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882.指人形の、すごい使い方。

 猿のパーティー『モンキーマジック』は、コバルト侯爵軍の特別騎馬隊の兵士とヤーバイン将軍を無力化した。


 これと同時に、その後ろに控えていた軍馬による騎馬隊の兵士五十人の無力化は、チーム付喪神の一部のメンバーが行っていた。

 この兵士たちも、軍馬が逃走して騎馬ではなくなっている。


 チーム付喪神のメンバーの中で、デリケートな対人戦の経験を積んだ方が良いと判断したメンバーは、『ホムンクルス』のニコちゃんと、『闇の石杖』の付喪神ヤミさんとリュートの付喪神リューさんと壺の付喪神ツボンちゃんである。

『高速飛行艇 アルシャドウ号』の付喪神エメラルディアさんは、アルシャドウ号の対人拘束用の武装を試すためにメンバーに加わっている。


 チーム付喪神のリーダーであるツクゴロウ博士と『魔盾 千手盾』の付喪神フミナさんとクワの付喪神のクワちゃんは、フォロー役として見守っていた。


『ホムンクルス』のニコちゃんは、約三千年前に活躍した『勇者団』の秘密基地だった『勇者力研究所』で発見した指人形を使って、兵士たちを制圧していた。


 約三千年前に、『勇者武具シリーズ』と呼ばれている武器と一緒に『マシマグナ第三帝国』の遺跡から発見されたという特別な『魔法の武器(マジックウェポン)』なのだ。


『名称』が『魔具 パペットバレット』となっていて、『階級』は『究極級(アルティメット)』となっている。


 五本の指に装着する指人形で、すべての人形がライフル銃を持っている。

 指人形が持っているライフル銃なので、かなり小さいライフル銃なわけだが、強力な魔法銃になっている。

 当然ながら、対人戦においては強力すぎて使いにくいものである。

 ただニコちゃんは、あえてそれを使ったのだった。

 ただし、ライフル銃は使わなかった。


 指人形を一度指にはめてから、「一家総出」という発動真言(コマンドワード)を唱えると起動する。

 その後は、ニコちゃんの念の力で自由に動かせるのである。


 各指人形は、俺と同じように別世界の日本から来た人が作ったとしか思えないようなデザインなのだ。


 親指はスーツとネクタイのサラリーマン風のお父さん、人差し指は割烹着のお母さん、中指は学生服の少年、薬指はセーラー服の少女、小指は黄色い帽子と園児服の男の幼児なのだ。

 家族という設定のシリーズだと思う。

 ちなみに、セーラー服の少女が持っている銃は、他のと違って機関銃のデザインだ。


 そして起動して指から発射するときに、それぞれに決めゼリフのようなものを発するのだ。

「サラリーマンなめんなよ!」「おかんなめんなよ!」「学生なめんなよ!」「か・い・か・ん」「オラに任せろー!」と言う言葉を発するのである。


 最初は、この言葉が登録されていて自動で発するだけだと思ったが、使いこなす練習をしていたニコちゃんの話によると、他にもセリフのパターンがあって、簡単な会話のようなことができるらしい。


 そんな指人形たちを発射したニコちゃんは、すでに自在に操作できるようになっていて、兵士たちに近づいて次々と麻痺させて倒していた。


 俺は最初どういう状況なのかよくわからなかったが、ニコちゃんは飛ばした指人形を通じて『状態異常付与』スキルで『麻痺』を付与していたのだ。


 指人形は、指から発射して飛ばしても、ニコちゃんの体の一部として機能するようで、指人形を通してスキルを発動できたのだ。


 そんなことができるなんて想像もしていなかったが、ニコちゃんはなんとなくできるような気がして試したらしい。


 そしたら、うまくできたということだった。


 ある意味、ニコちゃんが五体に分身して、自由に動いて敵を攻撃できるということになる。凄い発見である。


 基本装備で備え付けられている魔法のライフルだけでなく、指人形を通して魔法スキルでの攻撃もできれば、回復魔法を放つこともできる。


 これには、この魔法道具を知っているフミナさんやエメラルディアさんも驚いていた。


 もともとの使用者であった親指将軍という人は、あくまで指人形の装備している魔法銃でしか攻撃していなかったそうだ。


 まぁそれだけで充分強力だから、他のことをやる必要はなかったんだろうし、別の使い方ができるとも思わなかったのだろう。


 ニコちゃんは、対人戦で無力化するために、魔方銃は使わず指人形による体当たりで意識を刈り取ることを考えたようだが、閃いてスキルを使ってみたらできたというわけである。

 今回の実戦があったからこそ、気付けた使用方法と言える。


 すべてのスキルが有効に使えるかわからないが、少なくとも魔法系のスキルは問題なく使えるだろう。

『共有スキル』にセットされている魔法スキルを、五体の指人形を使って五箇所で同時に発動させたり、巨大な魔物などに五体の指人形が一斉に魔法を放つという戦い方もできそうだ。


 もしかしたら、指人形サイズの専用の剣を作って持たせれば、『剣術』スキルを使って剣撃もできるかもしれない。

 ただ、指人形サイズだから、強力な攻撃ができない可能性もあるけどね。

 まぁ魔法スキルが放てるだけで充分だね。


『闇の石杖』の付喪神ヤミさんは、対人戦の実戦は初めてとなるが、まったく問題なかった。


 自由に宙を舞って兵士に近づいては、コツンと打撃を加えつつ『状態異常付与』スキルで『麻痺』を付与していた。


 かなり早く宙を移動できるようになっているので、兵士たちに捕らえられることはなかったが、一度出会い頭的に剣で叩き落とされていた。


 だが、石杖と言うだけあって元々頑丈なので、ほとんどダメージを受けていなかった。


 ヤミさんは何事もなかったかのようにまた宙を舞って、兵士の剣を避けながら鳩尾に自分自身である杖を打ち込んでいた。


 兵士は悶絶していたが、ヤミさんに『麻痺』を付与され悶絶もできなくなっていた。


 リュートの付喪神リューさんは、宙を舞いながら兵士に近づくと耳元で短い独特の音を出し、気絶させていた。


 独特な音波が出せるようだ。


 ツボの付喪神ツボンちゃんは、自分自身である壺から麻痺毒を発射し、兵士にかけることによって無力化していた。


『高速飛行艇 アルシャドウ号』の付喪神エメラルディアさんは、上空から兵士の集団に『アルシャドウ号』を急速接近させ、側面の魔砲の一門から特製の弾丸を発射して無力化していた。

『投網拡散弾』という新開発の弾で、発射されると、投網が広がり兵士をまとめて拘束していた。

 この特製弾は、『勇者力研究所』に残されていた設計図をもとに、ミネちゃんが完成させたものだ。


 元々の構想が魔物などをまとめて捕らえるためのものらしく、『魔鋼繊維』を練り上げて作った強固なロープで網が作られている。

 簡単には破壊できないので、レベルの高い兵士でも短時間で抜け出すのは難しいのだ。


 フォローに回っていたツクゴロウ博士、『魔盾 千手盾』の付喪神フミナさん、クワの付喪神クワちゃんも、満足そうに見ていた。

 皆危なげない活躍ぶりだった。

 チーム付喪神は、やはりかなり優秀なチームになりそうだ。




読んでいただき、誠にありがとうございます。

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次話の投稿は、20日の予定です。


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― 新着の感想 ―
[一言] > ちなみに、セーラー服の少女が持っている銃は、他のと違って機関銃のデザインだ。  セーラー服と機関銃(1981年)……燃える勇者との併映がなされたらしい? 『ゆうしゃ』じゃなくて『ゆうじゃ…
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