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833.またも立ち会えず、泣いちゃう博士。

「じゃぁ、他の部屋も見ていきましょうか!」


 船の付喪神エメラルディアさんの言葉に従い、俺たちは順番に各部屋を確認してまわった。


 個室のような部屋から食堂や会議室のような大部屋まで、部屋はいくつもあったが、めぼしいものは他にはなかった。


 その様子から判断して、エメラルディアさんは、何かの事情でこの基地が意図的に放棄されたのだろうと予想していた。

 それも逃げるように急いで撤収したために、整備途中だった高速飛行艇『アルシャドウ号』やそのパーツが放置されたのだろうとのことだ。

 指人形も使いこなすのが難しい癖のある魔法道具だけに、回収されなかったのかもしれないと予想していた。

 逆に活動資金などは一切残っておらず、撤収するときに持ち出したのだろうとのことだ。


「この秘密基地は、名前はあったんですか?」


 ちょっと気になったので、訊いてみた。


「正式名称は『ブレイブベース』という名前だったんですけど、『突撃の勇者』のソウジ君が基地なら研究所って名前にしたほうがいいって言い出して、『勇者力研究所』っていう名前で、みんな呼んでたんです。その当時は、上にカモフラージュでお城があったので、そこに大きなプールを作って、プールを割ってアルシャドウ号を発進させようとか悪ノリで言ってましたけど、さすがにそれは却下されてました……」


 盾の付喪神で、元『守りの勇者』の残留思念体でもあるフミナさんが、また懐かしそうに笑みを浮かべながら教えてくれた。


 なるほど……プールを割って発進させたいという気持ちは、よくわかる。

 誰しも一度は、そんなギミックを実現させたいと思っちゃうよね。

 そして……そんな基地に○○研究所っていう名前をつけたい気持ちもよくわかる。


 ただ元ネタを知らない人にとっては、微妙すぎる名前だと思うけど……。

『ブレイブベース』の方が、普通にかっこいいよね。

 ただ、当時の呼び名を尊重して、ここは『勇者力研究所』という名前の基地にすることにしよう。


 といっても、今のところ使い道は無いけどね。

 高速飛行艇『アルシャドウ号』を整備するのは、この基地がいいと思うが、俺たち全体の基地にするほどではない。

 現在の公式秘密基地『竜羽基地』の方が、格納スペースも大きいからね。

 この基地『勇者力研究所』には、べつじん28号やメカヒュドラといった操縦型人工ゴーレムを格納するのは、大きさ的に難しそうだ。



 基地内の探索を終えた俺たちは、『アルシャドウ号』に武装パーツを取り付ける作業に入った。


 エメラルディアさんの指示に従い、フミナさん、『ホムンクルス』のニコちゃん、リリイとチャッピーが装備するのを手伝ってくれている。


 俺は、『防御用マスト』に取り付ける巨大クラゲ魔物の外皮を整備し、『防御用マスト』を作っているところだ。


 ニアさんはというと、人型になって整備を手伝うわけでもなく、羽妖精状態のまま自由気ままに基地内を飛んでいる。




 ◇




『アルシャドウ号』に武装をセットした俺たちは、『勇者団』の基地だった『勇者力研究所』を後にし、『竜羽基地』にやってきた。


 ここまでは、『アルシャドウ号』に乗ってきたのだが、高速飛行艇と言うだけあって、かなりスピードが出せる優秀な船だった。

 そしてステルス機能も装備されていたので、目立つことなく飛行してくることができたのだ。


 今は、『竜羽基地』の大格納庫に収納してある。


 大格納庫には、べつじん28号二体とメカヒュドラが置いてあるので、追加で『アルシャドウ号』も格納したら、すっかり手狭な感じになってしまった。

 さらなる拡張が必要かもしれない。


 ちなみに、べつじん28号とメカヒュドラについては、エメラルディアさんは情報を持っていないとのことだった。

 フミナさんも存在を知らなかったようなので、これらの操縦型人工ゴーレムについては、密かに計画が進められていたか、もしくは二人が亡くなった後に急造されたものなのかもしれない。


 エメラルディアさんには、今後『チーム付喪神』に入ってもらって、付喪神のみんなと行動を共にしてもらうことにした。

 基本的には、今までみんながやっていた通り、毎日、訓練してレベルを上げてもらう予定だ。


 ただ、エメラルディアさん本体である『アルシャドウ号』を使った戦い方をするには、この『竜羽基地』の地上部分では問題がありそうだ。

 周辺被害を出してしまう可能性があるし、ピグシード辺境伯領の『ナンネの街』も近いので、思いっきり戦うのは難しいと思う。


 そこで、海の魔域である『大海域』に行って、そこの島にいる魔物を倒すかたちで実戦訓練を行ってもらうことにした。

 あそこなら、人がいないから気にせずに戦えるし、地上部の魔物はレベル上げの相手にはちょうどいいと思う。



 そんな話をしながら、この『竜羽基地』で、べつじん28号二体とメカヒュドラの整備を進めてくれていた『ドワーフ』の天才少女ミネちゃんと人族の天才少女ゲンバイン公爵家長女のドロシーちゃんに、エメラルディアさんを紹介し、この船を手に入れた経緯を説明した。


 そして『アルシャドウ号』の武装の充実が、エメラルディアさんの戦闘力に直結するという話をして、協力をお願いした。


「これは腕が鳴るのです! でも、お腹も鳴るのです……。できれば、船首に『魔導砲』クラスの必殺砲をつけたいのです! 考えてみるのです」


「私も可能な限り、知恵を絞ります。中の居住空間の充実を含め、より素晴らしい船に完成させましょう!」


 ミネちゃんとドロシーちゃんはそう言って、張り切って中の構造などを確認していた。



 少しして、夕食の時間なので、みんなで『コロシアム村』の俺の屋敷に移動した。


 エメラルディアさんは、自分の分身体とした舵を背負って移動したが、問題なく移動ができた。

 本体である船から離れても、舵を近くに置いておけば問題ないようだ。

 本体である『アルシャドウ号』を『竜羽基地』に置いたままでも、舵さえ持ち歩けばいろんな場所で活動できるということが確認できた。



 国王陛下やユーフェミア公爵を始めとしたいつものメンバーが戻ってきたところで、失われた『マシマグナ第四帝国』の第四皇女の残留思念体で、船の付喪神となったエメラルディアさんを紹介した。


 皆最初は驚いていたが、付喪神自体にはもう慣れているので、普通に接してくれていた。

 ある一人を除いては……。

 その一人とは……もちろん暴れん坊じいさんこと、付喪神研究の第一人者であるツクゴロウ博士だ。


 博士は、またもや号泣して悔しがっていた。

 付喪神化する瞬間に、またも立ち会うことができなかったからだ。

 可哀想だが、こればっかりはしょうがないんだよね……。

 予想できたことじゃないからね。


 そして、お約束のようにエメラルディアさんを触りまくろうとしたが、付喪神たちの素晴らしい連携による鉄壁のガードで、封じられていた。

 完封だ……残念!


 国王陛下たちは、失われた古代文明である『マシマグナ第四帝国』について詳しく聞きたいようだったが、今回は遠慮していたようだった。

 付喪神になりたてで、いろいろ動揺しているだろうからと気遣ってくれたようだ。


 俺も興味があったので、ここに来る前に少し聞いてみたのだが、すべてのことを想い出せるわけではないようだ。

 これはフミナさんにも言えることだが、思い出せることとそうでないことがあるようなのだ。

 そして何かのきっかけで、新たに思い出すということもあるようだ。


 現に今回の『勇者団』の基地についても、突然思い出したようだったからね。

『正義の爪痕』の首領が最近発見していた遺跡と聞いたときは、すぐには思い出せなかったようだが、少し経ってから情報のあった周辺に『勇者団』の基地があったことを思い出したとのことだった。

 そして俺に連絡をくれたお陰で、奥にあった隠しスペースを発見できたのだ。


 現時点で全てが思い出せなくても、何かのきっかけで思い出してくれることがあるだろう。


 今後長い付き合いになるから、ゆっくり思い出してくれればいいと思う。




読んでいただき、誠にありがとうございます。

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次話の投稿は、2日の予定です。


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― 新着の感想 ―
[一言] >勇者力研究所  兜の勇者が所長かな? いや、勇者だから剣の勇者の方か? > 俺も興味があったので、ここに来る前に少し聞いてみたのだが、すべてのことを想い出せるわけではないようだ。 > こ…
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