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829.武装を、物色。

「まだやってみないとわからないんだけど……感覚的にできそうだと思うのが、この分身体になった戦女神の像で戦うことね。私は、顕現体として戦いつつ、同時にこの船も動かしつつ、分身体の像を動かすこともできそうよ。そんな予感がするわ! レベルが上がったら、多分できると思う! そしたら三人分の活躍ができそう! 凄いと思わない!?」


 『高速飛行艇 アルシャドウ号』の付喪神エメラルディアさんが、突然そんな話をした。

 出かけるときに、舵を背負わなきゃいけないことを微妙に感じている俺たちを尻目に、またもや超ドヤ顔だ。


 言っていることが本当にできたら、確かに凄いことだと思うけど……。

 めっちゃ戦いたいってこと?

 この人……バトルジャンキーじゃないよね……?


「確かに……そんなことができたらすごいとは思いますけど……」


『魔盾 千手盾』の付喪神フミナさんが、苦笑いしている。


「そうでしょう! 『勇者団』のみんなをもっと助けたいと思っていたあの時に、この力があれば……。でも過ぎたこと言ってもしょうがないわね。これからの戦いでは、私があなたたちを守るわ!」


 エメラルディアさんが、感慨深げに、そして最後には力強く言った。


 なるほど……彼女は『勇者団』に協力して、一緒に戦っていたとのことだったが、もっと力になりたいと強く思っていたようだ。

 そういう思いがあるから、魂の願望の表れである可能性が高い『固有スキル』に、『砲撃戦』や『艦隊指揮』という戦闘に特化したスキルが現れているのかもしれない。


「エメル皇女、その意気込みは買いますけど……付喪神になりたてでレベル1だから、まずは訓練しないとですよ!」


 フミナさんが、少し呆れたような感じでほっぺたを膨らませた。


「そう! そうなのよ! レベル1じゃ話にならないのよね! ただ今の私は船だから、船の武装が充実してないと、戦闘力が無いに等しいのよ。そこでなんだけど……グリムさん、この船の武装を装備するお手伝いをしていただけないでしょうか? できれば最優先でお願いしたいんですが……」


 エメラルディアさんは、フミナさんに答えながら、途中から俺のほう向いてお願いしてきた。


「いいですよ。もちろん最優先でやりましょう」


 俺に否やはない。

 武装も含めた船の状態が気になっていたところだから、当然協力するつもりだ。


「ありがとうございます。ではまずは……この基地にある武器を探しましょう」


 そう言うエメラルディアさんに案内されて、船を降りた。

『アルシャドウ号』が置いてある中央のスペースは、格納スペースであるとともに整備スペースでもあるようで、整備道具のようなものが色々置いてある。


「これは、船体側面に備え付ける『魔砲』です。それからこれは、船尾と艦橋の頭頂部に設置する『魔弾機銃』です。これは、船首につける防御用のマストですが……壊れたままのようです」


 エメラルディアさんが、格納スペースに置いてある装備について説明してくれた。


 『魔砲』や『魔弾機銃』は想像がつくが、防御用のマストってなんだろう?


 少し気になったので、尋ねてみた。


「普通マストは、帆を張る為の柱なのですが、防御用マストは防御用のシールドを展開させるための柱なのです。通常はただの柱の状態ですが、戦闘になったときには防御用のシールドを展開する軸になるのです」


 なるほど……船を守るシールドか……。


「あの……その防御用マストの修理は、難しいんでしょうか?」


「いえ、回路自体は修理済みのようなので、防御用の展開板をセットすれば機能すると思います。ただ展開板のパーツが見当たらないので……それで取り付けていなかったのだと思います」


「ちょうど使えそうな素材を持っていますが……」


 俺はそう提案し、巨大クラゲ魔物の外皮の話をした。


「ほんとですか!? それは素晴らしい! まさか伝説の魔物の素材をお持ちとは……。もともとの装備よりも、強力になりそうですね!」


 エメラルディアさんは、目を輝かせた。


 使えそうでよかった。

 改めて思ったが、巨大クラゲ魔物の外皮や中のゼリー物質を追加装甲のような形で取り付ければ、さらに強力になるんじゃないだろうか。

 ロボットアニメなんかでよくある最終決戦前にフルアーマー化する感じで、フルアーマー計画を立てても面白いかもしれない。

 なんか……この船を作り込んだら楽しそうだ……。

 ワクワクしてきてしまった。


 後で『ドワーフ』のミネちゃんや人族の天才ゲンバイン公爵家長女のドロシーちゃんにも来てもらって、一緒に作り込もうかな……。

 装備さえつけてしまえば、その運用はこの船自身であるエメラルディアさんができるんだから、確実な戦力アップになる。

 逆に言えば武装の性能が、戦闘力に直結してしまうということではあるけどね。


「エメル皇女、見て見て! レイピアガンよ!」


 周りを物色していたフミナさんが、興奮気味に青いレイピアを持ってきた。


「ほんとだ! 懐かしい……。私が使っていたのと同型ね。使えそうね……私が使うことにするわ!」


 エメラルディアさんは懐かしそうに感触を確かめると、一緒にあったベルトを腰に巻いてレイピアを収納した。


 これは『魔銃剣 レイピアガン』という名称で、『極上級(プライム)』階級の『魔法武器(マジックウェポン)』だ。

 剣先から魔法の弾丸を発射できて、魔力の刃を発生させて斬り付けたり、突いたりすることもできるようだ。

 魔力の刃は、剣先だけでなく剣全体にも発生させることができるようで、普通の剣のような使い方もできるらしい。

 ただ魔力の刃は、威力が高いが魔力消費が激しいので、使いどころが難しいとのことだ。


 エメラルディアさんが、生前に使っていた武器の一つらしい。

 同じものが、あと八つある。

 ニアたちが欲しそうな顔をしていたので、ここにいるメンバー全員に一つずつ上げた。

 ニア、リリイ、チャッピー、フミナさん、ニコちゃんにあげたわけだが、このメンバーは常備する武器としての魔法銃は持っていなかったので、ちょうどよかったかもしれない。

 ただ、ニアは人型になった時にしか使えないし、リリイとチャッピーとニコちゃんには、『レイピアガン』が長すぎて、腰に差しても地面に引きずっちゃう感じになる。

 まぁ必要な時に、『アイテムボックス』から出して使えばいいんだけどね。





読んでいただき、誠にありがとうございます。

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次話の投稿は、26日の予定です。


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[一言] >この分身体になった戦女神の像で戦うことね。私は、顕現体として戦いつつ、同時にこの船も動かしつつ、分身体の像を動かすこともできそうよ。  霊波紋使いかな? ……うん、よくかんがえたら女神像じ…
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