表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

602/1442

593.オリョウ、覚醒!

 俺は、他のブロックの状況を確認することにした。


 まずは、『東ブロック』だ。

 東ブロックに飛ばしてある『使い魔人形(ファミリアドール)』に感覚を共有する……


 避難エリアである中央の公園に、ほとんどの人が集まっているようだ。


 魔物は、まだかなりいる。


死人魔物(しびとまもの)』と『魔物人(まものびと)』も結構いる。


 ただみんな俺の指示通り、人々を守ることを優先に戦っているので、大きな被害は出ていない感じだ。


 ——バゴーンッ、バン、バン


 なんだ!?

 空から何かが降って来た!


 公園の前の建物に落ちたようだ。


 土煙が舞い上がっている。

 周辺建物も同時に潰されたようだ。


 そして、土煙の中に大きな陰が映っている……


 でかい……なんだあれは?


 あの巨体は……まさか、ドラゴン?


 俺は急いで、『使い魔人形(ファミリアドール)』を通して『共有スキル』にセットされた『鑑定』を使用する……


 亜竜ヒュドラだと!


 なんと現れたのは、竜に類する巨大生物だった。

 しかもレベル65だ。

 そして首が五つある!


 周辺建物は、やはり完全に押し潰されている。

 もし公園に直撃で落ちてきていたら……避難している人達が危なかった。


 ——ギュッ


 え! 口から何か液体を飛ばした!


 ——べチュンッ


『エンペラースライム』のリンが、巨大化して受け止めた。


 そのお陰で後ろにいる避難民たちには、かからなかったようだ。


 あれは……毒のようだ。

 毒を吐くのか……。

 俺の仲間たちは『共有スキル』に『状態異常耐性』があるから大丈夫だろうが、避難民にかかるとまずいな……。


 ——ギュッ

 ——ギュッ

 ——ギュッ

 ——ギュッ

 ——ギュッ


 今度は、五つの首全てが毒を吐いた。


竜馬(りゅうま)』のオリョウ、『ミミックデラックス』のシチミ、『ワンダートレント』のレントンが、リンと共に体を張って防いだが、一部避難民にかかってしまった。


 だが……大丈夫だったようだ。

 毒が触れた瞬間、光の幕が輝いて防いでくれたのだ。


 これはおそらく『光柱の巫女』テレサさんが、『従者獣』アスターの『祈りのブレス』によって拡散させた『精霊のささやき』の効果だろう。

 防御結界を張るスキルということだったが、物理的なダメージだけでなく毒も防いでくれるようだ。


 テレサさんのおかげで、毒に触れても今のところ大丈夫そうだが、早くあいつを倒してしまわないと……


 仲間たちも同じことを考えたようで、まずオリョウとレントンが攻撃態勢に入ろうと前に飛び出た。


 だがその瞬間、三本の首が同時に襲いかかってきた。


 これを躱した二人だったが、残った首が死角から現れ、なぎ倒されてしまった。


 それでも、うまくガードしながら勢いを殺したようで、オリョウとレントンはすぐに立ち上がった。

 ダメージは、ほとんど受けてないようだ。


 と思ったが……オリョウの動きが止まっている……どうしたんだろう?


 (ご主人、アチシ、クラスチェンジできるって感じ! 天声が突然告ってきたし。やっちゃっていいかし?)


 オリョウから念話が入った。

 動きが止まっていたのは、天声を受けていたからだったようだ。


 クラスチェンジができるのか……

 今レベルが上がったのかなあ……それとも違う条件でクラスチェンジが発生したのか……

 そういえば……オリョウだけが俺の『行動仲間(パーティー)』メンバーの中で、通常生物だったんだよね。

 とにかく、このタイミングで天声が聞こえたという事には、意味があるはずだ。


 (いいよ! でも無理はしないで。今『使い魔人形(ファミリアドール)』で見てるから、危なくなったらすぐ行くよ)


 俺は、クラスチェンジの許可を出した。


 (オッケーだし! ご主人に見られてるなんて最高かよ! やってやっかんね!)


 オリョウは、やる気のようだ。


 期待して見守ろう。


「クラスチェンジ! 龍馬(たつま)!」


 オリョウが叫ぶと同時に、その体が光に包まれる————


 球体に広がったその光は、繭のようになった。


 そして弾けた!


 出てきたオリョウの姿は………


 おお、少しだけ変わっている。

 頭部に二本の短い角が生えている。

 少し飛び出しているだけなので、角っぽくはない。

 キリンの角と似た感じだ。

 『竜馬(りゅうま)』は、トカゲが二速歩行したような感じの生物で、恐竜のラプトルに似た感じなのだが、『龍馬(たつま)』になって角が生えただけで、だいぶ精悍な顔に見える。

 体色は青のままだが、少し濃くなっている気がする。

 そういえば、『竜馬(りゅうま)』の一般的な色はグレーらしいのだが、オリョウは青だったんだよね。


 それにしても……『竜馬』に上位種族があるという話は聞いたことがない。

 この『龍馬(たつま)』というのは、特殊なクラスチェンジなのかもしれない。


 俺は、『使い魔人形(ファミリアドール)』を通して『共有スキル』の『鑑定』を使う……


『種族』が『龍馬(たつま)』となっていて、レベルは以前と同じ60だ。


龍馬(たつま)』に焦点を当てて、詳細と念じると……表示された。


 それによると…… 『龍馬(たつま)』は、『竜馬』が昇華した特別な上位種族で、霊獣に近い性質を持っているらしい。

 そして『龍馬(たつま)』は、空を走れるようだ。

 スキルの力ではなく……通常備わっている能力として空が走れるらしい。


 飛竜たちと同じように、空が飛べるということだろうか……いや空が走れるということだから飛ぶのとは違う気がする。

 現に翼も生えてないしね。


『スピリット・ブロンド・ホース』のフォウが、魔法道具『天翔(あまか)ける(ひづめ)』を四本の脚に装着することで空を走れるようになっているが、オリョウは同様の能力を身に付けたようだ。


 ちなみに、『天翔(あまか)ける(ひづめ)』は、『イビラー迷宮』の宝物庫で手に入れた魔法道具で、『階級』が『究極級(アルティメット)』なのだ。


 空を走れるようになったし、霊獣のような種族になったし、凄いパワーアップだ!

 オリョウが、このタイミングで覚醒してくれたようだ。


 それから…… 『臥龍転生(がりゅうてんせい)』という『種族固有スキル』を持っている。


「うぅぅぅっ、漲るって感じ! 気分最高かよ! マジ手加減無しだかんね! 臥龍転生(がりゅうてんせい)!」


 おお、オリョウは早速、『種族固有スキル』を使うようだ!





読んでいただき、誠にありがとうございます。

ブックマークしていただいた方、ありがとうございます。

評価していただいた方、ありがとうございます。


次話の投稿は、5日の予定です。


もしよろしければ、下の評価欄から評価をお願いします。励みになります。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] これだけ身を呈して護ってるんだから、今回の一件でグリムさんの魔物ズが市民の人たちにも認められますね。まるで自衛隊みたいに護ってくれて感謝してるんじゃないかな。 今、こっち(熊本)は、とんで…
[気になる点] >  これを交わした二人だったが、残った首が死角から現れ、 →  これを躱した二人だったが、残った首が死角から現れ、 [一言] >龍馬  龍馬だけど名前は奥さんの方!(お龍)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ