表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

幽霊式別れ

 膝枕をされた次の日、美緒は部屋のどこにもいなくなっていた。少し探したが、彼女は元々幽霊だったので、昇天してしまったのだと、すぐに分かった。だけど、心配はいらなかった。俺の心の中にはどこか暖かいものがあったから。


 俺は転職はせずに今の会社の仕事を全うした。部長から怒られる日々は続いたが、心の中で励まされている気がして、そのたびに乗り越えることができた。すると、今までの功績が実を結び、ついに出世することができた。責任が付きまとう仕事が多くなったが、仕事が鮮やかに見えて実に楽しくなっていた。あの時仕事を辞めなくて本当に良かったと思う。


 数年後、俺は年下の同僚と結婚することになった。結婚式は晴れ晴れとしており、終始夫婦共々笑顔だった。


 そして、結婚に伴い、新しい家に引っ越すこととなった。今思い返してみれば、いろいろあった家だと思った。大家さんは、「うるさい奴がいなくなってせいせいしたよ」と言っていたが、どこか寂し気な顔をしていた。


 八年間住んでいたアパートに別れを告げるとき、「いってきます」と心の中で呟いた。「ばいばい」とかわいいお守りも小さく呟いた気がした。

ご愛読ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ