709.コウリュウ様からの、ギフト。
コウリュウ様からは、もう一つ話があった。
それは、驚きのプレゼントだった!
なにかというと……『コウリュウド式伝承武術』をスキルとして構築してくれるという驚きの内容だった。
なんと、スキルを作ってくれるらしいのだ。
さすが神様!
これによって、現時点で『コウリュウド式伝承武術』の奥義を習得している者には、スキルが発現するらしい。
スキルとなったことで、スキルの補正で、今までよりも技が出しやすくなったり、正確になったり、別の奥義も習得しやすくなるということのようだ。
今まで奥義と呼んでいたものは、技コマンドになるらしい。
そして今後『コウリュウド式伝承武術』の基本の型などを練習している者に、このスキルが発現し、今より上達しやすくなり、奥義も習得しやすくなる状態になるそうだ。
修練が進むと、その者に技コマンドが発現して、奥義技と呼んでいたものが出せるようになるとのことだ。
『コウリュウド式伝承武術』は、『剣術』『槍術』『斧術』『弓術』『盾術』を含んでいるので、自分の専門ではない技能もスキルの力で、できるようになるらしい。
剣技を主体に戦う者が『コウリュウド式伝承武術』のスキルレベルを5にすると、普段全く練習していない弓も、『弓術』レベル5相当の腕前で、できるようになるようだ。
そう考えると、かなりお得なスキルでもある。
『剣術』『槍術』『斧術』『弓術』『盾術』という、それぞれ単体のスキルがパック商品のように、一つのスキルに詰まっているということなのだ。
そしてその中で、自分が得意とする武術でスキルレベルを上げれば、他の四つの武術もレベルが上がった状態の力が出せるということなのである。
コウリュウ様の話では、早い者は今日中にスキルが発現するだろうとのことだった。
これを聞いていた『セイリュウ騎士団』のみなさんや、ビャクライン公爵と近衛兵、国王陛下や護衛の近衛騎士の二人などは、ざわめきたって喜んでいた。
「…………それでは皆の働きに期待します。人々の体験の場をぜひ守ってください…………おお、やっと戻って来たし。コウリュウ様ってば、また長く話したし。きっとまた他の神様に怒られてるんだし。コウリュウ様が主人格になって直接話をするのは、直接介入するのに近い状態らしいし。それを長時間やると、コウリュウ様かなり怒られるらしいし。すでにイエローカードもらってたし。今回で二枚目が出たら大変なことだし。ああ見えてコウリュウ様ってば、神様界の異端児らしいし。まじうける! 可愛いとこあるし。まじまんじ! うちが、コウリュウ様がいじめられないように守ってやるしかないかし。今後の目標が決まったし! 神様界で一番になればいいし! そうすればコウリュウ様を守ってやれるし! うちは神様王にきっとなるし!」
コウリュウ様と入れ替わったキンちゃんが、またもや暴露話をしてしまった。
そのせいで……せっかくコウリュウ様の素晴らしいお話と素晴らしいギフトで、感動に打ち震えていたみんなが、微妙な顔になってしまった……。
まぁそろそろ、みんなも慣れた頃だと思うけど……。
なんだかんだ言って、キンちゃんとコウリュウ様は、仲が良い感じではある。
そして神様王ってなによ!
神様の中の王って……概念がめちゃくちゃすぎて……。
絶対神とか、そういうことなのかなぁ……まぁ考えるだけ無駄だな……。
コウリュウ様の最初の方の話で、聞き逃しそうになったが、引っかかったワードがあったことを思い出した。
コウリュウ様は、上級悪魔、貴族悪魔、悪魔王、魔王という言い方をしていた。
上級悪魔は知っていたが、その上に貴族悪魔というのがいるようだ。
そして、魔王はわかるが、悪魔王という存在もあるようだ。
これについてキンちゃんに尋ねてみると……
「コウリュウ様が言ってたけど、上級悪魔の上には貴族悪魔という特別な奴がいるらしいし。オールスター戦に出れる感じの強い奴らしいし。実際問題こいつらの悪さで、過去の文明が滅びたりしたらしいし。この悪魔たちを統括する監督みたいな奴が悪魔王らしいし。魔王は、悪魔とは別系統みたいだけど、悪魔が魔王をそそのかしたり、協力することが多いらしいし。過去の英雄譚でも、魔王と勇者の戦いの裏に悪魔の存在があったことが多かったみたいだし。隠された真実ってやつだし! 一番の親玉は悪魔王らしいから、みんなで悪魔王をボコっちゃえば終わりだし! でもコウリュウ様の話だと、なかなか現れないらしいし。ちなみに貴族悪魔と魔王は大体同じくらいのランクというか強さみたいだし。ただ魔王は悪魔と違って様々な種族がなる可能性があるらしいし。人族でも魔王になれるらしいし……」
キンちゃんが、そう言ってコウリュウ様から聞いた話を教えてくれた。
その話を聞いていた『魔盾 千手盾』の付喪神フミナさんが、律儀に手を挙げて発言した。
彼女は、古の英雄譚『魔法機械帝国と九人の勇者』で有名な九人の勇者の一人『守りの勇者』フミナ=センジュの残留思念体でもあるのだ。
「私たち九人の勇者が戦った魔王は、鬼族の魔王でした。それを上級悪魔たちが助けていたのです。ただおそらくその影には、貴族悪魔がいたのでしょう」
なるほど……。
彼女たちが戦ったのは、鬼族の魔王だったのか。
そういえば……魔王化する条件みたいなものがあるのかなぁ……?
そして、この世界には、鬼族がいるのか……。
会ってみたいけど……。
少し聞いたところよると、鬼族という種族が確かにいるらしいが、現代ではほとんど見ることがないらしい。
どこにいるのかも、わからないようだ。
ある意味、妖精族と同じように希少な存在らしいが、妖精族が崇拝の対象であるのに対し、鬼族はどちらかというと恐れの対象らしい。
また魔王化する条件についても、よくわからないようだ。
勇者となる条件よりも、さらに謎が多いらしい。
ただ過去の英雄譚などを見る限り、勇者の対のような存在であって、勇者が現れるということは、かなりの確率で魔王も現れるということが言えるらしい。
そんなことを言われると……俺は『大勇者』になっちゃっているし……この前の話だと、『アポロニア公国』という国で『勇者召喚』が行われたという噂もあるし……。
魔王が現れちゃうってことかなぁ……。
異世界で勇者になったら、魔王と戦うというのはテンプレ中のテンプレだろうが……できれば遠慮したいんだよね。
でも、あの人にはそんな事は関係ないようだ……。
「まぁ魔王が来ても、悪魔王が来ても、一捻りでやっちゃえばいいのよ! 私は『クイーンピクシー』のその先を、目指すわ!」
ニアさんは、神のように崇めてくれているみんなの前で、左手を腰に当て右手人差し指を突き上げるという古臭い残念ポーズをとってしまっている。
めちゃめちゃドヤ顔だが……残念感が半端ない!
でも意外と他の人たちは……頼もしい感じで、ニアを見つめている。
魔王なんて、みんな敬遠したいだろうに……この人だけは、魔王ウェルカムみたいだ……。
そう思ったら……もう一人いた……。
(やっぱり、異世界来たらさぁ、魔王を倒さないとね! しかもワンパンとかで倒す、無双をやらないと面白くないわよね!)
『先天的覚醒転生者』で、見た目は四歳児中身は三十五歳のハナシルリちゃんも、鼻息を荒くしながら念話を入れてきた。
ハナシルリちゃんも、完全にウェルカム状態じゃないか!
てか……もうニアとハナシルリちゃんで、やっつけて来ちゃえばいいんじゃないかなぁ……。
俺はのんびりと異世界旅行を満喫したいんだけど……。
そんな役割分担でどうかしら……?
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