711.仲間たちへの、披露。
俺たちのホームとも言える大森林に、今日はほとんどの『絆』メンバーが集まっている。
来ていないのは、四歳児であるがために別行動が難しいハナシルリちゃんと、仕事のためにエレナ伯爵とともに一旦ヘルシング伯爵領に戻った執政官のキャロラインさんくらいだ。
二人は貴族女子の中で『絆』メンバーになっている貴重な存在なのだが、やはり色々と制約が多いのだ。
集まっているみんなの注目を集めているのは、『兎亜人』のミルキーだ。
ミルキーは、昨日の戦いの時に、『ミミックデラックス』のシチミの『種族固有スキル』である『サプライズ召喚』によって現れた『バニーガールアーマー』に選ばれたのだ。
『バニーガールアーマー』は、『伝説の秘宝級』階級のアイテムで、自ら使用者を選ぶという謎アイテムなのだ。
可愛いうさぎの顔のペンダントなのだが、発動真言を唱えるとバニーガール姿の装備を展開するのだ。
ミルキーは、セクシーバニーに変身して無双していた。
それを見ていなかった仲間たちに、ぜひ見せてほしいと懇願され、『バニーガールアーマー』を装着することにしたようだ。
俺的にはかなり刺激が強い装着シーンなのだが……仲間内だからいいだろう。
実際には、見えないからね。
「バニーフラッシュ!」
ミルキーが、発動真言を唱えた。
やはり、ミルキーの着ている装備や服が強制的に脱がされるエフェクトが展開しているが、光の靄がかかって大事なところは見えないようになっている!
そして赤いバニーガール姿のミルキーが出現した。
相変わらずピンクの髪とよくマッチしている。
改めて見ても、ドキドキしてしまう。
ミルキーのこの可愛さはなんだろう……。
そう思ったのは俺だけじゃないようで……なんと『魚使い』のジョージは……鼻血を噴き出し倒れてしまった。
前にみんなで温泉に入った時もそうだったが、ジョージには刺激が強すぎたようだ。
ジョージの使い魔『スピリット・グラウンドオクトパス』のオクティと虫馬『サソリバギー』のスコピンが焦って看病している。
「ミルキー、すごい戦いだったね。俺も『使い魔人形』を通して見ていたよ。ごめんね、まさか、あんな感じで装着するとは思ってもいなくて、恥ずかしかったでしょう?」
俺は、改めてミルキーに声をかけた。
「いえ、少しでもグリムさんの役に立てて嬉しいです。この『バニーガールアーマー』のおかげで強くなれるので、私を選んでくれたことに感謝です。それにグリムさんの為なら、恥ずかしくても頑張れます!」
ミルキーが、真っ赤になりながらそう言った。
しかもバニーガール衣装のままだからね……。
なにこの可愛さ……。
昨日の戦いの時もつくづく思ったが、この『バニーガールアーマー』が男の子のワッキーを選ばなくてよかった。
仮に選ばれていたら……かなりの惨事になっていただろうし、下手したらワッキーが“男の娘”として覚醒していたかもしれない。
まぁそれはそれでいいんけどね。多様性が大事だし。
みんなミルキーの新装備に、感嘆の声をあげていた。
ミルキーはみんなに望まれるまま、フォームチェンジも見せてくれていた。
凶悪なブラックバニーと、天使のようなホワイトバニーもお披露目してくれたのだ。
そしてこの後は……仲間たちが新しく手にした技を披露する新技披露大会みたいになってしまった。
昨日の活躍を見れなかった仲間たちが、どうしても見たいと熱望したのだ。
『龍馬』となったオリョウが『種族固有スキル』の『臥龍転生』を発動して、『臥龍』という『特別竜』の姿になりみんなを驚かせていた。
黒く光る鱗がメタリックな感じで輝き、めちゃめちゃかっこいいのだ。
そして、強そうで威厳のある感じなのである。
『アメイジングシルキー』のサーヤは、『種族固有スキル』の『安心安全の家』を発動して、警備員のような制服を着たシルキー族の英霊を十人召喚した。
彼らは、『特殊スキルによる擬似召喚精霊』という存在で、『シルキー族の英霊の残留思念が一時的に実態を持った状態』なのだ。
せっかく召喚したので、この英霊の警備員たちには、希望者と模擬戦をしてもらった。
やはりかなり強い。
サーヤと同じレベルの存在が十体も増えるから、めちゃめちゃ戦力アップなんだよね。
十分に模擬戦を楽しんだ後に、スキルは解除されたが、また大量の武器を置いていってくれた。
本当に、なんてお得なスキルなんだろう……。
全て『究極級』階級の『魔法の武器』だからね。
昨日の戦いの時の物と合わせると……
魔法剣の『英霊剣 シルキーソード』……六本
魔法投擲槍の『英霊槍 シルキージャベリン』……二十四本
魔法銃の『英霊銃弾 シルキーバレットガン』……四丁
魔法弓の『英霊弓矢 シルキーボウアロー』……四つ
となっている。
サーヤは、これらの武器を仲間たちに配っていた。
どれも素晴らしい性能の武器だが、一番使えそうなのは『シルキーバレットガン』かもしれない。
『シルキーバレットガン』は、遠距離攻撃武器としてかなり優秀だと思う。
とりあえずは、魔法銃を持っていないメンバーのうち、兎亜人のアッキー、ユッキー、ワッキー、『魚使い』ジョージに渡していた。
あとみんなが驚いていたのは、ニアが人型サイズになることだ。
昨日の戦場にいた人は大体見ているが、大森林の仲間たちは見ていないから皆驚いていた。
そして大森林の仲間たちが喜んでいたのは、『ライジングカープ』のキンちゃんがコウリュウ様からもらったギフトスキル『サイズ変更』が、『共有スキル』にセットされたことだ。
これによって小さいサイズになれるので、人族の街でも活躍できそうだとみんな喜んでいたのだ。
それから俺は、大森林の仲間たちから何体かを選抜して、ヒュドラ肉を食べさせてみた。
昨夜は、人族と妖精族しか食べていなかったが、人型でない仲間に食べさせたら、違うスキルが発現するかもしれないという考えが閃いたのだ。
特にヒュドラに似たヘビ系の仲間だったら、何か特徴的なスキルが発現するかもしれない。
それ故に選抜メンバーには、以前『正義の爪痕』のアジトで『操蛇の矢』を使って仲間にした巨大な蛇の浄魔も選出した。
実際食べさせてみると……昨日と同じように『毒耐性』『毒吸収』『自然回復力強化』が現れた。
そして俺の予想通り、新たなスキルが現れていた。
蛇の浄魔たちに『毒水』が発現していたのだ。
これは毒の水を吐くという攻撃スキルなのだ。
ヒュドラが使っていた攻撃だ。
毒の水をかけるのは……サイズの大きい蛇の浄魔が使うと、周辺被害が凄そうだから、実際には使いにくいスキルかもしれない。
でも、敵の集団に対して放つ分には、いいかもしれないけどね。
いずれにしろ、『共有スキル』にセットできるスキルが増えたので、喜ばしいことだ。
それからもう一つ、あるようでなかったスキルが発現していた。
それは『噛みつき』というスキルだ。
『種族固有スキル』で噛みつく系統のスキルを持っている仲間たちはいるが、『通常スキル』の『噛みつき』はなかったんだよね。
『共有スキル』にセットできる『通常スキル』が二つも増えたのは、素晴らしい成果だ。
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