87.宝物召喚、ムフフ。
俺はシチミと他の『ミミック』達全員を呼んだ。
もちろん目的は一つ……ムフフフフ……。
いよいよ、その時が来た!
ガチャ……もとい『宝物召喚』だ!
今まで忙しくてすっかり忘れていたが、こんなワクワクするスキルを使わない手は無い———
今の大森林は安全だし、守ってくれる仲間もいっぱいいるから、魔力を全て消費して『宝物召喚』しても全く問題ないはず……。
まぁ……魔力を消費するのは俺ではないわけだが……。
でもシチミ達だって……どうせなら……魔力を全て消費して少しでも良い宝物を召喚したいに違いない。
俺が勝手に思っているだけかもしれないが……
そして……決して強制ではないのだ……決して……。
ということで……シチミ達もやる気だ!
特にシチミは、レベルアップに伴ってスキルレベルも上がってるから、結構期待できるんじゃないだろうか……
なので……シチミは一番最後だ……楽しみは後なのだ……。
イチミから順番に行く……
イチミ達六体は、レベルが上がって20になっているが、それに伴って『宝物召喚』のスキルレベルも5になっている。
まず初めはイチミから……
イチミは宝箱の蓋を閉じると……静かになった……
しばらくすると……
……少しガタガタ震えてきた……
……震えが激しくなる———
そして———
———パワーンッ
宝箱がフラッシュを発したように輝く———
———そして一気に蓋が開いた!
中から出てきたものは……
———『身体力(HP)回復薬(中級)』
……が出てきた。
うーん……いいのか、よくないのか……中途半端すぎて……微妙に反応ができない…… 。
まぁ……下級じゃないだけいいよね。
「イチミ、ありがとう」と声をかけて、握手をしながら宝物受け取った。
この大森林には、『マナ・ハキリアント』のハッキリおばば達が作っているもっとすごい薬がある。
だから特に必要というわけではないが、性能比較したりするのには便利だろう。
そして残りの五体も次々に『宝物召喚』をした。
出てきたものは……
ニーミ———『カボチャの種』十二粒
サンミ———『魔力(MP)回復薬(下級)』
ヨンミ———『スタミナ力回復薬(中級)』
ゴーミ———『魔法の松明(下級)』
ロクミ———『魔鋼のハンマー(中級)』
……となった。
ランクで言えば下級の物が二つ、中級の物が三つ、それ以外の種となった。
まぁ……それなりの結果じゃないだろうか。
各種の回復薬は今後の比較の為のサンプルとして役立つだろう。
『種』が出るとは思わなかった。
どんな種類のカボチャかわからないが………
よく考えたら『種』って農家にとっては確かに宝物だよね……。
何かうずく……
早く植えてみたいなー……
農家の血が騒ぐ……
『魔法の松明』は、魔力を流すと火が着いて灯りになるらしい。
下級アイテムだが気軽に使うのに良さそうだ。
なんとなく火をつけるライター代わりにも使えそうな気もするし……。
『魔鋼のハンマー』は中級アイテムだし、これは当たりっぽい。
ただのハンマーではなく、魔法のアイテムなのだ。
詳しく鑑定すると……
『魔鋼のハンマー』———階級 中級———魔力を流す事で、軽量化できる『魔法武器』。インパクト時には逆に重くなり強い衝撃が加えられる。魔力操作で強度を増すことも可能。
つまり非力でも使えるということなのかな……
腕力よりは……魔力操作が精密にできる人の方が向いてる武器ということなのだろうか……。
さて、それではお待ちかね……
シチミいってみますかー!
シチミがスタンバイする……
何やら気合を入れてくれているようだ。
———ガタガタ震えだした———
………そして………
さらに激しくガタガタしてる……
———パワーンッ
激しいフラッシュと共に蓋が開く……
中から出てきたのは———
おお! これはすごい!
『魔法銃』———階級 極上級———魔力を流すことで、圧縮した高密度の魔力弾を発射する。連射可能。
……これはいい!
まさにお宝だ!
魔法の銃なんて……
失われた中二心が蘇る……
俺は早速、試し撃ちをしてみる……
……と思ったのだが……
よく考えたら……魔力の調整がうまくできるか自信がない……
迂闊に撃つのは危険だ……。
でも……やっぱり撃ってみたい!
そこで……空に向けて、なるべく最小限の魔力を心で念じながら、撃ってみた———
シュッ———
————————————————————————ッ
な、なに………!
一瞬で雲を撃ち抜いて、まっすぐな軌道痕を残した……
成層圏に到達してしまったのではないだろうか……。
高出力ビームを撃った後みたいじゃないか……
凄まじい威力だ!
てか……アニメか!
俺が使うには……もう少し魔力操作の練習をしないと無理みたいだ……残念。
この『魔法銃』は、銃とはいうものの……どちらかというと、魔法の杖のバリエーションのような気がする……。
引き金みたいな形のところはあるが、引き金ではない。動かないのだ。
引き金を引く形状の銃ではないということだ。
あくまで魔力を通す意思で撃つらしい。
魔法の杖とあまり変わらない。
今の俺では使いこなせないけど、他のメンバーなら使えるかもしれない……。
一応、声かけてみたら……
ニアは使う気満々だったが、どう見てもサイズ的にきついだろう……。
リンは手を作れるし、シチミも手があるので問題なく使えそうだ……。
実際に撃たせたら、魔力もちょうどいい感じで使えていた。
この二人は問題なく使えるね。
フウは手がないので厳しい……。
オリョウは使う気満々で……
……意外に上手く使えていた。
オリョウの手のサイズからすると、ちょっと銃が小さめだが、引き金を引く形式でないのが幸いして、うまく使えるようだ。
見た感じ……一番狙いが正確な気がする。
そして何故か……様になっている………
不思議でしかないが……。
かなり気に入ったようだ。
俺は、オリョウに預けることにした。
遠距離攻撃の手段を持ってないからね。
リンとシチミは『魔法杖』があるし。
物理主体のオリョウではあるが、魔法銃を手にしてかなり嬉しそうにしていた。
ちなみに、オリョウは収納系のスキルを持っていないので、ケニーが種族固有スキル『糸織錬金』で、ガンホルダーを作ってくれる事になった。
これも俺が拙い絵で説明したが、ケニーはカッコいいのを作ってくれた。
腰に下げる西部劇みたいなやつだ。
これまた何故か……オリョウに似合っていた。
結構羨ましい……いや……かなり羨ましい!
俺は、真剣に魔力調整の練習をしようと心に誓った!
俺だって……いつか銃を持つんだ!
しかも二丁拳銃にしてやるのだ!
俺は、シチミや他の『ミミック』達に改めて礼を言って、これから毎日一回『宝物召喚』をすることをお願いした。
出た宝物は、みんなで使ってくれていいが、面白いのが出た時に教えてほしいと言っておいた。
周りで見ていたフラニーやケニーが俺の話を聞いて、この『宝物召喚』を毎日行うお茶会のお楽しみイベントの一つとしてやりたいと言って来た。
もちろん、すぐに了承した。
盛り上がりそうだし、ミミック達も気合いが入っていいだろう。
現にその提案に嬉しそうにしていた。
フラニー達も何が出るかわからないのが、やはり面白いようだ。
早くもガチャの魅力に取り付かれてしまったらしい……。
読んでいただき誠にありがとうございます。
ブックマークしていただいた方、ありがとうございます。
評価していただいた方、本当にありがとうございます。
連日、日刊ランキングに入っています。
読者の皆様のおかげです。感謝です。
次話の投稿は、26日の予定です。
もしよろしければ、下の評価欄から評価をお願いします。励みになります。
よろしくお願いします。




