15話:お風呂に入りたいです!
2日目の排水溝掃除です!昨日はツインテールでお仕事をしましたが長い髪が排水溝に触れて汚れてしまうので、今日は左右でお団子にしてみました。現在レベルが4まで上がりましたが予想以上にスキルポイントがもらえました。
レベル2になった時はスキルポイント2でしたが、レベル3の時はスキルポイント3、レベル4でスキルポイント4が入りました。どうやらその時のレベルに応じてスキルポイントが増えるようです。全てのポイントを「力」に使って、レベル1の時に8だった「力」が現在は17になっています!
「うわ~昨日とは違ってスコップがうそみたいに軽いですね!」
さくさくと進む作業で午前中の4時間で全体の半分の掃除が終わりました!レベルも5になって「力」は22ですね。さらに午後からもペースを上げて作業をしましたが少しづつペースが落ちてきました。
「ひぃ~ふぅ~・・・これは、体力か持久力不足ですね・・・」
力は上がって作業スピードは上がりましたが身体がついてきません・・・。10時くらいにレベルが5になりましたから、あれから6時間は作業をしています。全体の8割の掃除が終わりましたがまだレベルが上がりません・・・。
「ちょっと様子を見てみようかな?開けゴマ!」
ちなみにステータス画面を出す文言はなんでもOKでした。ところで「開けゴマ」って何なんでしょうね?
【山田すずめ】ニンゲン:12歳:メス
レベル5:スキルポイント0
次のレベルまで経験値3or熟練度3
(表示機能:簡易)
肉体総合力:14+
精神総合力:7+
魔法総合力:0+
魔法適正:水:土
習得魔法:なし
あとちょっとでしたぁ!あとちょっとですけど・・・少し休憩です・・・。地面に座り込んで足を前に投げ出します。この分なら明日には掃除が完了しそうです。予定より2日も早く終わりそうですね。
は~風が気持ちいいですね~作業を止めると急に汗が噴き出してきました・・・。
汗!?
クンクン・・・
そう言えばわたしお風呂に入ってないです!匂うでしょうか!?宿にお風呂はないですし、タオルも着替えも持っていません・・・お金が貯まったら皆さんにお礼をと思っていましたが、生活必需品がたりなさすぎます!!帰りに雑貨屋さんに寄って色々買わないと・・・!
腰に結び付けた巾着袋を開けてみます。昨日の宿賃を払って銅貨が31枚になりました。晩御飯はギルドでムッカさんたちがごちそうしてくださいましたが、朝食で食べたリンゴが銅貨2枚。残りが銅貨29枚で今日の宿賃で残りは銅貨14枚です・・・。
『ましてやドブの中から出てきたお金なんてチュンチュンの物にしていいに決まってるじゃない』
ゴクリ・・・
マルティナさんはわたしの物にしていいって言ってましたね・・・昨日の掃除で銅貨14枚分拾いました。そして今日は・・・。
キラリン
なんと銀貨も1枚拾ってしまったのです!!昨日の銅貨と今日のも合わせると・・・。
「銀貨1枚に大銅貨1枚に銅貨7枚!ふおおおおおおおおお!!」
銀貨は銅貨100枚分もするそうで大金です!つまり拾ったお金で銅貨117枚分もあるのです!わたしのお金はたった14枚なのにぃ!
「ちょっと・・・ちょっとだけ貸してくださいね・・・後で働いて返しますから・・・」
わたしは巾着の中に拾ったお金を収めると、袋の口元をしっかりと閉めて腰に結び直しました。
休憩を終えて10分ほど作業をするとレベルが6に上がりました。体力も全快し疲労もなくなったので一気に終わらせたかったのですが、雑貨屋さんが閉まってしまうと大変なので今日の作業はここまでにしました。残りは1割ちょっとくらいですね。
スコップと革長靴を手に持って町中を歩きます。一度宿に持って帰りたかったのですが、往復していると時間がかかり過ぎるのでそのまま雑貨屋に向かいます。ドブの匂いと汗の匂いが気になって、人とすれ違う時は出来るだけ距離を取りました。一日中肉体仕事で疲れていたとはいえ、宿に帰ったらバンキュ~で寝てしまった昨日のわたしが恨めしいです・・・。
「こんにちわ~」
「はい、いらっしゃい」
雑貨屋さんに到着しました。先日わたしの装備品一式をそろえて以来の来店です。痩せこけたおじいさんが店主さんですが、わたしのことは覚えてなさそうです。所狭しと置かれた商品は箱に入ったままの物も多く、何があるのかほとんど分かりません。欲しい物があったら店主さんに探してもらうのです。
「あの~色々欲しい物があるのですがいいですか?」
「はいはい、何をお探しかな?」
必要なのは入浴セットですけど、そもそもお風呂がどこにあるのかわかりません。
「あ、その前にこの辺にお風呂屋さんとかありますか?」
「風呂?そんなお店は聞いたことがないけどね~風呂なんてお貴族様か大商人の屋敷くらいにしかないだろうし」
ガーン!お風呂がないですって!?皆さんは一体どうやって身体を洗っているのでしょうか!?
「あ~宿に井戸があるだろ?そこで水を汲んで洗えばいいんだよ」
破廉恥!!確かに井戸はありましたけど!そこで顔は洗いましたけど!塀も壁も何もない所ですよ!?
「何言ってんだい?女性は部屋に桶を持ち込んでそこで湯あみをするんだよ。男みたいに外で洗うわけないだろ?何言わせんだいこの子は・・・」
良かったです・・・人生終わってしまうかと思いました・・・。
詳しくお話を聞くと宿では有料で桶とお湯を頂けるそうです。なので必要なのは石鹸とタオルと着替えですね。さすがにシャンプーはありませんでした・・・。
今更ですが元の世界は便利だったのですね。
結局買ったのはタオルが3枚と石鹸が1つで銅貨14枚。石鹸が銅貨8枚と意外に高かったです。雑貨屋さんで着替えは売ってなかったので、その後古着屋さんで肌着を2枚と下着も2枚購入しました。こちらも全部で銅貨14枚ですね。ワンピースも欲しかったのですが服は結構高いことと、これ以上の荷物は持って帰れないので泣く泣く諦めました。服は夜に洗って朝まで干すしかないですね。
フラフラになりながらもなんとか宿まで帰りつけました。力がかなり上がっているので平気かと思いましたが、荷物を運ぶには体力が必要だったみたいです。
「ただいまです~」
「ああ、おかえりすずめちゃん。随分大荷物だね~ちょっとあんた!荷物運ぶの手伝っておやりよ!」
「ああ、大丈夫です!ありがとうございます!それより桶とお湯を頂きたいのですが、おいくらですか?」
荷物には下着もあるので男性には見られたくありません。それより一刻も早く湯あみがしたいです!
「本当に大丈夫かい?湯あみなら銅貨1枚だよ。すぐに使うかい?」
「ありがとうございます!銅貨1枚ですね。出来ればすぐに!」
お金を払って荷物を部屋に持って上がります。ひ~きついですね!レベルが上がった時のスキルポイントをまだ使っていませんが体力に使った方がいいですかね?部屋に入って床に座り込みました。お湯が来たら湯あみをして、残ったお湯でワンピースを洗って、お腹もすいたのでご飯も食べないと。疲れましたけどまだまだ寝ることは出来ません。ギルドへの報告は明日お仕事を終わらせてからでいいかな?
その時はまだ気づいていませんでした。昨日からパオラさんが戻ってこないことに。




