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11話 フォミュナルア、シュノドゥラと水遊びに興ずる

 昼下がり、フォーナとシュノは水遊びに興じていた。

 最初は、普通に庭の木々に水やりをするためにホースで水を撒いていたシュノに、目を付けたフォーナが彼女の後ろから気配を消して近づき、背中をつつくところから始まった。

シュノはどうやら背中を触られるのが苦手なようだった。突然背中に触れられて


「ヒャンッ!!!」


 と可愛い悲鳴を上げて飛び上がり、そのまま180度回転してそこにいたフォーナを睨みつける。

そんなシュノの反応に新しいおもちゃを見つけたか如くフォーナの顔にいたずらっ子の特有の笑みが浮かんでいた。シュノは真面目に水やりを再開したが、

その背後ににじりよるフォーナ。

だが今度はシュノも警戒している。

隙をついて忍び寄ろうとしたフォーナにホースを巧みに操りその行動を阻止する。

これが絶妙に上手く、まるで生き物のようにシュルシュルと動くホースに、フォーナの興味を奪われてしまう。


 フォーナのケモノの本能がそうさせるのか身を屈めて四つん這いになりホースを攻撃し始めた。

右手でホース口を持ち水を撒きながら巧みに左手でホースを生き物のように動かすシュノ。

そのホースの動きに翻弄されてたフォーナはチラリと元凶であるシュノの左手に目をつける。

シュノが水やりに注意を向けた一瞬を狙って、ホースを攻撃するかに見せかけてシュノの左手を狙って飛びかかった。


「あっ!!」


 気が付いたときにはシュノの左手からホースは奪われそのまま引っ張られてホース口もフォーナの手に渡る。

フォーナは性質の悪い満面の笑みを浮かべる。

そしてホースから出る水を天高くに放出してシュノの頭上に振りまいた。

ここ数日間で最高の晴天の中、天に昇った水は突然の雨のようにシュノのみを狙って降り注ぐ。彼女は一瞬で濡れネズミ、いや濡れ犬と化し、頭から水を滴らせている。

それを見てホースを放り出して笑い転げるフォーナを、感情の出ないシュノ目に多少の生気と怒りの色が帯びる。

シュノはゆっくりとしゃがんで放り出されたホースを引き寄せ、水の出てるホース口を手に取ると容赦なくフォーナに水を浴びせた。


「ぶっ・・・はっ、や、やめてぇ、しゅのぉ、あははははははは」


強烈な放水を受けながらそこからなんとか逃れようと走り回るが、シュノの的確な放水から逃れられずに大笑いしながら駆け回り水を浴びる。

フォーナのが飛び回るたびに水飛沫が舞い、彼女の水で濡れて重くなった白銀の綺麗な髪に光が反射してキラキラと光を撒き散らす。

そんな2人の戯れてる様を高嶺は微笑ましく眺めていた。


 シュノは感情がかなり乏しく何も指示しなければほとんどボーッとしてるような子だった。

ただ仕事を与えるとテキパキこなし、仕事自体を最適化してさらに+αする、くらいの技能を持ち合わせている。

従来通り依頼者の元へ向かっていれば重宝されていたであろうと高嶺は思った。


 だがそうしていたらこの光景はきっと眺めることはできなかっただろう。

太陽のかけらが反射する水玉を振りまきながらはしゃぎ回るフォーナ、水を滴らせ無表情に見えるが少し柔らかい優しい目でそれを追うシュノ。

彼女は今日は白い薄手のワンピースを着ていたが水でびしょびしょになっている。健康的な肢体にワンピースが貼りつきその肌を浮かびあがらせる。さらに豊満な胸元も透けて淡いブルーの下着が・・・

 高嶺はその圧倒的膨らみに視線が釘付けになる。


・・・・・


ハッと我に返り赤面する。

い、いかんいかん。あまりにも刺激的な映像でうっかり見入ってしまった。

高嶺はメガネをクイッと押し上げてから目を背けるように振り返ると


「高嶺先生はやはりきょにゅー派なんですねー」


 と、ものすごい軽蔑の目で高嶺を見る明穂が立っていた。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ」


 高嶺は本当に飛び上がりそうな勢いで後ずさった。


「いやいや、高嶺くんは幼女の可憐さにうつつを抜かしていたのだよ。みろ、あの可愛らしさ」


 明穂の後方をゆっくりとあるきながら現れる芝野。その手には双眼鏡。そして伸び切った鼻の下に流れる彼の熱い血潮。迂闊に近づいてきた芝野に


「ふんっ」


 明穂は呼吸を吐き出して素早く180度回転し、その遠心力を利用した最速の正拳突きが芝野のたるんだ腹部に突き刺さり、彼は呻き声も出せずに前のめりに崩れる。

邪悪を成敗した拳をハンカチで拭き


「汚らわしい」


 明穂が吐き捨てるように言った。


 そんな3人のやりとりを気にも止めずフォーナは水浸しのままシュノに抱きついてじゃれていた。シュノは少し困ったようにそんなフォーナを持て余している。

 それを静かに見守る3人の大人たち。


「・・・尊いわね」


「こ、ここが桃源郷だなっ。グフッ・・・」


うっかり頷きそうになった高嶺は「コホン!」と咳払いをして、はしゃいでるずぶ濡れの2人に声をかける。


「2人とも風邪ひきますよ。着替えてきなさい。おやつにしましょう」


 そう声をかけるとフォーナが勢いよく振り返って駆けだす。おやつに反応したのだろう。

置いてけぼりにされたシュノは少し寂しそうに立ち尽くすと気を取り直したように水を止めてホースを片付けようとしている。

高嶺はシュノに近づき、手からホースを取り


「シュノも行きなさい。その恰好は…寒そうだ」


うっかり間近で悩殺的なシュノを見てしまった高嶺は、赤面しながら視線を外してホースの片づけを始める。

シュノは少し首を傾けてからぺこりと会釈をして母屋へ戻っていった。


「シュノさんもずいぶんと普通になりましたね。見違えました」


明穂が高嶺に近づき戻っていたシュノの後姿を視線で追いながら高嶺に話しかける。


「ええ、フォーナのおかげでしょうね。あの子はすごくシュノを気にかけてます。同族だからなのか知人だからなのかはよくわかりませんが」


ホースを巻き終えた高嶺は立ち上がり


「さ、お茶にしましょう。真壁さんからおいしいケーキをいただきましてね」


そう言って高嶺は母屋に向かって歩き出す。


「たーかーねーー、おやつぅーー。はーやーくーーー」


フォーナの声が台所から響いてきた。



その日の夕方。フォーナが行方不明となった…

なんかよくわかんない回となりました。

日常的ほのぼの回が大事と思いつつも、いまいち実のない展開となりました。

もっとエロ描写を上手く書けたらいいんですが・・・


次は事件です。

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