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35話:イベントボス出現!

「投石部隊!投石開始!」


 うおおおおおおおおっ!!!


 門と門に挟まれた広場に100匹以上の魔物がひしめいています。碌に身動きもできない魔物たちは上からの投石で頭を割られ絶命していきます。数が10数匹にまで減って投石の石がなくなると、町側の門が開き警護隊の4人と冒険者の集団がなだれ込みました。


「魔物には必ず3人一組で当たれ!無理はするな!」


 4人の警護隊の皆さんが指示を飛ばし冒険者の皆さんが確実に魔物を倒していきます。ディエゴさんやリッカルドさん、それに悲壮な決意をしたようなムッカさんの姿も見えます。パオラさんの敵討ちのつもりなのでしょうか・・・。わたしにはそれを肯定することも否定することもできません。しばらくすると全ての魔物を倒した冒険者の方たちが広場の片づけを始めました。死んだ魔物を端に寄せ、投石した石を回収していきます。石も数が足りないそうですがこの方法ならいくらでも補充できます。魔物の持っていた使えそうな槍なども回収され次の戦いに備えます。


「半信半疑でしたが、すずめ様の作戦は見事ですね」

「そうですか?大河ドラマで見たことがあるだけですが」

「タイガーとラマ?」

「いえ、こっちの話です!」


 それから2度ほどおびき寄せで魔物を大量に倒すと日没となり、数を減らした魔物は一旦森まで退避しました。夜目が効かない魔物もいるのでしょうか?

 初日の戦いでは負傷者63名、犠牲者7名の被害がでました。亡くなったのはいずれも冒険者の方で、壁の上で戦っている時に槍の投擲でやられたそうです。負傷者の方は全員回復ポーションで全快なさいましたが、即死したらどうしようもないようです。やはり戦いに犠牲者0なんて無理なんでしょうか?・・・。





 翌日、わたしは朝から寝込んでいました。とても起き上がることができません。

 下腹部の痛みはもちろん、頭痛もひどく、意味も分からずイライラしてきます。


「今日も戦いが続いているのでしょうか?・・・」


 一覧表示を見てみると、台所にいるプリステラさん以外の警護隊の皆さんの姿は見えません。


「このまま寝ているしかないのでしょうか?」


 元の世界では毎日ベットで横になっていました。またあの頃に戻ったようです。このまま何事もなく明日になってくれれば、わたしの魔力も戻るかもしれません。みなさんどうかご無事で。





【カージナル】


 すずめ様は月の障りがひどいようで、今日は朝からお休みなさっている。昨日もつらいお身体で無理をさせてしまったが、すずめ様の作戦で今日もここまでうまくいっている。このまま何事もなく終わってくれればいいのだが、午後を過ぎた辺りで状況が一変した。


「なんだあれは!?」


 殺し間の準備が整い、次のいけにえを呼び込もうとした時、森の中から黒く巨大な塊が現れた。初めはのそのそと蠢いていたが、やがてこちらを見つけると四つん這いで走り始めた。


「でかい!大型の魔物だ!」


 この町壁は高さ5mほど。まだ遠くはっきりとした大きさはわからないが、3mはゆうに超えているように見える!あの巨体であの速さ、ジャンプすれば5mの壁を超えてしまうかもしれない!?


「ラミノーズ!全員を集めろ!あの魔物には我々王室警護隊全員で当たる!」

「はっ!」





【すずめ】


「何もすることがないからと言って、こんなにのんびりとしていていいんでしょうか?・・・」


 シャクッ


「すずめ様は十分活躍なさいました。休める時に休むのも大切なことです」

「それはそうですが・・・この果物おいしいですね」


 モグモグ


 毎日トモエゴゼンさんのお屋敷に御厄介になっていますが、そろそろ宿に戻らないといけませんね。飲食はすべて用意していただき、床の上げ下げに檜のお風呂、果てはデザートまで据え膳です。このまま贅沢を覚えると元の生活に戻れなくなります・・・。


「戦いはどうなっているんでしょう?・・・」

「わたしが知ってしまうとすずめ様に筒抜けになるので、途中報告もいただいていません・・・」


 隊長さん、大根役者のプリステラさんの性格を見抜いていますね。それともわたしが巧妙に聞き出すと思っているかですが、・・・両方っぽいですね。


「でもまあ、あの調子なら大きな被害はでないでしょう。壁を越えられるほどの魔物はいないでしょうし」

「そうですね。西の方では見かけませんね」

「え!?・・・いるんですか?そんな大きな魔物が?」


 あの壁って5mはありましたよ?あれを越えるなんてどんな魔物ですか!?2階建ての屋根くらいの高さはありましたよ!?


「以前、魔物のお話しをしましたが、その時のことを覚えていますか?」


 確か『むしろ動物に似ている魔物の方が少ないですよ。巨大な虫や植物みたいな魔物、はては何にも似てない奇妙な魔物だっています』と言っていましたね。はて?何にも似てない奇妙な魔物?


希少魔物レアモンスターと呼ばれる魔物がいます。数十年に一度現れる特殊な魔物で、何にも似てない奇妙な魔物だそうです。その希少魔物レアモンスターは大抵大型で最低でも5mはあると聞いたことがあります。ウワサによるとその強さも異常で生物の域を超えているとか?」


 うへぇ・・・いわゆるボスというやつですか?このゲームのCMで大規模戦闘!とか言って煽っていたやつですね。確か巨大なクマのような姿で、お腹に口がついている気味の悪い姿でした。そして本来口がある所にはレーザー砲がついているとんでもない魔物でしたね。一薙ぎで地面が切れたりして世界観を台無しにしているのが残念でした。

 まあそんな魔物とは戦うつもりはないのでいいですけどね。なんてったってこのゲームは”何をするのも自由。あなたの好きなことが出来る世界です。”ってうたい文句でしたし。





【カージナル】


 なんだこの魔物は!?壁の近くで立ち上がった姿は正に奇妙で、腹に牙が見え隠れする口がついている!そして本来口があるべき所にあるのは黒いくちばしのような突起だ!何といえばいいのか、あえて表現するならばクマのような見た目の魔物と目が合った。町壁の奥に立っている我々とだ!

 なんてでかさだ!この町壁よりでかいなんて!!

 魔物が腕を振り上げ壁に向かって振り下ろした。


「散開!!」


 ドォン!!・・・


「なんてことだ・・・壁が・・・」


 一撃で壁の1/3程が吹き飛んだ。そこだけ壁の上部が1m以上も無くなった。ここを塞がないと魔物の浸入を許してしまう!なんとかこの魔物を町から引き離さないと!!

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