カワセミのしまい
とある しぜんこうえんに なかのよい カワセミの しまいが いました。
あねのカワセミは いつも いもうとのために エサの こざかなをとって あげていました。
あねカワセミが いっしょうけんめいに いもうとのせわをするのは ふたりに おやどりが いないからです。
それでも あねカワセミは がんばりました。エサをもらう いもうとも とても うれしいきもちで いっぱいでした。
でも、いもうとカワセミは いつも おねえさんが つかれていることを しっていました。
「いちにちじゅうエサをさがしている おねえさん。おやすみをさせて あげたいな。」
いもうとカワセミは おねえさんが いないときに ずっと かんがえていました。
「そうだ! ワタシがエサをとろう!」
いもうとカワセミは ひらめいたようで はねをパタパタさせながら とてもうれしそうです。
さっそく いもうとは いつもとまっている きのえだから いけのそばの いしのうえに おりました。
いつも おねえさんの えさのとりかたを みていましたが いもうとには まだ いきおいよく いけにとびこむ スピードがありません。 だから じーっと いけのすいめんを みているだけしか できませんでした。
そのいもうとカワセミのようすを もっと じーっとみつめている どうぶつがいました。それはカラスでした。
カラスは とてもおなかがすいていたため いもうとカワセミを ねらっていました。
それにきがつかない いもうとカワセミは ちょこっとだけ はばたいては またいしのうえにもどり、またとんでは もどることを くりかえしていました。
「どうしたらエサがとれるのかな?」
いもうとカワセミは いしのうえで おおきなためいきを つきました。がっかりしたきもちになっていたので、じぶんのまわりに きけんがせまっていることに きがついていません。
カラスはいもうとカワセミが うごかなくなるまで まっていました。とまっているほうが つかまえやすいからです。
それをしらない いもうとカワセミは えさをとるほうほうを ずっとかんがえつづけています。
「しめしめ。 やっとうごかなくなったぞ」
カラスは 「いまだ!」 とおもって すごいはやさで いもうとカワセミめがけて とびたちました。
ところが、こんどはそのカラスにむかって とんでくる いくつかのちいさなどうぶつたちがいました。
それはヒヨドリ、セキレイ、ヒバリたちでした。みんなカラスよりずっとちいさいとりです。それでもちいさな いもうとカワセミをまもろうとして あつまってきたのです。
「カラスめ、あっちへいけ!」
ことりたちは ちからをあわせて カラスのおしりを つっつきました。
「うわ! いたい、いたい!」
カラスはたまらず とおくへ とんでいってしまいました。ほっとしたことりたちは ちかくの きのえだに とまってやすむことにしました。
しかし、いもうとカワセミは なかまのことりたちが いっしょうけんめいに じぶんをまもってくれたことに きづかず、まだエサのとりかたをかんがえていました。
そこへ おねえさんカワセミが エサをくわえて、もどってきました。そのおねえさんカワセミは いもうとカワセミをたすけた ことりたちとおなじきのえだに とまってから いいました。
「ヒヨドリさん、セキレイさん、ヒバリさん、わたしはとおくからみていました。はやくもどらなくちゃと おもいましたが、まにあいませんでした。いもうとをたすけてくれて、ほんとうにありがとう」
おねえさんカワセミはうれしくて、たくさんなみだがでてきました。
「きにしなくて いいんだよ。こまったときは おたがいさまだよ。みんなでたすけあっていこうよ!」
ヒヨドリがいいました。そのよこでセキレイとヒバリも うんうんと うなずきました。
「ありがとうございます」
おねえさんカワセミは もういちど おれいをいいました。そしてみんなで まだかんがえごとをしている いもうとカワセミを やさしくみつめつづけていました。
(おしまい)