292/329
292
とある王国にあるロックローヴィ伯爵邸で、お茶会中のラキスとグーフィルが話し込んでいる。
「貴方と一緒に年越しそばが、もう当たり前になってきてるわね」
「明らかに貴方が年越しそばに釣られているだけですが、一緒に過ごせるのならヨシとします」
「年越しそばが目当てなのは事実だけれど、それ以外にもちゃんと理由はあるわ。兄達の修羅場から逃げるためよ」
「一昨年言っていた『しゅ』は、修羅場の『しゅ』でしたか」
「毎度毎度婚約者の逆鱗に触れるのは、狙ってやってるのかしら……。…………いえ、あれは素ね。全部素でやってるわね」
「素の方が救いようがなくありませんか?」




