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872.反乱は、二人で鎮圧。

 コバルト城の別館半壊現場に横たわっている兵士たちを無力化したというオカリナさんに、詳しい状況を聞いた。


 それによると、たまたま城の近くに居合わせたオカリナさんが、城内での爆発音を聞き調査のために潜入したとのことだった。

 そして、反乱の首謀者である次期領主のボンクランドとその勢力である近衛兵を鎮圧したらしい。

 やむを得ず追従していた衛兵と正規軍兵も無力化したとのことだ。


 城内にいた兵士は、全てここに集まってきていたようで、結構な数だ。


 最初に非道な行為をしていた近衛兵を倒したのは、隣にいる少女ということだ。

 そしてなんとその少女は……オカリナさんの親友なのだそうだ。

 十二年前に解散した攻略者パーティーのメンバーで、『コボルト』のブルールさんというらしい。


 城内に潜入したオカリナさんが、ボンクランドと対峙していたブルールさんを密かに見つけたのだそうだ。

 そしてその会話内容から、ブルールさんが『コボルト』の里から拉致された仲間を助けるためにやって来たということを知ったらしい。


 そこで機転を効かせたオカリナさんが、合流したゼニータさんとルセーヌさんと共に、城の中を捜索し、最初に目星をつけた地下牢で発見し、救出したとのことだった。


 拉致されたトウショウさんという人は、ゼニータさんとルセーヌさんが城の外に逃がしているところらしい。


 ボンクランドは、計画通り、何かの理由をつけて自分の妻と子供以外のすべての親戚と、自分に従わない家臣、文官を別館に集めたようだ。

 そして爆弾を爆発させ、まとめて殺害したらしい。


 運良く即死しなかった負傷者も、あらかじめ手配していた近衛兵に惨殺させたようだ。


 本当に自分勝手で、非道な犯行だ。


 その凶行を、駆けつけたブルールさんが見つけ、その場にいた近衛兵を倒してくれたようだが、時すでに遅く皆殺しにされた後だったそうだ。


 そんな大体の報告を聞いたところで、ゼニータさんとルセーヌさんが駆け込んできた。


「グリムさん、いらしてたんですか!?」


 ゼニータさんは、俺やニアがいるので驚いたようだ。


「はい。実はセイバーン城で、コバルト侯爵が護衛の近衛兵に暗殺されたのです。捕らえた近衛兵の尋問で、コバルト城での反乱計画を知り、駆けつけました。残念ながら遅かったようですが……」


 俺は、そう答えた。


「暗殺!? ……そうだったんですか……」


「他に被害は?」


 ゼニータさんとルセーヌさんが、驚きの声を上げた。


「大丈夫です。セイバーン城も爆破を計画されていましたが、マスカット子爵とその臣下の人たちの働きで、阻止されました」


「「よかった……」」


 二人は、ホッと胸を撫で下ろした。


「ゼニータさん、申し訳ないのですが、転移の魔法道具を使ってセイバーン城に行ってもらえますか? ユーフェミア様に状況の報告をして、今後の指示を仰いできて欲しいのですが……」


「かしこまりました。私も、ちょうどそうしようと思っていたところです。すぐに行って参ります」


 ゼニータさんはそう言うと、すぐに転移した。


「師匠、『コボルト』のトウショウさんは、城を出て、我々の宿に連れて行きました。バロンとトッツァンが見てるので大丈夫です」


 ルセーヌさんが、師匠であるオカリナさんに報告をあげた。


「ありがとう。……ということだから安心して、ブルール」


 オカリナさんは、ルセーヌさんに礼を言った後、ブルールさんを見た。


「ありがとう。これで一安心だわ」


 ブルールさんは、オカリナさんとルセーヌさんを交互に見て礼を言った。


「すみませんが皆さん、少し手伝ってもらえますか?」


 俺は、オカリナさん、ブルールさん、ルセーヌさんに声をかけ、麻痺状態で倒れている兵士と鼻血を出して倒れているボンクランドを縄で拘束するのを手伝ってもらった。


 ちょうどナビーからも念話が入った。

 城外……街中で行われていた兵士同士の衝突は、ナビーが全て無力化したらしい。

 重傷者がかなりいたようだが、ナビーが回復薬を与えて回復させたようだ。


 『領都コバルト』には、まともに動ける兵士は一人もいない状況だろう。


 通常であれば憂慮すべき事態だが、兵士同士が争って無駄に命を散らすよりはいいだろう。


 そしてナビーは、『エンペラースライム』のリン、『スピリット・オウル』のフウ、『スピリット・ブラック・タイガー』のトーラ、『スピリット・タートル』のタトルを、転移で連れてくるとのことだ。


 この『領都コバルト』にも、『スライム軍団』『野鳥軍団』『野良軍団』『爬虫類軍団』を組織して、即席のフォロー要員を作るつもりらしい。


 さすがナビーである。

 抜かりがない。


 これを機に、コバルト侯爵領内の各市町にも、各軍団を組織したほうがいいかもしれない。


 各軍団は、人々を守る身近な守護者といえる存在だからね。


 ちなみに、ピグシード辺境伯領やヘルシング伯爵領の各市町には、各軍団が整備され密かな守り手として活躍しているのだ。

 彼らのお陰で、犯罪発生率が極端に低くなっている。


 人に危害を加える行動をする者は、スキルを使って密かに取り押さえちゃうからね。

 犯罪現場や揉め事の現場に常にいるわけじゃないから完璧ではないが、各軍団のメンバーがそういう状況を目撃したときには、皆、人を守る行動をとるから、死亡に至るような事件は極端に少ないのだ。


 そして、セイバーン公爵領の各市町でも、既に各軍団が設置済みなので、密かな守り手として活躍してくれている。


 変なかたちの縁だが、コバルト侯爵領にも訪れたので、人々のために各軍団を組織しようと思う。

 導く領主が酷いから、尚更一般の人々を守る影の守護者が必要だろうからね。


 まぁもっとも、今回の件でボンクランドが領主になることはないだろうし、変な者が領主にならないように、充分注意が払われるだろうけどね。


 そんなことを思っていると、なんと、ゼニータさんが転移で戻ってきた。


 思ったよりも、かなり早い帰還だ。


 そして一緒に現れたのは……ユーフェミア公爵と審問官でもある第一王女のクリスティアさん、そしてなんと国王陛下だった。

 『セイリュウ騎士団』の皆さんも、マリナ騎士団長をはじめ全員来ている。


 ここからは、国王陛下のターンが始まりそうだ。




読んでいただき、誠にありがとうございます。

ブックマークしていただいた方、ありがとうございます。

評価していただいた方、ありがとうございます。


次話の投稿は、10日の予定です。


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よろしくお願いします。

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