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785.魔法AI 、ゲットだぜ!

『魔力炉』が稼働し、迷宮全体にエネルギーが流れるようになったらしく、設備ルームのパネル類も光が灯って動き出している。


「現在……全システムの30%程度が稼働しました。修理システムも、基本機能は稼働できる状態になりました。このままの状態を続ければ、時間がかかりますが60%程度までは回復可能と考えます。そこまで回復できれば、『再起動復旧モード』を実行することが可能になります」


 迷宮管理システムが、報告をあげてくれた。


「それはよかった。30%まですぐに回復したから、60%までもそんなに時間がかからず回復できるんだよね?」


「いえ、残念ながらすぐに稼働できるところが30%程度だったということです。残りは修理システムを使い、修理しながら稼働率を上げなければなりません。60%まで持っていくには、時間を要すると思います。やってみないとわかりませんが……数ヶ月を要する可能性があります」


 迷宮管理システムは、申し訳なさそうな顔をした。


「そうか……ということは、これから数ヶ月かけて稼働率を上げて、その後に『再起動復旧モード』に入るってことなんだよね。『再起動復旧モード』が終わるのには、おそらく一年ぐらいかかるということなんだろうね……?」


「おそらく、マスターのおっしゃる通りだと思われます」


「まぁ気長にやるしかないね。でも生きててくれて、ほんとによかったよ」


「マ、マスター……あ、ありがとうございます……。あの……もうマスター登録ができますので、登録をお願いします」


 迷宮管理システムは、泣き出しそうになっていたが、気を取り直してマスター登録を依頼してきた。


「わかった」


 俺は迷宮管理システムの指示に従い、ダンジョンマスターとして登録した。


 そして、いつものように迷宮管理システムに名前をつけてあげた。

 もうここまで続けてきたら、同じ感じでつけるしかないので……ダリシックスという名前にした。

 ちなみに……ネーミングに関するクレームは、受け付けておりません……。

 という念話をあえて、ニアさんに入れてみたのだが……


 俺をジト目で見るだけで……一言も言葉を発しなかった……。

 呆れて言葉も出ないってこと……?

 まぁいつもジト目で見られるだけで、言葉はなかったけどさ。


 ダリシックスによると、『再起動復旧モード』が可能なくらい稼働率が上がるまでの間は、この迷宮は完全に無防備な状態になるらしい。

『再起動復旧モード』に入れる稼働率60%くらいになれば、最下層のダンジョンマスタールームに近いエリアについては、おそらく迷宮封鎖が回復するだろうとのことだ。

 だが、それまでは家の扉を完全解放したような状態になってしまうようだ。

 つまり誰かが来たら、普通に入って来れてしまう状態らしい。


 迷宮封鎖された状態で活動停止していた階層を、俺が全てこじ開けてしまったから……原因の一端は俺にもあるのだ……。


 何者かに侵入されると危険なので、この迷宮の防衛をしてほしいとダリシックスに懇願された。


 もちろん了承した。

 初めからそのつもりだったからね。


 しばらく俺の仲間を配置して、守ろうと思っている。



 それからいつものように、この迷宮についても少し尋ねた。


 休眠モードに入ったのは、『イビラー迷宮』以外の他のテスト用迷宮と同じく約二千年前らしい。

 そして、早い段階で、魔素を吸い上げるシステムが何らかの原因で故障してしまったそうだ。

 それにより、エネルギーが尽きた状態が長く続き、死活状態だったようだ。

 休眠モードといえども、エネルギーは必要になるらしい。


 この迷宮は、『人工ゴーレム』の製造と運用のテスト用の迷宮だったとのことだ。


 魔法AIの技術を生かした自律行動する人造のゴーレムらしい。

 それ故、『人工ゴーレム』ではなく『人造ゴーレム』と呼んだりすることもあるそうだ。


 魔物の代替品となるゴーレムの製造を目指していたとのことだ。


 だが完成した『人工ゴーレム』は、当然魂はなく、人形のような存在だったようだ。

 迷宮を防衛する戦力としては機能するが、迷宮を訪れる冒険者にとっては、入手する経験値も少なく、素材としても貴重ではなく、ただ厄介な敵というだけの嫌がらせのような存在となるらしい。


 ここで作り出す『人工ゴーレム』は、魔法AIが大型である為、必然的に大きくなってしまうそうだ。

 大きくなるといっても、人間サイズのようだが。

 それに迷宮を訪れる者を迎撃するゴーレムとしては、大きい方が良いので特には問題になっていなかったらしい。

 このテスト用迷宮が開発された当時の魔法AIは、人間の頭くらいの大きさはあったようだ。

 魔法AIの小型化も課題の一つだったようだが、当時はそれ以上の小型化は難しかったらしい。


 そういえば……『マシマグナ第三帝国』の遺物が発見されて、その中に小型の魔法AI『知性の(インテリジェンス)(キューブ)』があったことによって、『マシマグナ第四帝国』の末期において、魔法AIの技術が革新的に進んだという話だった。

 皮肉なことに、それによってあの移動型ダンジョン『シェルター迷宮』から大量に放出された機械の殲滅兵の開発につながったわけだ。

 そしてそれにより、帝国は滅びてしまった。


 魔法AIは、有効に活用すれば素晴らしいものだろうが、悪用されたときの被害は甚大だと言える。

 まぁいつの時代も、どこの世界でも、先端技術というものは、そういうものなんだろうけどね。



 それから、この迷宮の宝物庫に『勇者武具シリーズ』が置いてないかを尋ねた。


 この迷宮の宝物庫は、現時点では開かないようだ。

 そして残念ながら、『勇者武具シリーズ』と思われる武具は無かったとのことだった。


 ダリシックスは、システムが回復して宝物庫が開かないと中の宝物は渡せないが、ダンジョンマスタールームに俺に役立ちそうな物があると言って、それを渡してくれた。


 ピンク水晶のようなバレーボールくらいの大きさの玉だった。


 この迷宮で生産するゴーレムに使用する魔法AI 『知性(インテリジェンス)(ボール)』というものだった。


 人型や、動物型の人形を作って、この魔法AIを埋め込み、『起動』という発動真言(コマンドワード)を唱えると、自律行動する『人工ゴーレム』になるらしい。

 人形の素材は、土系、石系、木系と幅広く適用できるとのことだ。

 一度起動すれば、魔力が切れるまでは稼働するらしい。

 魔力は、体に埋め込まれている『知性(インテリジェンス)(ボール)』に近い位置のゴーレムの体に手を当てて、流すと補充できるようだ。

 また、魔素の多い場所では、周囲の魔素を取り込むこともできるとのことだ。


 人型用『知性(インテリジェンス)(ボール)』と多足動物用『知性(インテリジェンス)(ボール)』があって、それぞれ五つずつ渡された。


 戦力としてはあまり期待できないと思うが、何か面白いことができそうだ。

 魔法AIで動く、ロボみたいなものが作れるってことだよね!


 多足動物用の『知性(インテリジェンス)(ボール)』を使えば、魔法AIで動く馬車のようなものが作れるかもしれない。

 国民的な癒しのアニメに出てくる猫のバスとか……そんなものも作れるかもしれないなぁ……。


 何か考えるのが楽しくなってきた!




読んでいただき、誠にありがとうございます。

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次話の投稿は、13日の予定です。


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― 新着の感想 ―
[一言] > それ故、『人工ゴーレム』ではなく『人造ゴーレム』と呼んだりすることもあるそうだ。 人工:自然の事物や現象に人間が手を加えること。また、人間の手で自然と同じようなものを作り出したり、自然と…
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