくがその方法は簡単には見つからない。
ある者は一生解けない呪いに苦しみ、ある者は幸運にも呪いが解けて歓喜する。
彼らの明暗を分けるのは何なのか。
今宵もまた、一人の若者が呪われてしまったようだ────
*****
月の無い夜、とある国の王子、ブライトはバルコニーで一人、空を眺めていた。
(明日も朝が早いし、そろそろ寝ようかなぁ。)
部屋に戻ろうと背を向けたとき、空を怪しい影が横切った。
ブライトはそれに気づかず、ドアに手をかける。
その瞬間、オーロラのような光がブライトを包み込んだ。
部屋に控えていた護衛たち二人が、慌ててブライトの側に駆けつける。
やがてオーロラが消えると、そこには世にも微妙な顔の男が立っていた……
「ブライト様!!!!?!??」
この国の第三王子として生を受けたブライトは、誰よりも美しい青年だった。
太陽の光を集めたようなまばゆい金色の髪。
どこまでも透き通った空色の瞳。
──それらは健在である。
しかし、何かがおかしい。
なんか違う。
少しだけ小さい目、少しだけ低い鼻、少しだけ厚い唇。
すべてのパーツが完璧に配置されていた筈の顔は、その調和を失っていた────