<猟友会>
この作品中の法律は作者に都合のいい解釈やご都合主義で展開を進めていきます。また作品に登場する人物の思想信条や考え方は必ずしも作者本人と同一ではないことをご理解の上お読みください。
「動物愛護団体に所属する男女が、今朝早くに遺体となって発見されました。山から下りてきているクマの説得に失敗したとみられ―――」
テレビをつけるとそんなニュースをやっていた。どこかの県のどこかの村では毎日のように熊やイノシシの被害にあっているらしい。
こういった場合、昔であれば猟友会の出番である。しかし、猟友会の存在や駆除に反対している動物愛護団体によって動物を殺傷しないで保護か追い返すことが優先される。
これに参加するのは猟友会や動物の殺傷に反対する人間の義務であり、強制的に参加させれるのだ。確か昨日彼らが逃走のしようとしたため拘束してクマの出没地点に逃げないように繋いだという話だったが、どうやら熊を説得することができなかったらしい。こういった場合の責任は説得に失敗した人間の自己責任である。
すると、いきなり画面の前があわただしくなる
「あちらの方でクマが出没したという目撃情報がありました!」
カメラはアナウンサーとともに走る警察官や猟友会に猟師、役場の職員などの背中を映している。
「いた!いました!」
猟師たちが銃を構えるが、まだ銃を撃つようなことはしない。カメラは役場の職員を追ってある男のもとへ向かう。
「熊を射殺してもよろしいですか」
職員がそう聞いているのは動物愛護団体の人間のようである。
「何も殺すことはないでしょ!」
「しかし、このままでは射殺せざる負えません。あなたが説得して山に帰るように言ってください」
と男は怒鳴るが職員は冷静に答える。
「これはあなたの義務ですよ」
近くにいた警察官も男に話しかけるが、男は黙ったままだ。そしてそれに業を煮やした職員が言う。
「できないんだったら猟友会の存在認めればいいでしょう」
この言葉に男はキレた。
「わかったよ!行けばいいんだろ!行けば!」
・・・・
男は熊へと歩み寄っていくが、熊に追いかけられて倒された。
「撃て!殺せ!撃てよ!」
男は叫ぶが猟師たちは誰も撃たない。撃たないんですかとアナウンサーが聞くがまっとうな答えが返ってくる。
「もしもあの人に当たったら俺たちは殺人犯だし、そんな危ないことできるわけないでしょ」
「あの人の目の前でクマを殺すのはあの人にとってもかわいそうだ」
結局男が死んだあと熊は山へと帰っていった。何とか追い返すことには成功したが次にいつ現れるかそれを考えれば近隣の住民たちは不安で仕方ないだろう。