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とある王国の国立学園の学生食堂にて、昼休み中のグーフィルとラキスが話し込んでいる。
「ヒーローになりたいです。正義の味方的な意味合いの方です」
「ヒーローになってどうするのよ」
「さっそうと貴方を助けて、貴方に惚れてもらいます。ですから、今すぐピンチに陥ってください」
「無茶なこと言うわね。今すぐには無理よ。だって、私のピンチといえばセミしかないもの」
「セミ……! かつてこれほど来年の夏が待ち遠しかったことがあるでしょうか、いやありません!」
「まだ秋だし、私は全然待ち遠しくないわ」
 




