1章 ギルド
「すいませーん、ステータスの更新お願いします!!」
ダンジョンの運営を管理するギルドでは冒険者登録,新米冒険者に組を紹介したり,クエストを進めたり,魔石の換金,ステータス更新などを行っている。
「うん?レオン君、ステータス更新ね分かったわ取り敢えずこっちの7番席まで来て」
「分かった」
レオンの声に気付いたのはギルド職員の1人カリーナ・フランダだった。彼女がレオンの声に気付いたのは昼下がりの為ギルドにいる冒険者が少なかったこととレオンの声を何度も聞いていたからだ。
彼女リーナ・フランダとレオンの出会いは半年前に溯る。レオンは冒険者になる為このギルドに辿り着きリーナの元で冒険者登録を終えた。
リーナはレオンの冒険者になった動機などを聞いて心配になりいつの間にかレオンの世話を焼くようになった。
これが理由でリーナはレオンの声を覚えてしまったのだ。
「今日は早かったのね、いつも夕方になったら来るのに」
「いや、今日は色々あって早く切り上げたからね」
「ふ~ん、まぁ気になることはあるけど今は取り敢えずこのクロード石に手をかざして」
「分かったが
カレンは俺にクロード石に手をかざすように指示を出した。
クロード石とはギルドが冒険者のステータスを図るために開発した石のことだ。使い方は簡単で冒険者がクロード石に両手をかざし数秒すればデータとして画面に映し出されるそれを白紙の紙にコピーし冒険者に渡すのだ。
これで冒険者のステータスは更新できるのだ。
本当にギルドはよくこんな便利なものを開発したもんだな。
「・・・・・・・・・ねぇ、レオン君。本当に今日何があったの?」
「えっ、何怖い顔してんの、レオナさん・・・・・・」
「私がこんな顔している理由が知りたいならこのステータスを見なさい」
「えっ、ステータス?」
いつもは「今日は少し上がったね」「もう少しでFに上がれるね」とか笑顔で優しい言葉をかけてくるレオナさんだが、今日は違ったレオナの顔ははっきり言って怖い顔をしていた。
俺はが恐る恐る怖い顔をしている理由を聞いた。するとレオナはステータスを見ればわかると言いステータスをコピーした紙を俺に渡した。
俺はステータスの紙を受け取り自分のステータスを確認した。
レオン・バーサ (男) 組 無所属 Lv1
攻撃力 F100 防御力 F116 スピード G86
持久力 F102 魔法 G68
【魔法】
風の纏い・・・右腕に風を纏わせる
ジェットスパイラル・・・右腕に風を纏わせ風に乗り相手を攻撃する。
ジェットスマッシュ・・・風の反動を利用し風を纏った拳を相手に叩き付ける。
【スキル】
死神・・・・・・命の危機に直面した時一時的に全ステータスがアップする。
討伐・・・・・・モンスターを討伐するとステータスの経験値が1.5倍となる。
超回復・・・・・・重傷を負っても数分で傷が塞がり完治する。
「えっ、何このステータス。上がりようもすごいし。魔法とスキルも出現してる」
「それは、こっちが聞きたいわよ!!普通にダンジョンに潜ってこんなにステータスが上がるわけはないわ!!今日一体ダンジョンに何があったの!!」
俺は自分のステータスの上がりように驚いた。普通なら少ししか上がらないステータスが爆発的に上がり今までは出現しなかったスキルや魔法も出現していた。
俺がステータスの上がりように驚いているとカレンは怒りながら今日あったことを話すようにと言った。
こんな怒ったカレンさんは初めて見た。
「実は今日・・・・・・・・・」
俺は怒ったカレンさんに怯えながら今日あったことを全て話した。
調子に乗って5階層まで降りたこと。
5階層でウロタロスに追いかけわまされ死ぬところだったこと。
そんな時にペレンメ組のレオナさんに助けられたこと。
怒りを抑えながら聞いていたカレンさんは話が進むにつれ呆れて行った。
「あのねぇ、何で君は私が言ったことを守らないの!!君は組には入ってなくってソロで潜ってるんだから気を付けてねってあれほど言ったわよね!!それにダンジョンに期待を抱いてはいけないって言ってるわよね!!」
「は・・・はい」
「ダンジョンに期待を抱いてはいけない」
この言葉はカレンさんの口癖の1つだ。この言葉を送られるのは俺みたいな新米冒険者みたいだ。
因みに俺が潜った5階層で現れたLv2にカテゴライズされているウロタロスに遭遇することは誰にも予想なんか出来ない。
何故ならウロタロスは通常15階層に現れるモンスターだからだ。ウロタロスが下層に現れたなんって1度も聞いたことは無い。
・・・・・・だから思う。俺はあの時カレンさんが居なかったら今頃死んでいたと...........
そして俺は「ダンジョンに期待を抱いてはいけない」という言葉を二度と忘れないと違った時だった。
「はぁ、君は何か知らないけど、他の冒険者と違ってダンジョンに変な期待を抱いているけどこれで懲りて欲しいわねぇ」
「はい、ちゃんと懲りてます」
他の冒険者はダンジョンに不安などを抱えて潜っているが俺はカレンさんが言った通り期待を抱えて潜っていた。
だが、俺はこの件を通してダンジョンには期待はあるけど不安もあることが分かった。
だけど俺はダンジョンに潜るのはやめない。何故ならダンジョンには不安はあるがまだ期待があるからだ。俺は期待が少しでもある限りダンジョンに潜ろうと思う。
「それで、カレン・ハートさんにはお礼は言ったの?」
「一応言ったけど」
「なら、今度あった時何かお礼をするのよ」
「分かったよ」
レオナさんは次にカレンさんに会ったらちゃんとお礼をするようにと言ってきた。
俺は元々するつもりだから分かったと答えた。
「取り敢えず、今日は魔石を換金していくの?」
「あぁ、一応ウロタロスに遭遇する前に数匹モンスターを倒して魔石をとってるからな」
「なら、行っといで、今空いてるから」
「分かった」
カレンさんは魔石を換金していくかと聞いてきた。俺はウロタロスに遭遇する前に1階層等でモンスターを倒して魔石をとってる為換金して行くことにした。
俺は1階層に生息するゴブリンやブレンドなどを倒し手に入れた魔石を全て合わせた結果1000ヴェリーとなった。
因みに魔石1個で100ヴェリーで魔石のかけらが1個で50ヴェリーとなる。
「レオン君、カレンさんは甘い物が好きらしいよ」
「ふーん、そうなんですか」
俺は換金が終わりギルドを出ようとした時カレンが突然レオナさんの好きな物を教えてくれた。俺はそれをしっかりと聞きギルドを後にした。