表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/98

26話:わたし魔法少女に、なれました?

「表示設定変更。詳細表示!」


 ブォン!


 目の前に擦りガラス状の表示ウィンドウが開きました。詳細表示はわたしにしか使ったことがありませんでしたが・・・


【プリステラ】栗鼠族:24歳(231日):メス(月経周期21日目)

(表示機能:詳細)

 肉体総合力:32

 身長:162cm

 体重:53kg

 B:81cm

 W:59cm

 H:85cm

 肉体状態:正常

 精神総合力:39

 精神年齢:18歳~27歳

 精神状態:困惑

 魔法総合力:12

 魔法適正:水

 習得魔法:なし


 出ました!詳細表示で、す?・・・あ、あれれ?


 これってどういうことですか?わたしの詳細表示と違います!?

 肉体総合力:32。わたしの場合はこの後に「力」や「体力」なんかの細かい情報があるのに、プリステラさんにはそれがありません。そう言えばわたしの表示にある「余り」を示す「+」とかも見当たりませんね。


「あの、まだじっとしてないといけませんか?」

「あ、いえ!もう大丈夫です!」


 気になっていた魔法総合力の項目の「詠唱速度」も「魔法操作」もないのです。あまつさえ習得魔法は「なし」になっています。水を生み出していたあれは魔法じゃないんでしょうか!?


「ん~どういうことでしょう?」

「なんのことでしょう?」


 プレイヤーであるわたしには「レベル」がありますが、ゲームの中の住人であるプリステラさんには「レベル」はありません。そもそも根本からして違うのです。試してみないと何もわかりませんね。


 プリステラさんの詳細表示を見ながら「わたし」の事を考えてみると、詳細表示がわたしの物に切り替わりました。予想通りです。


 それじゃコレを、


 魔法総合力:0+

 魔力:3

 魔法力:0

 詠唱速度:1

 魔法耐性:0

 魔法操作:0

 魔法適正:水:土

 習得魔法:なし


 こうしてみたら?


 魔法総合力:1+

 魔力:3

 魔法力:1

 詠唱速度:1

 魔法耐性:1

 魔法操作:1

 魔法適正:水:土

 習得魔法:水魔法LV1:土魔法LV1


 やっぱり出た!!水魔法LV1:土魔法LV1。プリステラさんのは魔法じゃなかったんだ!


「水よ!」


 ボコッ


「え!?お嬢様も魔法を使えるのですか!?」


 空中に水の玉が現れました。目に見えない薄い膜に覆われたただの水で、指で突くだけで、


 バシャ!


「こうなると」


 膜が破れた水は馬車の床を濡らしました。これは魔法じゃなくて魔法適正と魔法総合力があれば生み出せる、魔力が具現化しただけの物みたいです。

 そして魔法とは、頭に浮かんでいるコレのことです!


「大気に満ちたる 母なる 水よ すずめの 求めに応じて その姿を現し 敵を 撃て 水球!」

「お嬢様!?何を!!」


 ドン!


 区切りながら唱えた呪文によってわたしの手の平に小さな水の玉が現れ、窓にむけていたその手の平から外に向かって水球が飛び出していきました!なるほどなるほど!これは気持ちいいですね!


「何かあったのですか!?」


 馬に乗った警護隊長が、窓の外からこちらを伺いながら問いかけてきます。窓から突然何かが飛び出したので驚いたようです。


「あ~なんでもないです。ただの実験ですので」

「実験、ですか?いえ、何もないなら良いのですが・・・」


 訝しみながらも警護に戻ってくれました。さてと。見せてしまったプリステラさんはもっと驚愕の表情を浮かべています。初めて魔法を見たらそうなりますよね?わたしも驚いています!だって、魔法少女になれるんですから!!


「お、お嬢様は、いま、何をなさったのですか?・・・」

「さっき言ったじゃないですか。水魔法での攻撃です!」

「攻撃・・・魔法でそんなことが?・・・」


 これが本来の魔法ですが、頭に呪文が浮かばないプリステラさんには使えないかもしれません。やはり本来の魔法が使えるのはプレイヤーであるわたしだけなのでしょう。


「失礼ですがお聞きしてもよろしいでしょうか?」


 先ほどからも丁寧に話してくださってはいましたが、プリステラさんの口調が殊更堅くなったように感じます。魔法を見せたからですかね?


「お嬢様は、もしかして本物のアサヒナ様なのでしょうか?」

「は、はいぃ?」


 本物のアサヒナ、さん?

 プリステラさんが何を言っているのかよく分かりません。アサヒナさんは亡くなったはずですが、本物とはどういう意味なのでしょうか?


「あ、いえ・・・失言でした。お忘れください・・・」


 忘れろと言われましても、一度疑問に思ってしまったら頭に刻み込まれてしまいます。


 アサヒナさんの祖母であるトモエゴゼンさんが王族なのは間違いありません。そしてその権力はまだまだ健在です。わたしの護衛に王室警護隊をつけるくらいですからね。

 お歳的には王太后おうたいこう様?みたいな立場だと思いますが、なぜか小さな町のパッセロで暮らしています。そしてそのお孫さんのアサヒナさんもその血を継いでいるのに、お墓は庶民の共同墓地にあり、墓に刻まれた家名も削り取られていました。これはただ事じゃありません。


 ん~色々なパターンが考えられるので真相はわかりませんが・・・


 トモエゴゼンさんが王族そのもののパターン。これはアサヒナさんのお父さんかお母さんが後継者争いに敗れて田舎に追放されたとか、両親もしくはアサヒナさんが何かやらかしてしまったのか。


 トモエゴゼンさんが元王様のお妃様だったパターン。未だ権力があるという事は王様と離縁はしてないことになります。そうなると問題なのはアサヒナさんの両親かアサヒナさん自身に何かあるということですかね。

 どちらにしてもトモエゴゼンさんがパッセロで暮らしているのは、トモエゴゼンさん自身の選択なのでしょうね。

 そしてアサヒナさんの件ですが、「魔法」を見てわたしを本物のアサヒナさんだと思ったという事は、アサヒナさん、もしくは両親の誰かが「魔法」を使える可能性が高いということですね。


 具現化しただけの魔法モドキじゃなく「本物の魔法」を。


 プリステラさんがおっしゃっていた「滅多にいない」本物の魔法使い。それがこの3人の誰かですか。


 この世界はゲームの世界です。物語りがあるはずです。アサヒナさんの件は避けては通れないことなんでしょうね。


 出来れば面倒ごとは避けてのんびり暮らしたいのですけど・・・。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ