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623.盾の、付喪神。

 『魔盾 千手盾』の付喪神となって顕現したフミナさんは、引き続き自分のステータスをチェック中だ。


 俺は既に確認しているが、実際には『種族』をチラッと見ただけなので、改めて確認しておこうと思う。


 今の彼女は……『種族』が『付喪神 スピリット・シールド』となっている。

 同様に付喪神となっている『スピリット・ハウス』のナーナが『家精霊』だとすれば、フミナさんはさしずめ『盾精霊』ということになる。

 『魔盾 千手盾』が、魂を宿した状態になっているからだ。


 ナーナは、『アメイジングシルキー』のサーヤと親友だった亡くなった人間ナーナが暮らしていた大切な家が、ナーナの残留思念を取り込んで付喪神化した姿なのだ。

 この時も、たくさんの精霊たちが力を貸してくれていた。


 ちなみにナーナの本体の魂は、輪廻の輪に戻っていて、その生まれ変わりが『マグネの街』のトルコーネさん一家の愛娘のロネちゃんなのだ。

『虫使い』のロネちゃんである。

 ロネちゃんは、当然ながら前世の記憶がないので、そのことは知らない。

 いずれ必要な時が来れば、打ち明けようということになっている。

 ただ、ロネちゃんもサーヤには特別なものを感じているみたいだし、自分の前世の残留思念体であるナーナについても、不思議な感覚は抱いてるみたいだ。

 気づくのは、時間の問題かもしれない。


 フミナさんは、フミナ=センジュと名乗ってくれたが、現在の『名称』の表示には、フミナとしか表示されていない。

『年齢』は、不明と表示されている。

『性別』は、女性となっている。


 そして『状態』表示には……驚くべき内容が表示されていた。


 ……『グリムの眷属(トライブ)』となっているのだ!


 はてさて……一体どうしてだろうか……?


 キャロラインさんを始めとした『聖血鬼』のメンバーや『聖血生物』たちは、俺の血を飲んで変性しているから、わからなくはない。


 だが、フミナさんは……待てよ……

 もしかすると……

 フミナさんは、付喪神として実体化するときに……盾に残っていた過去の使用者の思念も取り込んでいて、現在の使用者である俺の思念もわずかながらも取り込んでいると言っていた。

 ……だからなのか!?


 まぁ考えてもわからないが、とにかく俺の眷属になってしまったらしい。

 眷属といっても……特別な盾が、特別な条件で付喪神化したわけだから、同じ盾仲間とかシリーズがあって、他にも眷属になるというようなことは起きないだろう。

 だから、単独眷属ということになるのではないだろうか……。

 いずれにしても、よくわからない。


 そう思いながら、ちらっとフミナさんを見たら……フミナさんも同じところを確認していたようで……真っ赤になって下を向いてしまった。


 まぁその気持ち……わからないでもない。

 俺も、そんな気持ちだからね。

 微妙に気まずい感じなのだ。


 とりあえずは、引き続き確認しよう。


 レベルは1だ。

 やはり前のレベルは引き継いでいないようだ。

 ナーナの時もそうだった。


 ただナーナは、いくつか人間だったときのスキルを引き継いでいた。


 フミナさんもいくつか引き継いでいるようで、スキルを持っている。


『通常スキル』は……『盾術』『絵画』『精密画』『火魔法——温熱治癒の蛍火(ほたるび)』の四つを引き継いでいる。


 特筆すべきは……『絵画』スキルと『精密画』スキルだ!


 そんな人材を猛烈に必要としていたのだ!

 ブロマイドというか……ファングッズを作るために!


 そんな人材が……いきなり眷属になってしまった!

 そして彼女のお陰で……これらのスキルを『波動複写』でコピーして、俺のスキルにできる。

 それをもとに『共有スキル』にもセットできるので、仲間たちも使えるようになるのだ。


 俺は、自分でブロマイドを作れるようになってしまうらしい……ムフフ。


 戦いの最中に不謹慎だが……小休止も必要なのだ……。


 それから『種族固有スキル』も持っている。


反射反撃(リフレクトカウンター)』というスキルで、盾で受けた攻撃を反射できるようだ。


 さらにフミナさんは、驚くべきことに『固有スキル』まで持っていた。

 彼女だけの特別なスキルである。


(サウザンド)(アームズ)(パンチ)』というスキルで、千本の腕を打ち出して、防御したり、攻撃したりできるらしい。


 なんとなく……ロボットアニメでよくある拳を打ち出す攻撃……いわゆるロケットパンチが、千発出せるってことだろうか……。

 なんか想像すると……もはやニヤけるしかないが……。


 一つ一つの腕に盾を発生させることもできるし、既存の武器を握らせることもできるらしい。

 そして驚くべきことに、それぞれの腕に魔法AIの機能があって、攻撃とか防御などの単純な動作を指示できるという驚きの内容が表示されていた。

 千本の腕は、通し番号で管理されていて、個別に指示が出せるらしい。


 あまりにも凄すぎる詳細説明に……軽くひいてしまった。

 ほんとに千本の腕があるとは……。

 今までの戦いで、千本出したことなどないからね。

 普通に考えたら、あの盾のサイズから千本の腕を出すのは無理だと思うんだよね。


 あの生えてくる腕は……盾に内蔵されているというよりも、亜空間のようなところから呼び出してるのかなあ……。

 それなら納得がいくし、この『固有スキル』の千本の腕が発射されるというのもわかる。

 やはり亜空間魔法系の技術が搭載されているのかもしれない。


『固有スキル』は、その人の魂の願望の表れであることが多いと言われているが、千手盾としての個性・能力と、それをもとに人々を守りたいというフミナさんの思いの表れのようなスキルだ。

 実際どの程度のことができるのかわからないが、想像するだけで……規格外のチートスキルであることは間違いないと思う。





読んでいただき、誠にありがとうございます。

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次話の投稿は、4日の予定です。


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― 新着の感想 ―
[一言]  付喪神……別表記の九十九神も右手が疼く感じで好き、んで九十九は百に一足りないから百-一=白で『つくも』と読ませる設定もオサレでステキ。うん、白神と書いてつくもがみにもなると。  ナーナさ…
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