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とある王国にあるロックローヴィ伯爵邸で、お茶会中のラキスとグーフィルが話し込んでいる。
「この食べ物は何ていう名前なのかしら?」
「それを聞いてしまいますか……。貴方は深い混沌の中に、足を踏み入れる覚悟がありますか?」
「急に妙なことを言い出すわね。小麦粉で作った生地の中にあんこを入れて丸く焼いた物の名前に、混沌要素なんてあるわけないわ」
「今川焼き、回転焼き、大判焼き、御座候、この他にも数多の勢力が溢れる群雄割拠の名称戦争。これを混沌と呼ばずして、何と呼びましょう」
「へ~そう。美味しければもう何でもいいわ」
「まさか……貴方はベイクドモチョチョ派……!?」
「勝手に変な派閥に入れないでほしいわね」




