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836.新たな、地下空間。

 ニアの予感通り、地下に新たな空間があった。


 ここは上と同じく大部屋になっているので、一緒に来ているみんなを呼んでも大丈夫な広さがある。


 みんなを呼んであげて、一緒にこの部屋の扉を開けようと思う。

 新たなスペースに踏み込む興奮と感動を、分かち合ったほうがいいよね!

 みんな、喜ぶと思う。


 俺はそう思い、空洞に縄ばしごを設置し、みんなに降りてきてもらった。


「まさか、まだ隠しエリアがあったなんてねぇ……」

「これはすごい! こんな瞬間に立ち会えるなんて」

「ほんとですなぁ。ワクワクしますなぁ」


 ユーフェミア公爵、国王陛下、ビャクライン公爵が、目をキラキラさせている。

 もちろん、他のみんなもだ。


「じゃぁ、何があるか……入ってみましょう!」


 俺はそう言って、この大部屋の扉を開けた。


「「「おお!」」」


 みんなから、ため息が漏れた。


 そこには……上の空間と同じような円形の巨大な格納スペースがあった。

 ほぼ上にあった空間と同じ作りだ。


「まさか……こんなエリアが新たに作られていたなんて……」


「ほんとですね。私たちが使っていた頃には、なかったから……」


「もしかしたら……最終決戦の後に作ったのかしら?」


 エメラルディアさん、フミナさん、ヒナさんが驚きの声を上げた。


「そして……まさか……これがあるなんて……」


 さらにこの空間に置いてあるものを見て、エメラルディアさんが声を詰まらせた。


「これって……あの時のワイバーンよね……?」


「おそらく……間違いないわね……」


 ヒナさんとフミナさんが微妙な顔で言った。


 この円形の格納スペースにあったのは、作りかけの操縦型人工ゴーレムのようなものだ。

 しかもベースがワイバーンらしき生物になっている。


 ワイバーンの下半身の部分を再利用し、メカと組み合わせた構造体が置いてある。

 下半身パーツといったところだろうか……。


 俺が手に入れたあのメカヒュドラと同じような印象の構造体である。

 生体の残存組織と機械を組み合わせたような感じになっているのだ。


 足の部分というか、腰から下のパーツで生体組織が活かせるところを活かし、破損したところは魔法機械で補ったのだろう。


 そして胴体の部分のパーツは見当たらないが、胸より上というか……肩から上の部分のパーツがある。

 それも生体組織と機械を組み合わせたような作りになっている。


 ワイバーンの顔は、一部が機械になっている。


 ワイバーンは、腕と翼が一体になっているというか、腕が翼になっている生物のようで、その腕パーツというか、翼パーツが別個に置いてある。

 左右の腕がそれぞれ置いてあるが、これも生体パーツと機械が組み合わさった構造になっている。

 ただ、羽の部分については、腕と分離した状態で側に置いてある。

 羽部分は、完全に機械のようだ。


 もう一度見返したが、胴体パーツはないようだ。


 まだ胴体パーツの作成前に、この基地を破棄するということになったのだろうか……?

 他のパーツの状態を見ても、明らかに作業途中で急遽放棄されたという印象が強い。


「このワイバーンは……悪魔と融合していたワイバーンです。私が『アルシャドウ号』で特攻し倒したはずですが……残骸を『アルシャドウ号』とともに回収していたようですね。そして当時計画を進めていた操縦型人工ゴーレムの素体にしたみたいですね」


 エメラルディアさんが、複雑な表情で教えてくれた。


 このワイバーンは、エメラルディアさんが『勇者団』を守るために、特攻をかけて命を散らした相手のようだ。


 このワイバーンは、おそらくかなり大きかったのではないだろうか。

 まぁ一般的なワイバーンの大きさが分からないから、想像でしかないが。

 ヒュドラほどではないが、足の大きさからして体長で二、三十メートルくらいはあったのではないだろうか。


 ヒュドラと同じく亜竜に属するワイバーンは、ただでさえ人族が敵うような相手ではない。

 それに悪魔が融合していたという話だから、相当に強かったのだろう。

 逆に言うと、刺し違えたとは言え、よく倒せたものだと思う。


 胴体部分がないのは、エメラルディアさんが『アルシャドウ号』で特攻をかけ破壊したからかもしれない。


 このメカワイバーンも再利用できればいいが、胴体パーツがないから、現状では組み上げることはできそうにない。


「そういえば……この保存状態という事は……どうやら死体の筋組織を腐敗させずに機能させる技術は、完成していたようですね」


 エメラルディアさんが、ハッと思い出した顔をして言った。


 詳しく訊いたところ、『マシマグナ第四帝国』の末期には、強力な魔機(マギ)を作るために、魔物や竜族などの死体をベースにして製造する計画があったらしい。


 骨だけでなく残っている筋組織をそのまま使うという計画だったらしく、残存する筋組織や神経組織などが腐敗せず利用できるようにする特殊な防腐処理と活性処理の技術が研究されていたとのことだ。


 それが完成したので、ここにあるワイバーンの元々の生体組織が維持されているのだろう。


 俺のものになっているメカヒュドラについても、同じことが言えるようだ。


 特殊な魔法溶液の開発をしていたということらしいが、エメラルディアさんは詳しいことはわからないらしい。


 もしその溶液があるなら、俺も人工ゴーレムを作る際に、死骸を素体として活用することができると思ったのだが……現時点では難しいようだ。


 ただ、これからこの新たなスペースを探索するから、その溶液もしくはその資料のようなものが発見できるかもしれない。


 特殊な魔法溶液が残っていることに期待しよう。




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次話の投稿は、5日の予定です。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] >ただでさえ人族が叶うような相手ではない。 →ただでさえ人族が敵うような相手ではない。 [一言]  ワイバーンの下半身……尻尾に毒針があるタイプなんだろうか? 尻尾の毒針の生え方がサソ…
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