581.カツカレーは、最強パーティー!?
『とんかつ』の試食を楽しんでもらった後は、ついに『カツカレー』の出番だ。
サクサクだった衣が、カレーという豪奢なドレスを纏い、違う高みへと進化するのだ!
この『カツカレー』のために、隠し球の『とんかつ』をリリースするんだから、みんなには驚いてもらわないと!
いくらお腹いっぱいでも、食べてもらいたい!
というか……食べれてしまうだろう!
皆さんに席に戻ってもらい、給仕のスタッフたちに『カツカレー』を配膳してもらう。
さぁ食べてもらいましょうか、奇跡の逸品を!
「『カレーライス』を食べて、『とんかつ』を食べて、『カツカレー』を食べる! これは幸せのフルコースなのだ!」
「チャッピーも、『カレーライス』と『とんかつ』と『カツカレー』を毎日食べるなの〜」
「な、なんと……。『カレーライス』氏と新登場の『とんかつ』さんとで三つ巴の戦いを予想していたのに……いつの間にか『カレーライス』氏と『とんかつ』さんは仲良しになっているのです! 二人は結婚したのです! 一つになったのです! でもミネは負けないのです! まとめて倒すいい機会なのです。おやや、やっぱりチームかもしれないのです。『ライス』氏はタンク、『カレー』氏はアタッカーなのです。『とんかつ』さんは『魔法使い』と『ロングアタッカー』の役目なのです。『福神漬け』隊員は、斥候みたいなのです。トリッキーなのです。『らっきょう漬け』氏は、お口をさっぱりさせるヒーラーなのです。バランスの取れた最強パーティーなのです。でもミネは、どんな連携攻撃にも負けないのです! 絶対に負けられない戦いが、ここにあるのです!」
「あんなにサクサクだった『とんかつ』が、カレーをかけてサクサクでなくなったのに、美味しい。『カレー』と『とんかつ』それぞれの美味しさが、強化されている。そして別の美味しさに変わっている……まるで合体魔法! グリムさんと暮せば、こんなものが一生食べれるなんて……。私もクリスティア姉さまたちに負けてられないです。グリムさんを一生研究しないと!」
リリイ、チャッピー、ミネちゃん、ドロシーちゃんが『カツカレー』に感動している。
みんな変なことを言っているが……ここはあえてツッコまないでおいてあげよう。
それにしても……ミネちゃん、暴走しすぎだと思うんですけど……。
そしてドロシーちゃん……どうしちゃったの?
他の皆さんも、感嘆の声を上げてくれている。
まぁニアさんだけは、いつものように「うおーー!」と言った後は、無言で食べ続けているけどね。
それにしても、みんなすごい勢いで食べている……。
今日もみんなに胃腸薬を渡すしかないようだ。
そんな感じで“カツカレー大戦”ともいえるハードな晩餐が終わり、そのままティータイムに突入した。
まぁ実際は、酒盛りという感じである。
特にセイリュウ騎士の皆さんは、相当飲むようだ。
いくつかのグループに分かれて盛り上がっている。
ビャクライン公爵は、武術談義がしたいのか『セイリュウ騎士団』の男性たちと飲んでいる。
むさ苦しい男たちが、大声を出しながら楽しそうに飲んでるのだ。
そこにシスコン三兄弟も混じっている。
もちろん彼らはお酒が飲めないので、俺お手製のオレンジサイダーを飲んでいる。
溺愛オヤジもシスコン三兄弟も、今夜ばかりはハナシルリちゃんへの溺愛よりも、男同士の語らいを選んだようだ。
そのハナシルリちゃんはというと、母親のアナレオナ夫人と一緒に、マリナ騎士団長、ユーフェミア公爵、アンナ辺境伯たちと一緒にいる。
ハナシルリちゃんは、マリナ騎士団長の膝の上で楽しそうにしている。
ここには、リリイとチャッピー、『兎亜人』のアッキー、ユッキー、ワッキー、ピグシード家のソフィアちゃんとタリアちゃん、ゲンバイン家のドロシーちゃん、『ドワーフ』のミネちゃんもいる。
さしずめお母さんと子供たちの集まりという感じだ。
そして『アメイジングシルキー』のサーヤ、『家精霊』こと『付喪神 スピリット・ハウス』のナーナ、『兎亜人』のミルキー、『アラクネロード』のケニー人型分体、『自問自答』スキル『ナビゲーター』コマンドのナビー顕現体も混じっている。
この五人は、もちろんクリスティアさんたち若い女子たちとも仲良しなのだが、今回はこのお母さん集団に入っているようだ。
まぁこの五人は、俺の仲間たちにとって、ほとんどお母さんポジションだからね。
ちなみに『総合教会』の孤児院の子供たちや元『花色行商団』の子供たちは、晩餐が終わった後に引き上げている。
今日は久しぶりに『セイセイの街』の孤児院に帰って、明日の朝、『光柱の巫女』のテレサさん達と一緒に、またやってくることになっているのだ。
もう一つのグループは、若い女子たちのグループだ。
ニアを中心に、残りの若手女子たちが集まっているのだ。
セイバーン公爵家の三姉妹のシャリアさん、ユリアさん、ミリアさん、ヘルシング伯爵領のエレナ伯爵、執政官のキャロラインさん、第一王女のクリスティアさん、護衛官のエマさん、スザリオン公爵家長女のミアカーナさんたちだ。
ここに、『セイリュウ騎士団』の女性騎士も混じっている。
格付け第五位のランスンさん、第七位のユミルさん、あと格付けのない女性騎士が二人いる。
『セイリュウ騎士団』は、正式な格付けは第七位までしかないらしい。
現在『セイリュウ騎士団』の騎士は、団長を除いて十三人ということなので、格付けのない騎士が六人いるということだ。
そして最後は、俺のグループだ。
グループといっても、俺と『魚使い』のジョージの二人で、のんびりと飲んでいるだけだ。
みんなそれぞれに盛り上がっているので、俺たちの存在を忘れてくれると、本当にゆっくりと静かにのんびり飲めるのだが……
俺のそんな願いもむなしく……俺たちは、ビャクライン公爵率いるむさ苦しい筋肉男集団に連行されてしまった……トホホ。
まぁ女子たちの方に連行されるよりは、よかったかもしれないけどね……。
宴はしばらく続いていたが、俺とジョージはこっそり抜け出し、人型でないメンバーたちがいる特別室に行って、仲間たちをモフモフしながらのんびり過ごすことに成功した。
幸せなひとときだったのだが、つい調子に乗ってしまい、全くモフモフ感がない陸タコの霊獣『スピリット・グラウンドオクトパス』のオクティにまでモフモフしてしまい……
「漆黒の魔王の体に触れていいのは、黒き魔神ジョージのみ! 黒の恐怖を魂に刻み込んでくれる! セクハラ死すべし、打つべし、打つべし、打つべし!」
と怒られながら、八本の腕でタコ殴りにされてしまった……トホホ。
確かに調子こいて悪かったけどさぁ……ちょっとぐらいいいじゃないか……。
そして、ジョージは黒くないですから!
ちなみにオクティのタコ殴りは、当然本気ではなく、適度な強さでマッサージに近いものだった。
ニアの『頭ポカポカ攻撃』に近いかもしれない。
気のせいか……少し体も軽いような気がするが……。
ああ……今頭をよぎってしまってゾッとしたが……まさかオクティ……ニアの『頭ポカポカ攻撃』の交代要員になってないよねぇ……?
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