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68.白の悪魔と、カラフル三連星。

3人称視点です。

 迷宮前広場では、もう一つの戦いが進行していた。


『白の下級悪魔』三体に対し、『マナ・シールド・ベア』のアベベと『マナ・ホワイト・ベア』のリーダーと『スピリット・イエロー・ベア』のプププが対峙していた。


 この茶色と白色と黄色の三体は、合同訓練を通じ、同じ熊族ということで意気投合し仲良しになっていた。

 そこをキンちゃんに見込まれ、キンちゃん発案のコンビネーション攻撃を繰り出す“チーム”として訓練を重ねていたのだ。

 キンちゃん監督の猛特訓を耐え抜いた“チーム”の連携は、早くも熟練の域に達していた。


 そして『白の悪魔』に狙いを定める。


 『白の悪魔』は、筋力を使った物理攻撃と口からの氷結ブレスを主体とする攻撃手段を持っていた。


 『マナ・シールド・ベア』のアベベは、強靭な防御力を誇り、『下級悪魔』の重い一撃をも耐えうる堅い守りを持つ。

 壁役ができる“固さの戦士”であった。


 そして、『マナ・ホワイト・ベア』は、『氷耐性』スキルを持っており、『白い悪魔』の氷結攻撃も無傷で耐えることができる。

 また、力任せのジャイアントスイングを繰り出すなど、強靭な“腕力の戦士”でもあるのだ。


 『スピリット・イエローベア』のプププは、『脱力』というスキルを持っており、相手のステータスと気力を下げる特殊攻撃ができる。

 そして、その気まぐれな動きと攻撃は、相手の予測を許さない“変則(トリッキー)の戦士”といえた。


 ただ、彼らの実力と連携を以ってしても、『白の下級悪魔』たちを倒すことは容易ではなかった。

 レベル40近い実力で、“一対一”の戦い方では、早期決着はつきそうになかった。


 ………一進一退の攻防が続く。


 この中で、一番気の長そうなプププが最初にキレた!


「ぼく、もーお腹すいた! 早くハチミツ食べたい! こんな奴ら、早くやっつけちゃおう! もう、キンちゃんから教えてもらった必殺技使っちゃおうよ! 」


「やむを得ないな……じゃあ行くか……『カラフル・ストリーム・アタック』を使うぞ!」


 アベベが大仰なポーズで決めゼリフを言う。


「わかった! 我ら『カラフル三連星』の力を見せてやろう!」


『マナ・ホワイトベア』も、両拳を打ち合わせながら、やる気満々で同意する。


「じゃあ行くよ! カラフル!」

「ストリーム!」

「アターーク!」


  そう叫びながら、三連星が縦一直線に並び、走り出す。


 なぜか、相手の『白の下級悪魔』三体も、釣られたように縦一直線に並ぶ。


 なぜか…… ガチンコ勝負を受けてくれるようだ。


 奇しくも、“三対三”の戦いが実現する。


 ———『白の三悪魔』に『カラフル三連星』が迫る!


 先頭のアベベが種族固有スキル『剛腕の盾(ダブルハードシールド)』で、両腕を強固な盾に変形させ、正面の『白の下級悪魔』に、『盾の強打(シールドバッシュ)』を放つ。


 加速に乗ったその攻撃は、『白の悪魔』を大きく後ろに跳ね飛ばす。


 そのまま、その一体を追撃したアベベは、両手の五角形のシールドの鋭利な突起部分を突き立てる!


盾の粉砕(シールドクラッシュ)!」


『白の下級悪魔』は、頭を潰され靄となって消えた。


 その後から迫る、もう一体の『白の下級悪魔』を、今度はアベベを飛び越えた『マナ・ホワイト・ベア』が種族固有スキル『氷岩の拳(アイスロックパンチ)』で、殴り飛ばし粉砕する。


 拳にまとった鋭利な氷岩が、ミートの瞬間、散弾のように砕け散り相手の体を穿つのだ。

 腕力に氷属性を合わせた必殺の拳である。


 このパンチを放ち、前のめりになったところを、最後の一体の『白の下級悪魔』が足を突き、飛び越える。

 見た目に一番弱そうなプププを狙うつもりなのだ。


「俺を踏み台にした!」


 お約束の言葉を叫びながら、『マナ・ホワイト・ベア』は、敢えて見送る。


 それは、後に控えるプププに対して全幅の信頼があるからに他ならない。


 実は、この三体の中で一番実力があるのが、やる気のなさそうに見えるプププなのであった。


 氷結ブレスを吐きながら迫る『白の下級悪魔』———


 逆に、待ってましたとばかりに、空高く跳躍するプププ。


 そして『白の下級悪魔』の攻撃をお構いなしに、右手を豪快に振り下ろす!


 そう、バレーボールのアタックのように。


『白の悪魔』の頭部が、『ボスッ』という鈍い音とともに、体にめり込み、その体はそのまま地面深く突き刺さる。


 穿たれた大地からは、やがて靄が霧散した。


 瞬殺の勝利だった。


「よーし! 大成功だね。終わったら、みんなでハチミツパーティーしよう!」


 プププは、いつでも……マイペースなのであった……。




読んでいただき誠にありがとうございます。

ブックマークいただいた方、本当にありがとうございます。


次話の投稿は、12日の予定です。もしかしたら本日中にもう1本投稿するかもしれません。


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― 新着の感想 ―
[一言] ここまでを通して主役の出番の無さが笑えてくる。後ろまで読めば違うのかもしれないが、さすがにそろそろ読むのが苦痛になってきた。
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