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727.生き物は、落札で保護。

 『闇オークション』最後の第四部『生物・奴隷の部』になった。


 まず最初に、生物が競りにかかるらしい。


 正直この部門は……胸糞が悪い。

 とりあえず、イライラを抑えながら参加するが、資金力に物を言わせて、すべて落札して保護しようと思っている。


 出品数が少ないというのが、せめてもの救いだ。


 最初に登場したのは……猿だった。

 一気に三種類、檻に入れられた状態で登場した。

 何かの薬を飲まされているようで、暴れはしないが、怯えた目をしている。


 何か特別な猿かと思ったが……普通の生物の猿だ。

 ただ、この辺にはいない珍しい種類ということのようである。

 一部の愛好家向けに出品されたようだ。


 愛好家といっても、ちゃんと飼育する人は少ないらしく、珍しい動物を集めて剥製にしたり、食べたりするという愛好家らしい。

 そんなことを、隣でマリナ騎士団長が教えてくれたのだが……更に胸糞が悪くなってしまった。

 可哀想なので、落札して助けてやることにした。

 変な愛好家に落札されるよりも……ニアさんの『猿軍団』になった方がマシだと思うんだよね。


 冷静に考えると……どっちもどっちな可能性もあるけど……。

 少なくとも、ニアは剥製にしたり食べたりはしないからね。


 まぁニアの『猿軍団』に入れなくても、大森林に住まわせてあげたり、好きなようにさせてあげればいいんだけど。

 でもニアがこの猿たちを見逃してくれるはずは……ないんだよなぁ……。

 事実上の強制で……『猿軍団』入りは間違いない感じになっちゃうんだよね。


 まぁこの子たちが、本当に嫌だったら助けてあげるけどね。


 ということで……俺は立て続けに競りにかかった猿三種類を落札した!


 その三種類の猿とは……『マンドリル』『マントヒヒ』『ワオキツネザル』だ!


 確かに、この辺にはいないかもしれない……。

 そしてなんとなく……動物園を思い出す感じだ。


『マンドリル』が五十二万ゴル、『マントヒヒ』が三十三万ゴル、『ワオキツネザル』が四十四万ゴルで落札した。


 次に出てきたのは……なんと……『サーベルタイガー』の子供だった。

 この世界では、『サーベルタイガー』が絶滅せずに存在しているらしい。

 ただ俺が元いた世界の絶滅した『サーベルタイガー』と、同じかどうかはわからないけどね。


 子供だからか……まだ牙は、せり出していない。

 全体にオレンジ色で、頭の後ろから首筋にかけて黒っぽい毛があるから、将来的に立髪のように伸びるかもしれない。

 そして四肢の先が白くなっている。

 メスのようだ。


 司会者の説明によると、この世界でも『サーベルタイガー』はかなり珍しい動物らしい。

 飼い馴らすことができれば、従順だと言われているようだ。


 壮絶な競り合いの末に、百五十七万ゴルで落札した。

 かなり人気があって、入札が多かったが、俺は一歩も引かなかった。

 いくらになっても、絶対落札しようと思っていたからね。



 次に出品されたのが……カタツムリ型の虫馬『デンデン』の珍しい白い個体だった。

『デンデン』は、『虫使い』のロネちゃんが前に二体仲間にしていた。

 もちろん白い個体ではなかった。


 カタツムリの殻の部分が綺麗な白色なので、かなり目立つ。

『フェアリー商会』の宣伝をしたり、イベントの告知をするときに、この子に馬車を牽引してもらったら、かなり目立つんじゃないだろうか。


 七十六万ゴルで落札した。


 芋虫型の『ランドキャタピラー』などの一般的な虫馬の相場は、三十万ゴルから五十万ゴルらしいが、珍しい虫馬はかなり高額になるらしい。

『デンデン』自体は、それほど珍しくないが、白い個体はかなり珍しいので、それで入札が多かったようだ。



 最後に、奴隷の競りが始まった。


 出品されているのは、二人だけだ。


 狼亜人の父と娘ということだ。

 しかも別々に競りにかけるらしい。


 こんな小さな子まで奴隷にされている時点で腹立たしいが、別々に競り落とされたら、父と娘が離れ離れになってしまうじゃないか!

 反吐が出る……。


 この時点で、この親子を出品した奴と、このオークションの主催者をぶん殴りたい気持ちでいっぱいになったが、こらえた。


 司会者のアナウンスを聞いていても、超胸糞が悪くなった。

 ちゃんとした司会者だと思って見ていたのだが、好感度が一気に下がってしまった。

 まぁ彼も仕事なんだろうけどね……。

 でも明るく笑顔で奴隷の紹介をして、親子を引き離すように競りにかけるなんて……そんな仕事やだよね。


 この人たちは、いくらになろうが絶対に落札してやる!


 まずは父親からだ。

 薬で眠らされているようだ。


 亜人自体が珍しいのに、狼の亜人は更に珍しいとのことだ。

 当然奴隷契約で奴隷になっているので、命令して従わせることができるのだ。


 力仕事がかなりできるだろうという紹介もあったからか、入札が多く入り、かなり競り上がった。

 奴隷としては破格の百万ゴルを超えたが、俺が意地でも入札し落札した。

 落札価格は、結局、百二十六万ゴルだった。


 次に女の子の競りが始まった。

 リリイやチャッピーと同じくらいの年頃に見える。

 この子も眠らされている。


 この子も競り上がり、白熱の競りになったが、百十一万ゴルで俺が落札した。


 なんとなく……俺の必死な入札を察知され、値段を釣り上げるために入札している輩がいたような気がしたが、そんなことを気にしている場合ではなかった。

 この人たちを、絶対に保護したかったからね。


 これについては、隣で見ていたマリナ騎士団長も俺を止める事はなかった。

 俺のどうしても救いたいという気持ちを、理解してくれているようだった。


 マリナ騎士団長も、ユーフェミア公爵と一緒で、そういうところはさすがなんだよね。



 これで、オークションは終了となった。


 俺の収支を整理してみた。


 まず出品した品の落札価格は、以下の通りだ。


『マシマグナ第四帝国』の金貨……三十八万ゴル。

『マシマグナ第四帝国』の銀貨……四十七万ゴル。

『マシマグナ第四帝国』の銅貨…… 六十万ゴル。

『マシマグナ第四帝国』の銭貨…… 六十五万ゴル。

 合計落札価格……二百十万ゴル。


『マシマグナ第四帝国』の指輪……五千八百万ゴル。

『マシマグナ第四帝国』のティアラ……八千八百万ゴル。

 合計落札価格……一億四千六百万ゴル。


『マシマグナ第四帝国』の剣……百五十七万ゴル。

『マシマグナ第四帝国』の槍……百四十九万ゴル。

 合計落札価格……三百六万ゴル。


 出品した品全ての合計落札価格……一億五千百十六万ゴル。

 10%の出品手数料……一千五百十一万六千ゴル。

 差し引き手取り金額……一億三千六百四万四千ゴル。



 落札した品の価格は、以下の通りだ。


 大型全身鏡……二百六十万ゴル

『魔火石』『魔水石』『魔風石』『魔土石』のセット……百二十一万ゴル。

 洗濯の巻物三点セット……三百八万ゴル。

 呪われた『魔法の武器(マジックウェポン)』闇の石杖……五十二万ゴル。

『マンドリル』……五十二万ゴル。

『マントヒヒ』……三十三万ゴル。

『ワオキツネザル』……四十四万ゴル。

『サーベルタイガー』…… 百五十七万ゴル。

 カタツムリ型の虫馬『デンデン』の珍しい白い個体……七十六万ゴル。

 狼亜人の父…… 百二十六万ゴル。

 狼亜人の娘……百十一万ゴル。

 落札した合計価格……千三百四十万ゴル。


 出品した品の手取り金額から、落札したの品の合計金額を差し引いた金額が、一億二千二百六十四万四千ゴルとなった。


 予想外に、一億ゴル以上も儲かってしまった。


 俺としては、試しに出品した品がいい値段で売れたし、目をつけた品はすべて落札することができた。

 生物や奴隷になっていた人も、落札してあげることができた。

 大満足の結果だ。


 さすがに期待していたような勇者武具シリーズなどの凄い武具は無かったが、俺としては楽しい経験だった。

 実際、掘り出し物も手に入れることができたしね。


 『闇オークション』は違法だが、今後開催される場合は必ず参加しようと思う。

 掘り出し物を手に入れるというのはもちろんだが、それ以外に救える命があるということがよくわかったからね。


 最後に告知で、次回は二か月後の開催予定と案内されていた。

 次回も必勝態勢で、臨みたいと思う!





読んでいただき、誠にありがとうございます。

ブックマークしていただいた方、ありがとうございます。

評価していただいた方、ありがとうございます。


次話の投稿は、16日の予定です。


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― 新着の感想 ―
[一言] > 愛好家といっても、ちゃんと飼育する人は少ないらしく、珍しい動物を集めて剥製にしたり、食べたりするという愛好家らしい。  猿は脳味噌を食べるっていうね……あと下半身を魚と継いだミイラを人魚…
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