表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

701/1442

692.勇者召喚の、魔法道具。

 吸血鬼の『真祖の血統』である『真祖吸血鬼 ヴァンパイアオリジン』のカーミラさんと、『魔盾 千手盾』の付喪神であり『守りの勇者』の残留思念体でもあるフミナさんが、吸血鬼の始祖であり真祖であるドラキューレさんについて、説明してくれている。


 彼女は、元『癒しの勇者』でヒナ=ヒナタという転移者だったとのことだ。

 そして、旦那さんは『斬撃の勇者』ケント=レンゲジという転移者だったようだ。


 『ヴァンパイア』となったヒナさんは、五百年の休眠をすることによって人の体に近くなり、その時に転生してくるケントさんと過去四度結ばれているらしい。

 勇者だったころを含めると五度結ばれているとのことだ。

 まさに時空を超えたラブロマンスのようだ。


 不思議な奇跡で、必ず巡り会うのだそうだ。

 ケントさんの転生体は、ヒナさんに出会うと過去の記憶を取り戻すらしい。


 カーミラさんは、四度目の転生で結ばれた時の一番末っ子の娘さんということだ。

 全体を通しての末っ子でもあり、ヒナさんには通算すると二十八人の子供がいるらしい。

 このうち一番上の三人は、ケントさんが勇者だったときの子供で養子だったようだ。

 ヒナさんは、『ヴァンパイア』になったばかりで子供が産めなかったらしい。


 今は転生期らしく、眠りについているドラキューレさんが、そろそろ目覚めるはずとのことだ。


 今回巡り会えば五度目で、勇者だった頃と通算すると六度目の巡り合いになるらしい。


 カーミラさんの予想では、お父さんであるケントさんの魂の転生体は、既にこの世界に誕生しているはずとのことだ。

 母親より先に見つけたいという父親恋しさ半分、いたずら心半分で、あちこち出かけていたらしい。


 そんな時に、たまたまあの首領のアジトがあった近くを通って、巨大な魔法機械の兵器……『べつじん28号』のテスト飛行を目撃し、調べていたところ不意をつかれて捕まったとのことだ。



 フミナさんとカーミラさんは、なぜ『癒しの勇者』だったヒナさんが、吸血鬼になってしまったのかということについても教えてくれた。

 俺的には、それが一番疑問だった。


 そもそも『九人の勇者』が異世界から召喚されてやってきたのは、魔王と悪魔の連合軍と戦ってもらう為だったようだ。

 その当時『マシマグナ第四帝国』を含め世界中を、魔王の軍団が恐怖に陥れていたらしい。


 そんなとき、当時の古代文明にあたる『マシマグナ第()帝国』の遺跡を発見するという大きな出来事があったようだ。

 そこで発見された遺物の魔法道具が、勇者召喚ができる魔法道具だったらしい。

 同時に、勇者が装備する武具も発見されたようだ。

 『九人の勇者』が使っていた武具は、この時発見された『マシマグナ第三帝国』の遺物だったらしい。

 『魔盾 千手盾』も、今日見つけた『魔槍 フタマタ』も『マシマグナ第三帝国』の遺物ということになる。


 またこの時、小型の魔法AI『知性の(インテリジェンス)(キューブ)』が発見され、この技術の解析によって、機械の殲滅兵を製造可能になったりという大きな技術革新をもたらしたらしい。


 もともと『マシマグナ第四帝国』でも魔法AIの技術は持っていて、『迷宮管理システム』など独自の発展を遂げていたが、小型化して武器や兵器ひとつひとつに装備できるほどの技術はなかったらしい。

 発見した『マシマグナ第三帝国』の魔法AI 『知性の(インテリジェンス)(キューブ)』は、同じ魔法AIでも違う系統の技術だったようだ。

 これを解析することができて、魔法AIの技術革新が起きたらしい。

 だが皮肉なことに、それによって開発された機械の殲滅兵の暴走によって、『マシマグナ第四帝国』は滅びることになったようだ。



 勇者召喚できる魔法道具を発見したものの、その使用には慎重論もあったようだ。

 だが帝国の上層部は、当時の状況を鑑みて魔法道具の使用に踏み切ったらしい。


 そして召喚されたのが、フミナさんたち『9人の勇者』なのだそうだ。


 九人は同時に召喚されたようだが、一つの場所にいた人たちがまとめて召喚される集団召喚ではなく、それぞれ個別に召喚された個別召喚が同時に行われたという状態だったらしい。


 その魔法道具は、勇者の資質があるものを検知する仕組みがあったようで、九人は全員この世界に現れた時点で、『召喚転移者』と『勇者』いう二つの称号を持っていたそうだ。


 ただこの時点では、『職業』欄に『勇者』と表示されておらず、いわば真の勇者の状態にはなっていなかったとのことだ。

 それゆえにこの時点では、『職業固有スキル』も発生していなかったらしい。


 ただ特筆すべきは、召喚された時点で、全員がレベル50の状態だったそうだ。

 これが勇者として選ばれた者……選ばれし者の特典なのか……。


 レベル1でこの世界に来た俺とは、大違いだ。

 羨ましすぎる。


 九人は、なぜか誰も召喚されたことに不満を述べなかったようだ。


 普通に考えると、勇者召喚されて突然異世界に連れてこられたら……拉致されているのと一緒だから、拒否する者もいると思う。

 というか、それが普通だと思う。


 でもフミナさんの話では、全員が納得していたようだ。

 どちらかというと、この世界を救いたいという使命感に燃えていたらしい。


 そういう思考も勇者としての資質ということで選定された基準になっていたのだろうか……。

 もしそうだとしたら……恐ろしい魔法道具だ。

 とても人間が作り出したものとは思えない……。

 神の力でも介在していない限り、異なる世界に住む者の勇者の資質を判断したり、その者の思考を判断するなんてことはできないと思うんだけど……。


 ちなみに、その勇者召喚の魔法道具については、仕組みはブラックボックス化されていて全く解明できていなかったらしい。


 勇者の中には、役目が終わったら元の世界に戻りたいという意向の人もいたようだ。

 勇者召喚の魔法道具には、元の世界に戻れる機能もあったようで、そういう意向の勇者は安心していたらしい。


 魔王を倒した後に、実際に元の世界に戻った勇者も何人かいたとのことだ。


『希望の召喚陣』という勇者召喚の魔法道具には、『勇者召喚』と『勇者返還』という機能があったようだ。



『勇者召喚』をするには、膨大な魔力を必要とし、大量の『魔芯核』が必要だったらしい。


 このときの負荷が原因なのか、元々の仕様なのかわからないが、『勇者召喚』の機能はその後使えなくなったそうだ。


 『勇者返還』の機能は、使用可能で、希望者は無事に帰れたらしい。





読んでいただき、誠にありがとうございます。

ブックマークしていただいた方、ありがとうございます。

評価していただいた方、ありがとうございます。


次話の投稿は、12日の予定です。


もしよろしければ、下の評価欄から評価をお願いします。励みになります。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] > でもフミナさんの話では、全員が納得していたようだ。 > どちらかというと、この世界を救いたいという使命感に燃えていたらしい。 > そういう思考も勇者としての資質ということで選定された基準…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ