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858.グリムの、悩み。

「ニア様、ありがとうございます。私の子供たちも家族として迎えてくれるなんて、本当に嬉しいです」


『怪盗イルジメ』ことオカリナさんが、満面の笑みでニアにお礼を言った。

 彼女が引き取って面倒を見ている子供たちも、俺たちの仲間として迎え入れるとニアが言ったからだ。


「いいのよ、それに私のことはニアでいいわよ。ハナシルリちゃんとは、もう親友みたいな感じだから、その大親友のオカリナさんも親友ってことでいいでしょ! 仲間内の時は梨那ちゃんと呼ばせてもらうわ。これから仲良くしましょう」


「嬉しい。じゃあニアちゃんって、呼ばせてもらいます。なんか……ニアちゃんて、瑠璃と似たものを感じるのよね。すごく仲良くなれそう」


「これから楽しくなりそうね! チームグリムにも歓迎するわ。『フェアリー商会』もそうだけど、基本的に女子メンバーで回してるの。みんなすごくいい子たちだから、安心して。いつも女子会って感じで楽しいわよ。まだ『絆』メンバーにはなってないけど、ユーフェミア公爵を中心とした貴族女子たちも、いい子たちですごく仲がいいの。彼女たちもいずれ『絆』メンバーになると思うけど、今は違うの。なんかグリムが言うには、貴族の人間関係って面倒くさいらしいのよね。私たちの秘密を守るために、嘘をつかなきゃいけないとか、そんな状況になる可能性が高いってことで、まだメンバーに勧誘してないだけ。人柄的には全く問題ないの」


 ニアは楽しそうに言って、チラッと俺を見た。


 まぁ確かに、俺はほとんど何もしていないと言っていい感じだ。

 女性陣を中心とした周りの人たちが、いろんなことをそつなくやってくれているからね。


 まぁその中心にいるのは、ニアだったりするしね。

 チームグリムとか言いつつ、チームニアと言ったほうがいいんじゃないだろうか……トホホ。


 それにしても……ニアとルリリナコンビが合体したら、今後の台風の目になるのは間違いないだろう。


 落ち着いた大人女子の『アメイジングシルキー』のサーヤや『アラクネロード』のケニーたちも、ニアの無茶苦茶ぶりを止めたことは一度もないからね。

 どちらかというと、楽しんでる感じだからなぁ……。


「私も、皆さんと仲良くなるのが楽しみです」


 ニアの説明を聞いたオカリナさんが、改めてそう言って、ハナシルリちゃんと楽しそうに見つめ合った。


「それから、よかったら怪盗の子たちも、『絆』メンバーにする? 梨那ちゃんの家族だもんね。秘密さえ守ってくれればいいから。未成年の子たちも、ある程度の年齢になったら『絆』メンバーにした方がいいかもね。梨那ちゃんが英才教育をしているなら、みんな有望だろうしね」


 ニアさんが、俺の意向を全く確認することなく、勝手に話を進めているが……。

 ……まぁいいけどさぁ。

 家族の中で秘密を持たせるのは、可哀想だしね。


「本当ですか! お願いできるなら、凄く嬉しいです。姉とか母の気持ちなので、あの子たちの安全が一番心配なんです。『絆』メンバーになって、『共有スキル』が使えれば本当に安心です。未成年の子もお願いできるなら、そうしたいです」


「未成年の子たちも、オカリナさんが母親代わりでついてるから問題ないでしょう。意外とすごい子がいるかもしれないしね。うちのパーティーメンバーでも、ある意味一番凄いのは八歳のリリイとチャッピーかもしれないしね。あの子たちの戦いぶりを見たら、きっとオカリナさんも驚くわよ。ねぇグリム、オカリナさん一家も私たちの仲間ってことでいいでしょう?」


 ニアは、今になってようやく俺に確認してくれた。


「もちろん構わないよ」


 当然、俺はそう答えた。


 ここで断ることなどできないからね。

 なし崩し的に『絆』メンバーが増えて、よく知らない人まで入ってしまうのは困るけど、信用できる人とその家族なら問題ない。

 それに『契約魔法』で『秘密保持契約』を結ぶという手もあるから、未成年の子がうっかり口を滑らせて、秘密が漏洩すると言うことも防ぐことができる。


 変な話だが、動物たちはある意味純粋なので、なし崩し的に『絆』メンバーが増えても心配は無い。

 だが、人間はいろんな考え方があるし、人間関係でもめるのだけは勘弁してほしいので、本当に信用のおける人しか『絆』メンバーにしたくないんだよね。


 ユーフェミア公爵たちを『絆』メンバーにしていないのは、貴族で様々な人間関係があるから、情報を秘匿するために嘘をつかなきゃいけない状況にさらされる可能性がある。

 そのことを気遣ってのことだ。

 それにみんな充分強いし、『絆』メンバーにする緊急の必要性もない。

 人間性としては、もう十分に信頼しているから、『絆』メンバーに勧誘してもいいんだけどね。


 そして、もうこの国のトップである国王陛下とも仲良くなったし、その人間性もわかった。

 国王陛下たちも含めて『絆』メンバーになってもらえば、今までのようにユーフェミア公爵が、国王陛下に嘘をつかなければならない状況が発生する可能性もない。

 そう考えると、このタイミングで思い切って、知り合いの貴族の皆さんを『絆』メンバーにしてもいいかもしれない。


 ただ国王陛下であっても、独裁者じゃないから周りの重臣にいろいろ聞かれることはあるはずである。

 その時に、情報を秘匿するために、嘘をつかなければならない状況になるかもしれない。

 そう考えると、また少し悩んでしまうんだよね。


 それと……情報開示してメンバーに勧誘するとしても、どこで線引きするかは、実際問題は非常に難しい。

 ユーフェミア公爵たちは問題ないとして、『セイリュウ騎士団』まで含めるのか、などいろいろ問題が出てくるんだよね。

 これは『フェアリー商会』のメンバーについても、一緒なんだよね。

 十分に信頼している幹部メンバーにも、『絆』メンバーにしていない人たちも結構いるからね。


 この辺のことを考えると悩んでしまうので、今までは人族や亜人族については、異世界から来た人や『使い人』の子たちなど、どうしても打ち明ける必要がある人以外には、秘密にするという方針で来たのだが……悩ましいところだ。


 はあ……もう考えるのが面倒くさくなってきた!


 人族や亜人族についても、慎重にならずにいい人だと判断した時点で、メンバー入りを希望してくれそうな人には、情報を公開して『絆』メンバーにしちゃうかな……。


 考えてみると慎重になっている理由は、人間関係とかで揉めたくないということが大きいのだから、人間性に問題がないなら、いいわけだよね。


 ニアやサーヤたちと、一度相談してみよう。






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次話の投稿は、27日の予定です。


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