669.逆ギレからの、色っぽい視線。
『固有スキル』の『ポイントカード』が気になって、なんとなく『ポイント交換』コマンドの『交換リスト』を確認したら、ビャクライン公爵が持つレアな『通常スキル』の『戦闘負荷筋肥大』が表示されていた。
どうして突然『交換リスト』に表示されているのか……俺は頭を整理し考えてみた。
模擬試合をやった時、ビャクライン公爵が何回もこのスキルを使っていて、それを俺が受けるというか……公爵が俺の攻撃を利用して、攻撃力を高めていた。
たぶん……スキルで高まった攻撃を俺が受けたとか、俺の攻撃を利用してスキルの力で攻撃力を高めたとか……そういう濃厚な接触をしたために、『交換リスト』に表示されたのではないだろうか。
ビャクライン公爵と知り合いになって、だいぶ打ち解けてきているとは言っても、『絆』メンバーではないから、彼の持っている『通常スキル』を俺が『波動複写』でコピーすることはできない。
それ故、『共有スキル』にもセットすることはできないのだ。
でもこの『ポイント交換』のお陰で、俺のスキルとして身に付けることができる。
ここはありがたく、交換させてもらおう!
ちなみに『ポイント交換』でスキルを取得する場合は、1000ポイントを消費する。
スキルレベルを1つ上げるために必要なポイントは、100ポイントなので、その10倍にあたるが、今の俺にとっては全く影響ない。
膨大なポイントがあるからね。
というか……スキル獲得に必要なポイント数や、スキルレベルを上げるのに必要なポイント数が、少な過ぎると思うんだよね。
めっちゃお得なんですけど!
このお得感も、俺の魂の願望だったのだろうか……。
スキル獲得に1000ポイント、そのスキルをスキルレベル10にするのに900ポイント、合計1900ポイントしか使わないんだよね。
すごくありがたいんだが……この膨大なポイントを何か有効に使えないのだろうか……。
大量に消費してもいいから、もっと別な何かと交換できるとか……交換できるものがスキルだけじゃなくて、伝説の武具とかそういうものに広がればいいのになぁ……。
もしくは『通常スキル』だけじゃなくて『固有スキル』や『種族固有スキル』なんかも交換できるようになるといいんだけどね……。
まぁおそらく固有と名の付くスキルには、スキルの発動に特別な条件があるんだろうから、難しいだろうけどね。
それにしても……ビャクライン公爵から、思わぬ贈り物をもらった気分だ。
いきなり模擬試合を申し込まれたときには、はた迷惑な溺愛オヤジだと思っていたが、結果オーライだったようだ。
なんか……ビャクライン公爵って、結果オーライが多いような気がする……。
まぁそれでも……グッジョブ、溺愛オヤジ!
俺は、すぐに『ポイント交換』で『戦闘負荷筋肥大』を取得し、さらにポイントを使ってスキルレベルを10にした。
そしてみんなも使えるように、『共有スキル』にセットした。
ビャクライン公爵のお陰でわかったのは、俺が予想していた通り、攻撃系のスキルについては、俺が戦ったりそのスキルの技を受ければ、『交換リスト』に乗る可能性が高いということだ。
ということなので、『絆』メンバーではないエレナ伯爵が持ってるような『空手術』スキルなどは、俺が技を受ければ『交換リスト』に入る可能性が高い。
そう考えたら気になって……やってみたくてしょうがなくなった。
部屋の中でまだ続いている大人女子たちの女子会の中にいるエレナ伯爵に来てもらうか。
俺は『絆』メンバーで、俺の眷属『聖血鬼』でもあるキャロラインさんに念話を繋いで、エレナ伯爵を中庭に連れてきてくれるようにお願いした。
エレナ伯爵は、すぐに来てくれたのだが……なぜか真っ赤な顔をしてもじもじしている……。
なんだろう……この微妙な空気……。
一応キャロラインさんには、仕事の話があるから連れてきてほしいと言ったはずなんだが……。
なんとなく……男子に呼び出されて、告白されそうな女子みたいな雰囲気を醸し出してるんだけど……。
「な、なんでしょうか……? い、一応……覚悟はできていますが……こんな突然に……」
エレナ伯爵の様子が……やはりちょっと変だ……。
なぜか、いつもの逆ギレ状態にもなっていないし……。
お酒を飲んでいるからかなぁ……。
「すみません、楽しんでいるところを呼び出してしまって。一つどうしても確認したいことがあるので、協力してくれませんか?」
俺がそう言うと、エレナ伯爵は更に真っ赤な顔になった。
なんかちょっと可愛いけど……。
「はい、私の気持ちは……もう決まっています」
返事の雰囲気が少し微妙な感じだが……まぁいいだろう。
「『空手術』の技を、何発か私に入れてもらえませんか? 試しに受けてみたいんですが……」
俺がそう言った途端に、エレナ伯爵は目が点になって固まっていた……。
あれ……嫌なのかなぁ?
エレナ伯爵は、ゆっくりと目を閉じて深呼吸をした。
「わかりました……。グリムさんがそういうご趣味だとは思わなかったので、少し驚きましたが……でもあなたがそれで喜ぶなら……私はお付き合い致します。……でもグリムさんのことが好きだから、蹴るわけじゃありません。領政顧問のあなたが他の女性に蹴られて喜んでいるという変な噂が立つと困るから、私が蹴るだけです。決して、従順な尽くすタイプというわけではありませんから! あなたを蹴ることに喜びを感じるわけじゃありませんから! 全力の愛を蹴りに込めるわけじゃありませんから!」
なぜか……いつもの逆ギレモードが復活してしまった……。
どうして?
酔いが覚めたってこと……?
そして……なにか……確実に勘違いされているような気がするが……
どうして女性に蹴られて喜んでいるという変な噂が立つんだろう……?
最後の方に至っては、微妙にドSな発言な気がするが……。
まさか……ほんとに俺を蹴ることに喜びを感じてないよね?
全力で蹴らないよね?
なにか……危険な香りを感じた俺は……万が一にも金的に蹴りを入れられないように、エレナ伯爵に金的攻撃を避けてくれるようにお願いした。
いくら『限界突破ステータス』の俺でも、痛覚はあるので、金的攻撃されたらたまらないことになると思うんだよね。
「そんなことしませんわ! グリムさんを愛しているから、しないわけじゃありません! ……ど、どうしても、して欲しいって言うなら……あなたのためにがんばりますけど……。あなたに従うことが、嬉しいわけじゃありませんから……」
なぜかエレナ伯爵は……更に真っ赤になっている。
そして……“逆ギレからの色っぽい視線”という訳の分からない状態になっている……。
せっかく逆ギレに慣れてきたのに……新しい展開か……?
まぁギャップ萌えで可愛いけどさ……。
それにしても……金的攻撃をどうしてもして欲しいなんて、一言も言ってませんから!
なんか一抹の不安を感じてしょうがない……。
いつも悪い奴と戦う時は、結構な確率で金的攻撃を出して悶絶させてると思うんだよね。
というか……潰してるよね。
回復薬で治すんだろうけど……。
ダメだ……思い出したら、縮み上がってきた……トホホ。
『ポイント交換』の『交換リスト』に載るための条件を探るテストの相手としては……人選ミスだったかもしれない……。
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