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とある王国の国立学園の学生食堂にて、昼休み中のラキスとグーフィルが話し込んでいる。
「あれからチェスについて少し勉強したわ。相手を詰みにできたら、チェックアウトって言うのよね」
「違います。チェックアウトではなく、チェックメイトです」
「あら貴方のお父様には、チェックアウトだと教えてもらったわ。って急に頭を抱えてどうしたのよ?」
「……これはどっちだ……? 素か……? 素……なのか? わざとラキスに噓を教えた可能性も……? もし素だったなら、いろんな相手にチェックアウトと言っているのか……? チェスが強いことがこんなところで裏目に……。まさか負けて悔しいから、対戦相手の誰もが指摘せずにスルー……? いやそんなまさか……」
「私を放って一人でぶつぶつ言うのは、止めてほしいわ」
「すみません」
「そういえば、この前私の父が貴方の家の屋敷から帰って来た時に、『またチェックアウトって言われた』って笑いながら言ってたわ」
「あ゛~」
 




